交響曲第6番イ長調


vonk.JPG■最もブルックナーらしくない交響曲
 11曲あるブルックナーの交響曲(ヘ短調交響曲、交響曲第0番を含む)の中で、この6番は最もブルックナーらしくない交響曲と度々言われることがある。その理由は次のことが言えるのではないだろうか?

・弦のトレモロによる原始霧ではなくて、独特のリズムを持ったブルックナー開始である。
・ブルックナー休止(ゲネラルパウゼ)の廃止。
・曲の構成がブルックナー独特のブロックを積み重ねたような様式から、なめらかで流れるような作りに変わっている。

 しかし、本当にそうだろうか?僕はこの曲に十分なブルックナーらしさを聴き取れると思う。例えば、形は違えどブルックナー開始はあるし、3連符に代表されるブルックナー・リズムも多様されている。pだったのがいきなりffになったり、金管楽器の使い方もブルックナーらしいところが多いと思う。明らかにこの曲はまぎれもなくブルックナーが作った曲であることが読み取れるのではないだろうか?
 また、特にこの曲は2楽章が美しい。人によってはブルックナーの交響曲のなかで一番にあげられることも多いが僕は少なくとも3本の指に数えることが出来るのではないか?と思う。

■作曲過程・版・稿について
 この曲はめずらしく作曲後に改訂されなかったため、「ノヴァーク版」と「ハース版」にほとんど相違はなく、「原典版」と呼ばれることが多い。初演は遅く、しかも2・3楽章のみの演奏であったため、ブルックナーが本来の形をでこの曲を聴くことはなかった。全曲による演奏はブルックナーの死後、マーラー&ウィーン・フィルによって行われたが、それも多大なカットを施したものであった。


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指揮者

オーケストラ

録音年月

一言コメント

クルト・アイヒホルン リンツ・ブルックナー管弦楽団 1994.3.28〜31 ノヴァーク版
ハンス・フォンク ハーグ・レジデンティ管弦楽団   暗い・重い・遅い、の3拍子揃った演奏。
クリストフ・エッシェンバッハ ヒューストン交響楽団 1999.4.10〜12L ラストの「見栄」にびっくり!
ラファエル・クーベリック バイエルン放送交響楽団   透明度抜群のブルックナー。
フェルディナント・ライトナー バーゼル交響楽団 1992.11.19L   
スタニスラフ・スクロヴァチェフスキー ザールブリュッケン放送交響楽団 1997.3.3・4 ホルンがよく鳴っています。
オイゲン・ヨッフム ドレスデン国立歌劇場管弦楽団 1978.6  
ハインツ・レーグナー ベルリン放送交響楽団 1980.6.17-19 new_ga.gif



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