カキモリマーク

主な収蔵品(鬼貫筆「にょっぽりと」句一行物)

鬼貫作品
によっぽりと秋の空なる富士の山  仏兄書

 鬼貫(おにつら・1661〜1738)は元禄時代の上方を代表する俳人。伊丹の酒造家、油屋(あぶらや)の一族。当時、伊丹で流行した旦那衆の放埒な俳諧「伊丹風」から抜け出し、「誠の外に俳諧なし」と悟りました。その著『独言(ひとりごと)』は、鬼貫の俳諧理念を語った書。
 鬼貫は貞享3年(1686)に仕官のため江戸へ下るとき、親友の鸞動(らんどう)から「一緒したいが、病気のため行けない。はっきりと富士の姿を見て知らせてほしい」と頼まれましたが、帰ってみると鸞動はすでに死んでいました。そこで伊丹の墨染寺にある彼の塚の前で報告したのがこの句。句作は貞享ですが、のちに所望されて書いたと思われます。