鬼貫さんに突撃インタビュー
鬼貫
 興味津々のブンコちゃんが、伊丹ゆかりの俳人上島鬼貫(うえしまおにつら)さんに突撃インタビューをしました。さて、どんな質問が飛出したでしょうか?!

ブンコ:はじめまして。今日はカキモリブンコのお話を聞くためにオニツラさんに突撃インタビューに来ましたぁー!

鬼貫こんにちは、ブンコちゃん。ところで、カキモリブンコは、漢字では、「柿衞文庫」と書くよ。それではまず「柿衞(かきもり)」のことから説明しようかな。柿衞文庫の庭には3本の柿の木があって、秋にはどれもたくさんの実をつけている。それらが柿衞文庫の名前のもととなった、もっと正確にいうとその柿の二世の柿の木。その実を、くだもの屋さんの店先にならんでいる柿と比べてみよう。

実の上のほうのへたのところをよく見てごらん。普通の柿とちがって、波のようにもりあがっているよ。これがこの柿の特徴で、へたが台にのっているようなので「台柿(だいがき)」ってよばれている。日本では他にあまりみられないから、中国からわたってきたのではないか考えられているよ。おいしそうだからちょっとかじってみようかなと思うでしょ?ところがどっこい、しぶ柿なので一口食べたらはきだしてしまうよ。
台柿アップ
びっくりブンコちゃん
ブンコ:へぇー、お店でみるのとちがうよね。こっそり味見しちゃおーっと。きゃー!!しぶーい!!おいしそうに見えるのにぃ!
鬼貫笑う鬼貫ハハハ!だからしぶいっていったでしょう。でもね、うーんと赤くなると、まるでゼリーみたいにあまくとろーりとして、スプーンですくって食べると、それはそれはおいしいんだよ。
ブンコ:ふーん、そうなんだ。
鬼貫19世紀初めに、京都や大坂で活躍していた頼山陽(らいさんよう)という学者がいてね、あるとき画家や詩人や学者のなかまたちと伊丹に遊びにきたんだ。なぜ「伊丹」かというとね、当時の伊丹は日本一の酒づくりの町で、この柿衞文庫の前の通りを中心に酒づくりする酒蔵が何十軒もずらりとならんでいた。庭のむこうにみえる酒蔵もね、1674年、つまりこの私が13才のころにたてられたことがわかって、建築年代がはっきりしている平成の世に残る酒蔵としては日本最古だというので、国の重要文化財に指定されたのだよ。山陽たちは、江戸の将軍にも献上され、江戸っ子にも大人気だった伊丹のお酒をめあてに、伊丹にやってきたのさ。
柿3本
そして伊丹の人々のあたたかいもてなしをうけ、大いに盛り上がっていたとき、デザートとしてよく熟れたこの柿がだされた。冷蔵庫もなく、甘いものも少ないころのこと、冷たくてあまい柿の実がとりわけおいしく感じられ、みんな感激して柿を絵に描いたり詩に作ったり…。よっぽどおいしかったんだね。このように多くの人々に愛された「柿の木をまもる」というのが「柿衞」となったわけだ。
ブンコ:柿衞って意味はわかったけど、じゃ「ぶんこ」というのは?
鬼貫
「文庫」というのは、文字どおり「ふみ」がおさめられた「くら」のこと。「ふみ」というのは、文字が書かれた書物とか手紙のことをいうよ。そのなかでもこの文庫におさめられているのは、この私、つまり鬼貫をはじめ、芭蕉(ばしょう)とか蕪村(ぶそん)一茶(いっさ)あるいは正岡子規(まさおかしき)といった俳人の作品が中心なんだよ。
ブンコ:そういえば、どれも聞いたことのある名前!
鬼貫
ブンコちゃんは、「古池やかわず飛び込む水の音」という芭蕉の句を知ってるかな?教科書にのっていると思うけど。
ブンコ:うん、知ってるよ。
鬼貫芭蕉がその句を自分で書いたたんざく(短冊)、ほら、たなばたの時に願いごとを書いて笹につるすでしょう?
ブンコ: 知ってる、知ってる!あの細長い紙のことでしょ?
鬼貫そうそう、それがこの柿衞文庫にはあるんだよ。
ブンコ:ええっ!ほんものがあるの?
鬼貫そうだよ。ときどき展覧会に出品されるけど、ふだんは大切に「くら」にしまってある。芭蕉は1694年になくなってるから、それより以前に書かれたものだよ。
ブンコ:それがこの平成まで伝わっていて、私たちが見られるなんて、すごーい!
鬼貫そういうこと。こうした作品を1万点もあつめて研究されたのが、この文庫を創られた岡田利兵衞先生という人だよ。
ブンコちゃん感動

ブンコ:柿衞文庫には貴重なものがたくさんあるということはよくわかったけど、それをどんなふうにして利用すればいいのかなあ?
鬼貫まず展示をみて、昔の俳人の作品をゆっくりあじわってみてね。たとえ文字がよめなくても、句の意味がわからなくてもぜーんぜん気にしなくていいんだよ。
ブンコ:ふーん、昔の俳人はこんな字をかいていたのかとか、きれいなもようの短冊だなとか、でもいいの?
鬼貫もちろん!何百年も前の人が実際に書いたものが残っているなんてふしぎだなとかね。日本の伝統的な文化でありながら、ふだんはあまりふれることのない世界にちょっとたちよってみることは、とてもだいじなことだよ。そして、自分でも一句つくってみようかなと思ったらおおいに挑戦すべし!このオニツラは8才で句をよんだんだぞ。
ブンコ:「こいこいといえどほたるが飛んでいく」でしょ?
鬼貫よく知っているね。うれしいな。
ブンコ:エヘヘ…。でも、もっともっとオニツラさんのこと知りたくなっちゃった。
ブンコちゃんと鬼貫
鬼貫そんなときこそぜひ柿衞文庫に行こう!図書室があって、自分でいろいろ調べることもできるんだよ。俳句作りの教室や俳句コンクールなんかもしているから、興味があったらどんどん参加してみよう。じゃ、さっそく今からいっしょにいってみようか?
ブンコ:ほんと?わーい、うれしいな!