スメタナ作曲:連作交響詩『わが祖国』の部屋


 連作交響詩「わが祖国」は、
「ヴィシェフラド」、「ヴルタヴァ(モルダウ)」、「シャールカ」、
「ボヘミアの森と草原より」、「ターボル」、「ブラニーク」の
6つの交響詩からできています。
(それぞれが交響詩なので、単独でも演奏されることがあるが、
その中でも一番演奏頻度が高く有名なのは、「ヴルタヴァ(モルダウ)」。)
それぞれが集まって、連作交響詩「わが祖国」となる。
それぞれの交響詩は、チェコの伝説や自然に基づいているが、
チェコ(ボヘミア)の人にとっては、ドヴォルザークの音楽よりも、
この「わが祖国」こそが自国の音楽であると考えています。
チェコで、スメタナの命日の5月12日に行われる、
国民的音楽祭「プラハの春」の
オープニングコンサートで演奏されます。



【ヴィシェフラド】
  ヴィシェフラドとは、=高い城ではなく、チェコにある地名。
ヴァルタヴァ河畔にある岩山にある、古城(高い城)にまつわる歴史
 と栄光が描かれている。


【ヴァルタヴァ(モルダウ)】
  チェコを流れる川の名前。
ちなみに、「ヴァルタヴァ」はチェコ語で「モルダウ」はドイツ語。
日本では、「ヴルタヴァ」よりもドイツ語の「モルダウ」で親しまれている。
水源〜上流〜下流に向って段々と大河になっていく様子を絵画的に描写しています。


【シャールカ】
  女性シャールカの物語をこの曲で描いています。
シャールカは大変勇ましい女性だったらしく,男に敗れたシャールカが復讐のために
男を皆殺しにする、という伝説をもとにしています。


【ボヘミアの森と草原より】
  ボヘミアの豊かな自然がテーマです。
基本的には同じ牧歌的なメロディが、手を替え品を替えしながら様々に形を変え繰り返され、
 チェコの豊かな四季と自然の素晴らしさを表現されています。


【ターボル】
  「ターボル」というのは,フス教徒たちの拠点だった南ボヘミアの古い町の名前で、
宗教戦争時代のフス教徒の英雄的な戦いを称えたもの。
フスとは、名前をヤン・フスと言いますが、ボヘミアの宗教改革者です。
堕落した教皇や教会を激しく攻撃しましたが,
 結局は教会を破門され,宗教会議にかけられて焚刑に処せられています。
彼の死後,その同志はフス教徒となって結束し,フス戦争を起こします。
この戦いも結局失敗に終わりますが,これをきっかけとして,
チェコ人は国家,民族として連帯を深めることになります。
(ほとんど受け売り。)


【ブラニーク】
  前曲「ターボル」の続編にあたる曲。
「ブラニーク」といのは,ターボルのあった山のことです。
ここにはフス教徒の戦士たちが眠っており,
祖国の危機の際にはいつ招集されてもよいように待機していた様を表現しています。
(これもほとんど受け売り。)
最後に再び「ヴィシェフラド」の主題が再び力強く演奏されて、
「わが祖国」が終わります。
 



〜所有ディスコグラフィから〜

各曲の感想はあくまでも僕の感想であり、
追加、修正の可能性が十分にあります。
(※基本1タイトルにつき1枚の所有ですが、同音源でも複数所有している場合は、画像を複数掲載しています。)

メータ/イスラエル・フィル(91)


某サイトでケチョンケチョンにけなされていた演奏。アバド・マゼール亡き後、クラシック音楽界を引っ張っていくのはメータだと思っていたので、俄然聴いてみたいかった1枚。たたし、わが祖国の演奏としては「?」の感じもあるけど、演奏としてはしっかりしているので、いままでとは一味違った演奏を楽しむのも一考かと(苦笑)。なんか無機質・・・。
ビエロフラーヴェク/チェコ・フィル(14)

ビエロフラーヴェク指揮のディスクを4枚入手したわけだが、2017年春に急死してしまったので、このディスクが追悼盤となってしまった。4つの中では、この追悼盤の演奏が一番音が明るく華やかで素晴らしいと思います。
2017年秋の来日公演は僕も聴きに行ったのだが、代役のアルトリヒテル指揮のもと、素晴らしい演奏を聴かせてくれました。
ビエロフラーヴェク/日本・フィル(06)


ビエロフラーヴェク指揮のディスクを4枚つ入手したわけだが、これは日本のオケ(日本フィル)との演奏。4枚とも基本的には解釈は変わっていないけど、外国のオケにも引けをとらない、なかなかやるな、日本フィルという感じ。
ビエロフラーヴェク/チェコ・フィル(90)/


ビエロフラーヴェク指揮のディスクを4枚つ入手したわけだが、4枚とも基本的には解釈は変わっていない。
フルシャ/バンベルグ交響楽団(16)



プラハ・フィルとの好演を聴かされたら、俄然期待せずにはいられない。そう思って購入したけど、アプローチは基本的には同じ。演奏自体はいいと思いますあとは好みの問題かと思います。バンベルグ響かプラハ・フィル。僕はプラハ・フィルとの方を採ります。・・・いや、やっぱプラハ・フィルとの方が上かな?
ヴェラー/イスラエル・フィル(78)



演奏は悪かないんだけど取り立ててよくもない。特筆すべきことはなく、強いて言えば「良くまとめているなぁ」という感じ。この曲とイスラエル・フィルは相性があまりよくないのかな?
ビエロフラーヴェク/チェコ・フィル(88)


ビエロフラーヴェク指揮のディスクを4枚つ入手したわけだが、4枚とも基本的には解釈は変わっていない。このディスクはジャケ買いで、限定版という文字につい。

ベトジフ・スメタナ
  
チェコ出身のの作曲家。
(僕が学校で習ったときは、「チェコスロヴァキア共和国」でしたが、
今は「チェコ共和国」と「スロヴァキア共和国」と別々の国です。)
チェコの素晴らしく豊かな自然を、交響詩という形で表現したスメタナですが、
「ヴァルタヴァ」を作曲した時点ではすでに聴覚を失っていたそうです。
鬱病が進行しついには発狂し、そして1884年5月12日、精神病院でその生涯を閉じました。
(満60歳没)

ターリヒ/チェコ・フィル(54)


GOLDCD

若い時の写真と比べて、とても同一人物とは思えない。GOLDCDと聞けば、持っているのについつい手が出てしまう。とてもモノラルとは思わせない演奏。聴くに堪えれるレベルですよ。どうも、ターリヒの録音はそういうのが多いような気がする。確たる根拠があるわけではないんだけど。

クーベリック/ウィーン・フィル(58)


全曲を通して、低音が強調されています。演奏自体は素晴らしいんだけど、なかなか重厚な仕上がりで、後述のコシュラー/スロヴァキア・フィルとは正反対の演奏。
アンチェル/チェコ・フィル(63)


アンチェル、チェコ・フィルのコンビの「我が祖国」。左の白いのがSACD。右が、音質面で評判がよろしくない、アンチェル・ゴールドエディションからの1枚。どうもこもっているような気がするとのこと。ゴールド・エディションということですぐに購入。演奏はやはりいささか時代を感じさせるものの、悪いわけではない。
GOLDCDはなかなか処分するのに躊躇してしまう。
ノイマン/ライプチヒ・ゲヴァントハウス管(67)

スウェード仕上げのケースに収まっている1枚で、ちょっと豪華。ちょっとテンポが遅いが、堂々とした演奏。でも、堂々としてるのはいいが、ところどころにちょっとだけど、どや顔が覗いているような感じ。










アンチェル/チェコ・フィル(68)


「ヴァルタヴァ」の最後の「チャン、チャン」が、よく言えば、非常に端正にまとめられ、引き締まっているんだけど、悪く言えば、実にあっさりしていると言うか、味気ないというか・・・。








クーベリック/ボストン響(71)


購入した順番は、SACDプラチナSHM盤→Esoteric SACD盤→SACDシングルレイヤー盤。プラチナSHMは何かというと、平たく言うと、金蒸着CDのプラチナ版。CDのレーベル面も反射率向上のために、ターコイズブルーを採用したり、材質もSHM-CDを採用したりして、音質向上のためにいろいろやっているということ。ただ、反射率はよくなったのだが、反射率の数値がCDの規格から外れているので、厳密な意味でCDではないらしい。(わかったような、わからないような・・・。)
その後、ESOTERIC SACD名盤復刻シリーズから、本演奏がリリースされるとあってESOTEIC盤をついつい入手。面倒なので聴き比べはしてません(気力も体力も時間もないし)が、個人的には、このCDよりももっと他にリマスターするべき物があるだろうが!と思っていたら、確かに音がよくなってていた。で、期待を込めてシングルレイヤー盤も購入。

ノイマン/チェコ・フィル(74)





このCDは、FM東京の「TDKオリジナルコンサート」聴取者無料招待公開録音という企画での演奏を収録したもの。東京文化会館で行われた。「我が祖国」全曲の日本初演である。このコンサートの応募者数は、11万5千通だったが、この数字は、2〜3年後に行われた「さだまさしコンサート」で破られるまでは、記録だったと、ライナーノーツに書いている。クラシックCDのライナーノーツに「さだまさし」の活字が出て来るとは思わなかった^^ゞ
同コンビの「我が祖国」はいっぱいあるから、基本的には解釈は同じで演奏はいいんだけど・・・しかし、残響がないなぁ。
ノイマン/チェコ・フィル(75)





左がSACDシングルレイヤー盤で、右が20bitリマスター盤。音源は同じだが、ジャケットの好みは、断然オリジナル盤の方がいい。SACD盤は、有名な芸術家の絵画なんだろうけど、20bitリマスター盤のジャケットデザインの方が好き。
演奏のほうは、上質な「我が祖国」が聴けます。無音時の静寂がいい!これはシングルレイヤーがなせる業なのだろうか
サヴァリッシュ/チェコ・フィル(77)





オケにやや非力か?と思ったが、そこはサヴァリッシュ、上手くまとめ上げている。さすがはサヴァリッシュといったところか。ほんとは、このオケの実力をうまく引き出すのは、アンセルメなんだろうけど。淡々とした演奏だな、と思っていたら、「ターボル」のクレッシェンドには驚いた。







コシュラー/スロヴァキア・フィル(78


コシュラー/スロヴァキア・フィルと言えば、NAXOSから出ている「巨人」と「幻想交響曲」を持っているのだけれど、演奏はといえば悪くはないが、飛びぬけていい演奏というわけでもなかった。ネットでは、コシュラー/スロヴァキア・フィルの「わが祖国」がすばらしいとの評価もある。「ほんまかぁ〜」と思いながらも俄然興味が湧いてきたので、入手したのだけれど、素晴らしかった、これが。ヴィシェフラド冒頭のハープなんか音が深く、曲全体としても大変壮大であると思う。「わが祖国」は素朴であってもは重厚であってはいけないと思う。荘厳でもあってはいけないと思う。あくまでもチェコの自然を朗々と壮大に演奏すべきであると思う。あらためてそれに気づかせてくれた素晴らしい演奏だと思う。特に「シャールカ」がいい。
ノイマン/NHK交響楽団(78)


1978年にノイマンが単独で来日してN響を振ったときの演奏。なんでも、この演奏から「チェコの香り」が感じられたとまで言われた名演だったそうである。確かにこの頃のN響はデュトワのフランス音楽化もなく、ドイツ・オーストリア音楽を得意としていたN響の音を聴くことができる。どちらかと言うと、「端正」、「粛々」な感じ。
マタチッチ/ザグレヴ・フィル(79)


この部屋を作るときに、参考にさせていただいたサイトがあるんだけど、そこの管理人さんがこの演奏を一押ししてて、この演奏を入手するのを楽しみにしていた。そこの管理人さんは【爆演】がお好きなようで・・・、聴いてみたら確かに爆演で、というか演奏【雑】!「ヴィシェフラド」の冒頭のハープは雑だし、途中から変なエコー(残響というよりエコーといったほうがいい)もかかってるし、ピッコロはうるさいし、異様に盛り上がるところはあるわ、先に進めば進むほど爆演度は高くなって来るし、思わず笑ってしまった。いや、参ったね^^ゞ

悲劇の指揮者、かレル・アンチェル

チェコ出身の指揮者。
1933年プラハ交響楽団の音楽監督に就任したが、
チェコがナチス・ドイツの支配下に入ると、ユダヤ系だったアンチェルはプラハ響を追われることに。
1944年に家族全員がアウシュヴィッツで虐殺され、アンチェルのみが生還した。
アンチェルがアメリカ演奏旅行中に「チェコ事件」が起こり、チェコはソ連(当時)を中心とした、
ワルシャワ条約機構軍の軍事介入を受ける。
アンチェルは旅行先で帰国を断念、亡命の道を選び、チェコ・フィルの常任指揮者も辞任する。
亡命後1969年に小澤征爾の後任として、トロント交響楽団の常任指揮者に就任したが、
そのわずか4年後に、祖国に帰らぬまま亡命先のトロントで悲劇的な生涯の幕を閉じた。


ヤルヴィ(子)/SKD(79)


僕の一番好きなオケは、SKDなんだけど、レパートリーがある程度限られているという点では、チェコ・フィルもSKDも通じるところがあるのかな?SKDはこの曲も録音しているのか、それもパーヴォと!!という、SKD目的で入手した1枚。演奏のほうは、特筆すべきところはないが、そこはさすがSKD、ある程度の演奏水準は満たしていると思います。
スメターチェク/チェコ・フィル(80)



いぶし銀の指揮者による、いぶし銀の1枚、と思いきや、演奏効果を狙らってか、アコーギクを駆使した演奏。特に後半の曲がすごいです。まるで歌舞伎。ちょっとイメージが違ったなぁ。クラシック界の銀行員って一時期ブロムシュテットが言われてたけど、スメターチェクはクラシック界の頭取か?

マタチッチ/オーストリア(ウィーン)放送響(82)


僕はブルックナーが好きで(いわゆるブルヲタ)、ブルックナーの3番を買ったら「我が祖国」が併録してあって、もう20年位前の話なんだけど、その時は「我が祖国」なんて全然興味なくて・・・。でもなんだか怪しげなCDだ。「オーストリア放送響」?そんなオケあったかなぁ?なんでも「ウィーン放送響」のことだとか・・・。2枚組なんだけど、「ヴィシェフラド」だけが1枚目の最後に収録されてて、とりあえず2枚目から聴いてみたら、これが結構よくて、次の日に「ヴァルタヴァ」以降を聴いたら、なんか弱弱しくて同じ指揮者の演奏かと思ったくらい、肩透かしを食らってしまった^^ゞ
ノイマン/チェコ・フィル(82)


東京文化会館での「我が祖国」初演100周年記念コンサート。同コンビの「我が祖国」はいっぱいあるから、基本的には解釈は同じで演奏はいいんだけど、これはちょっとテンポが遅め。しかし、残響がないなぁ。音が乾いてるんだよなぁ。

レヴァイン/ウィーン・フィル(86)


シカゴ響とのドヴォルザークの交響曲第7番、第9番がよかったので入手した1枚。「ヴィシェフラド」最後あたりのタメに代表されるような、演奏効果を高めるための演出が功を奏したのか、なかなかゴージャスな仕上がりになっている。スメタナのオペラ「売られた花嫁」も併録。こちらもゴージャス。
フェドセーエフ/モスクワ放送交響楽団(86)

ウィキペディアによると、チャイコフスキー記念交響楽団のことらしい。「モスクワ放送交響楽団」の方がなじみ深いという人もいるのでは?3枚組のCDで、「展覧会の絵」、「シェヘラザード」、「スペイン狂詩曲」も収録されている。「わが祖国」の中では、「ヴァルタヴァ」が白眉で、テンポが遅くて、「またか」と思ったのだけど、これがすごくいい。実に朗々と壮大な「ヴァルタヴァ」なのである。他の曲はというと、「ヴィシェラフド」の途中で、シンバルを切っ掛けにガラッと曲想が変わるところがあるんだけど(わかるかなぁ?それまでのフレーズを断ち切って、シンバルの一音を切っ掛けに下降音型に転ずるところ)、なんと切っ掛けのシンバルの一撃がない!それと、「ヴァルタヴァ」と「シャールカ」以降で録音している場所が違うのではないかと思われること。残響のかかり具合や録音レベルも違う。でも、演奏自体はすばらしいと思うけど、爆演と言われればそうだし、評価が分かれる演奏です。う〜ん、やっぱ爆演なんだろうなぁ。
ヴァーレク/プラハ放送交響楽団(90)


アンチェルやノイマン等の名前がある中で、やはり、この人の名前がないと少し寂しい。一聴すれば可もなく不可もない演奏で、さすがうまくまとめているな、という感じ。でも、ヴァルタヴァのバスドラ(?)はびっくりするほど鳴ってます。
クーベリック/チェコ・フィル(90)


亡命から42年ぶりに、祖国チェコの楽壇に戻った記念碑的な演奏。ある程度の水準は満たした好演奏だと思うけど、これは出来云々よりも記念碑的演奏なので、批評するのが憚れるんだろうなぁ。
クーベリック/チェコ・フィル(91)

復帰した一年後に来日した、クーベリックとチェコ・フィルの演奏の模様を収録したCD&映像作品。DVDでは、終演後に舞台前に駆け寄る聴衆の中に、まだ、学生だったエクストンの江崎氏が確認できる。いたく感動したらしく、クラシック音楽に携わることとなる切っ掛けとなった演奏。・・・と誰かが言っていた。
ヴィト/ポーランド国立放送響(92)


HMVでCDを調達していたころ、HMVでは3枚CDを買ったら安くなるとシステムがあった。2枚までは何とかなったが、そのシステムを使おうとすればあと500円、1,000円足りないということが多々あった。NAXOSレーベルはあまり知られていないオケや指揮者、曲を紹介する廉価盤レーベルなので、そういうときはよくNAXOSレーベルを探しに行った。僕に取ってのNAXOSレーベルは(一部を除いて)、それのためだけのレーベルでしかなかった。演奏のクオリティはあまり求めていなかった。このCDもそうだった。特に期待もしてなかった。ところがどっこい、いいのである。期待してなかったから余計にである。これは、大変なダークホースな1枚であります。
(NAXOSレーベルの名誉のために書きますが、NAXOSにはこういういいCDはたくさんあります。)
小林研一郎/チェコ・フィル(97)


欧州人以外初めて、チェコの国民的音楽祭「プラハの春」のオープニングコンサートで指揮する、きっかけになった演奏を収録しています。コバケンがチェコ・フィルに認められた演奏。なにしろ音がいい。「ヴィシェフラド」の冒頭のハープが素晴らしい。また全曲を通して、適度な残響があっていい感じです。
当初はその存在を知らなかったのですが、SACD盤があると知って、探していてやっと入手してわかったのだけど、ポニーキャニオン時代のものだったのですね。
インバル/フランクフルト放送響(88)


まずいことになった。
いまから20年くらい前になるかなぁ。インバルがブルックナーの交響曲全集を出した。フランクフルト放送響と。おがけで3番、4番、8番の初稿の姿に触れることが出来た。そういう意味は画期的な演奏としてクロ−ズアップされた。しかしである。ブルックナーの改訂理由は、「難解すぎる」、「演奏不可能」、「助長である」というものであった。「助長だから」と言われて改訂したのに、インバルのは、なんで第2稿や第3稿よりも演奏時間が短いんだ?という疑問を持った。それ以来、ブルヲタの僕としては、どうもインバルが好きになれなかった。好きになれなかった、というよりは、好きでもなく嫌いでもなく興味がなかっただけで、「あっそう」という感じだった。で、インバル/フランクフルト放送響を聴いてみた。まあ、チェコ・フィルの音楽監督もしているから(信じられないが)
、と思って何気に聴いたのだが、これがいいのである。前述のコシュラー/スロヴァキア・フィルのように、重厚でもなく、荘厳でもないが、チェコの自然を朗々と壮大に演奏しているのだ。でも、あくまでもインバルのおかげではなく、さすランクフルト放送響と言いたい。

見事に復活した指揮者、ラファエル・クーベリック
チェコ出身の指揮者。
1942年、指揮者ヴァーツラフ・ターリッヒがナチス政権に反抗して解任された後をうけ、チェコ・フィルの首席指揮者に就任。
しかし大戦終結後の1948年にチェコスロバキアでチェコスロバキア共産党を中心とした政権が成立すると、チェコの共産化に反対し、
同年のエディンバラ音楽祭へ参加するために渡英、そのままイギリスへと亡命する。
そして、シカゴ交響楽団の音楽監督、コヴェント・ガーデン王立歌劇場の音楽監督、
バイエルン放送交響楽団の首席指揮者に就任し、メトロポリタン歌劇場の音楽監督を歴任する。
1986年に指揮者を引退するも1989年にチェコで民主化革命が起きたのを契機に、
亡命先のイギリスから帰国し翌1990年の「プラハの春」音楽祭でチェコ・フィルを指揮し、
『わが祖国』の歴史的演奏を行い復活。
1996811日にスイスのルツェルンでこの世を去りました。


ムント/京都市交響楽団(99)



京響と言えば、日本唯一、自治体が運営するオーケストラ。僕にとっての京響は、関西圏だし、京都は大阪から一時間弱で行けるし、何よりも学生時代に京都に通っていたので、愛着があるオケ。だから在版オケというと、ついつい京響込みで考えてしまう。本当は在阪オケと言えば、大フィル、関フィル、センチュリー、シンフォニカー(いまは大阪交響楽団)なんだけど。)この中で一番上手いのが大フィル。で、隣にありながら大フィルよりも上手いのが京響。そんな、上手くて愛着がある京響が「わが祖国」を録音していると知って入手した。でもよく考えたら、京響はミッキー(井上道義(ミッチーじゃなくてミッキー)や広上淳一のもとで力を発揮できるのであって、期待過多もあってか、この演奏は並いるオケの中にあっては、やや力不足。むむ、残念。

小林研一郎/チェコ・フィル(99<DVD>)


工事中
アーノンクール/ウィーン・フィル(01)


テンポが遅いっ!ゆったりしていると言えば聞こえはいいが、こういう曲はゆったりとしている方が、自然を味わえると思ったら大間違いだ!だれる!それと「ヴァルタヴァ」の終わり方はいただけない!
クチャル/ヤナーチェク・フィル(07)


他の演奏にくらべて、テンポが速め。きれいなんだけど、何か足りない、さらっと流しているような演奏。

ネトピル/プラハ交響楽団(08)


大変しっかりとした演奏で、非常に素晴らしい演奏だと思います。もちろんこれだけの演奏ですから、オケによる部分は大きいと思いますが、オケをとてもよくドライブして、それをよく引き出しています。いや、ほんと堂々とした演奏で、聴いてるこっちもアドレナリンが出まくり。
小林研一郎/都響(09)



オケというものは、この曲はこうあるべきだ、というものを持っている。チェコの人の「我が祖国」に対する愛着心はすごいと思う。当然、チェコ・フィルのこの曲に対する思いは並々ならぬものがあると思う。指揮者にしてもそれはあると思う。それは曲ごとではないにしても、オケあるいは指揮者の「カラー」は必ずある。一番有名で、わかりやすいのが「コバケン節」だと思う。おそらく、この演奏の12年前に「プラハの春」のオープニングコンサートで指揮する、きっかけになった演奏は、チェコ・フィルのその思いを尊重しつつも、各所に「コバケン節」を入れようとしたんだけど(まぁ、指揮者なんだから当然の行為だと思うが)、それはダメとか言われたんではなかろうか。チェコ・フィルのこの曲に対する「特別な感情」がすごいのは当然コバケンも知っているから、そこは妥協(「妥協」という言葉が適切かどうかは置いといて)したんだと思う。その結果、さきのような名演が生まれたんだけど、この演奏では、そのときに妥協した部分、所謂「コバケン節」が生かされた演奏になっているのではないか。要は自分のやりたいようにした演奏なのである。しかしながら(申し訳ないが)この演奏は、12年前にチェコ・フィルとやった演奏の足元にも及ばない。はっきり言って惰演である。うるさい、品がない。逆に12年前にチェコ・フィルとやった演奏を際立たせることになってしまった。このCDに限って言えば非常に残念だがな結果だが、チェコ・フィルとコバケンの関係という観点で見た場合は、かえって強固な関係であることを、証明したことになってしまった。皮肉と言えば皮肉である。(根拠のない憶測です。)

フロール/マレーシア・フィル(09)


演奏はあまり期待はしていなかったのだけど、音が薄っぺらい箇所があるものの、高水準を保った演奏だと思います。同時にドヴォルザークの交響曲7番・9番他を入手したのだけど、アプローチは基本的に同じすこし熱い演奏で、この指揮者は全然知らないんだけど、生はもっと熱くなるんだろうなぁという感想。この指揮者は、東独出身で、ザンデルリンクとも親交があったようで、僕はアジアのオケはあまりいい印象は持ってないんだけど(日本のオケを除いて)、なかなか熱いいい演奏だと思います。
エリシュカ/札幌交響楽団(09)


実は、僕はこの指揮者は知らない。いや、全く知らないというわけではないんだけど、札幌交響楽団と素晴らしい演奏を残していること、チェコ出身の指揮者であること、ドヴォルザーク協会長だったこと、次の来日が最後の来日であること、など知らないことばかりである。ひょんなことからこの演奏を入手したのだが、同時に入手した、N響/ノイマンとよく似た印象で、「端正で粛々」とした演奏。この点はやはり日本のオケだからだろうか?
フルシャ/プラハ・フィル(10)


演奏は素晴らしいと思います。でも、めちゃくちゃ感動した箇所があるわけではない。特に演奏効果をあげるために、なにか小細工をしたわけではない。要は、ありのままで飾りのない演奏。言うなれば中庸である。しかしチェコの人を確実に感動させているだろう。それは終演後の聴衆の熱狂からでも十分に伝わってくる。そこにはチェコの人を感動に導く「なにか」があるのだと思う。日本人にはわからなくても、チェコの人に脈々と流れている「血」とか、受け継がれている「民族性」を呼び起こす、そんな演奏だと思います。
アーノンクール/ヨーロッパ室内管(11<DVD>)



       工事中
スティック/フラデツ・クラーロヴェー・フィル(15(?))


完全に「ジャケ買い」。ジャケットはいいんだけど、パッケージの色の配色とかがおもちゃ。外観で演奏のよし悪しが決まるわけではないのは、十分にわかってるんだけど、なんか聴く気が失せてしまう。悪い演奏ではないんだけどね。
小林研一郎/読響(13)



指揮者の小林研一郎が「音楽生活自身最高のコンサート」とまで言わしめた2013年4月に行われた読響とのライブ録音。帯にそう書いてあったので、思わず買ってしまったが、都響との録音とどこが違うのかと言われれば、それほど大きく差異はない。



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