やっぱ実演? 〜2003年〜


僕が行った2003年のクラシック・コンサートです。
★印は、コンサートの批評というよりも、あくまで僕の満足度を表しています。
もっとも満足した場合は「★5つ」です。「☆」は0.5を表します。
目安は・・・★は行くんやなかった。★★はあまり良くなかった。★★★は普通。★★★★はよかった。★★★★★はめっちゃ感動できた。


<1> 1月18日 金沢大学フィルハーモニー管弦楽団第63回定期演奏会★★★☆

モーツァルト:歌劇「魔笛」序曲
シューベルト:交響曲第7番「未完成」
ブルックナー:交響曲第6番イ長調
管弦楽:金沢大学フィルハーモニー管弦楽団
指揮:本名徹次

♪地元の大学オケがブルックナーをやる、しかも指揮は本名徹次。しかも1000円、となあれば聴きに行かないわけにはいかないというわけで聴きに行ってきました。本名さんは大阪シンフォニカーの指揮者をしていたので、なんどか聴きに行ったことがあるけど、早めのテンポ設定でタクトを持たず指揮台で踊るような華麗な指揮振りには変わりありませんでした。
モーツァルトは硬さも感じられましたが、(全体的にそうだったのですが)強弱を強調しメリハリをつけていた感じ。
シューベルトは、未完の曲を演奏する場合(未完成交響曲の場合は2楽章ですが)、2楽章で完結している曲と解釈するか、あくまでも未完成だからつづきがあると解釈した演奏と2種類の解釈があると思います。プログラムの曲目解説にはあくまでも2楽章で完結していると書いてるわりには、つづきがあるように思えてならない演奏でした。
ブルックナーは、(全体的にそうだったのですが)早めのテンポでした。ブルックナーの曲は金管楽器などがffで強奏するところはやはり気持ちよく、それゆえに大きすぎて油断してしまうと音が濁ってしまい、何をやっているのかわからなくなるんですが、そういう場面もちらほら。でもそれはプロオケじゃないんだからお愛想、ってことで。
3楽章が1番早かったですね。あれ、もう終わっちゃったの?みたいな。一番危なっかしかったのもこの3楽章でした。
4楽章は壮大でよかったと思います。やっぱりブルックナーは最終楽章がよかったらブルックナーを聴いたって気分になるんでしょうかね(笑)オケのメンバーもあれだけやれたら気持ちよかったんだろうなぁって思いました。金沢市観光会館。


<2> 2月27日 オーケストラ・アンサンブル金沢管弦楽団第136回定期演奏会★★★☆

モーツァルト:交響曲第31番 ニ短調「パリ」
R.シュトラウス:クラリネットとファゴットのための二重協奏曲
メンデルスゾーン:交響曲第3番 イ長調 作品56 「スコットランド」
管弦楽:オーケストラ・アンサンブル金沢
指揮:ジェームス・デプリースト

♪約2ヶ月ぶりの演奏会に行ってきました。とにかくこちらは「行きたい!」と言う演奏会が少ない。まぁ自分のレパートリーが狭いと言うのもあるんだけど^^;で、デプリーストの評判がいいので、聴きに行ってきました。「スコットランド」を生で聴いたこともなかったし。「パリ」に関してはあまり詳しくなかったので、特に感想は言えたものでないので書かないけども、シュトラウスの「二重協奏曲」はクラリネットとファゴットによる面白い、またかわいい曲です。ソリストも大変上手くて満足のいく演奏でした。あまり演奏の機会がない曲ですが、僕は何年か前に大フィル/佐渡裕で聴いたことがあります。
休憩を挟んでの「スコットランド」は少しテンポはゆっくりだったのですが、アンサンブル金沢のきれいな音を上手くデプリーストが引き出しているなぁと言う感じでした。ただ、トランペットがせっかくの音楽を邪魔しちゃってるように思いました。なんかうるさいんですよね。僕としてはトランペットはあくまでも前面に出ないで(もちろんトランペットがメインの時は別だけど)音楽に飾りを施しているみたいな感じが好きなので。特に「スコットランド」の2楽章の冒頭はよくなかったです。「もうちょっとそろっと綺麗に出て来んかい!」みたいな感じでした。トランペット以外は楽しむことが出来ました。
デプリーストですが、以前に病気をしてから両足の自由が利かないみたいで、杖を2本持ってかなり不自由そうでした。ちょっと心配です。石川県立音楽堂。


<3> 3月21日 大町陽一郎 ブルックナー・チクルスvol.5★★★★

R.ワーグナー:楽劇「神々のたそがれ」より「ジークフリートの葬送行進曲」
A.ブルックナー:交響曲第9番ニ短調
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:大町陽一郎

♪大町陽一郎のブルックナー・チクルスも今回で5回目を迎えました。昨年の3番でこのチクルスが終わってしまうと言う噂もありましたが無事継続されることになって一安心。しかし果たして次回はあるのでしょうか?プログラムには次回の予告については明記されてなかったのが気になります(ヘ短調、0、1、2、7番はまだ演っていない)。大町のブルックナーはこのチクルスの最初に当たる8番が東京と大阪で演奏され、大阪のそれを聴きに行きましたが(オケは大阪シンフォニカー、大阪センチュリー合同オケ)それが素晴しかったので(この演奏はCDにもなっています、が、高いので買ってません^^;)それ以来大町のブルックナーは聴きに行くことにしています(翌年の4,5番は未聴)。
で、感想はと言うと、ただただすごかった。
アバドやレーグナーの演奏の対極にあるような演奏で、バーンスタインやジュリーニを思わせるほど重厚な演奏だったと思います。ブルックナー休止と呼ばれるゲネラルパウゼもたっぷり取って、これがブルックナーだ!と言う感じの演奏でした。でも、ただテンポを遅くするんじゃなくて、その分たっぷりと弦を歌わせていたと思います(例えば1楽章最初の金管による盛り上がりのあと、弦がピチカートで下降していった後の弦のメロディーなど)。また、2楽章の打ち込みの箇所は相当なきびしささえ感じられました。良いとか悪い(悪くはなかったが)とかではなくて、ただただすごかった。ここまで重厚な演奏になるとは思ってなかったのでびっくりしたが、大町もすごかったが東フィルもよくぞ大町に着いていってああいうものすごいブル9を聴かせてくれたと、そういう意味で感動してしまいました。コンマスの人なんかそのまま倒れてしまうんではないかという気合の入りようでした。楽しめたか、と言うと十分に楽しめた演奏会ではあったけど、ブル9を聴くたびにああいう演奏が流れてとういうのはちょっと辛い(笑)。
ワーグナーの方も、葬送行進曲らしく重厚でまさしく音の洪水みたいで十分に楽しめました。東京オペラシティ・コンサートホール。 


<4> 5月10日 大阪フィルハーモニー交響楽団第368回定期演奏会 ★★★★★

G.マーラー:交響曲第2番「復活」
管弦楽&合唱団:大阪フィルハーモニー交響楽団、大阪フィルハーモニー合唱団
指揮:大植英次

♪朝比奈隆の後任としてあっと驚く人事で大フィルの新音楽監督に就任した大植英次の新音楽監督就任披露演奏会の2日目に行ってきました。今シーズンから大フィルの定期はフェスティバルホールからシンフォニーホールに会場を移して2回開催となりました。

いまは遠く離れた所に住んでいますが、地元のオケの新しい門出に参加したいと思い、日頃あまり聴かない「復活」も集中して聴いてこの演奏会に臨んでいました。
実は大フィルの名演奏を楽しみにしていたというより、大植英次大フィル音楽監督就任披露演奏会という記念イベントに参加したいと思っていました。結構ミーハーだったりします^^;(年末の第九も僕にとってはイベント色のほうが強かったりします。)だから出来があまりよくなかったとしても「それはそれで・・・これからこれから」と思っていました。
しかし、とっても素晴らしい演奏会となったと思います。細かいミスとか気になる点はありましたが、何回か聴いた大フィルの演奏会の中でもそうそう聴ける演奏ではないなと思いました。合唱もgoodでした!

これからの大フィルがとっても楽しみになった演奏会だったと思います。たのむぜ大植英次!と言ったところでしょうか^^終演後何度も呼び出され、聴衆も興奮もすごくいつまでも拍手が鳴り止みませんでした。

演奏会前に集中して聴いていたのは、メータ/ウィーン・フィルのもので、CD1枚に収まるものだったけど、この日演奏された「復活」はそれに比べるととっても重厚でテンポが遅かったので、その差に少々面食らいました。以前聴かせてもらったことのあるマゼールのものを思い浮かべるほどでした。大阪 ザ.シンフォニーホール


<5> 11月29日 イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団 大阪公演 ★★★

シューベルト:交響曲第6番
G.マーラー:交響曲第6番「悲劇的」
管弦楽:イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ズービン・メータ

♪3年前に同コンビが来日したときはシェエラザードとショスタコーヴィッチの交響曲第5番でしたが、そのときの演奏がよかったので今回も期待していました。曲目もマーラーの「悲劇的」だし、僕自身5月の生演奏会ということもあって楽しみにしていました。でも結論から言うと今回は普通でした。第1楽章の出だしを聴いて(それまでショルティ指揮シカゴ交響楽団のCDを聴いていたせいもあるんでしょうが)テンポも遅く、かなり重いなぁと感じました。そのせいか冒頭のコントラバスによるズン,ズン,ズン,ズンというというアンサンブルもかなり雑に感じられました。第4楽章はマーラー自身の「破滅」を表した音楽であると言われることもあるように荒々しい音楽ですが、いろんな楽器がごちゃごちゃしすぎているとなと感じました。結果的には第2楽章、第3楽章が一番よかったかな?と思いました。

特筆することがあります。
マーラーはこの曲を初演したときに、第2楽章スケルツォと第3楽章アンダンテを入れ替えたことがあります。その後、最終的に元に戻しているため現在ではスケルツォ→アンダンテの順で演奏されるのが一般的ですが、なんとこの日はアンダンテ→スケルツォの順で演奏されました。それ以外はあまり特筆することはない演奏だったと思います。

最近の演奏会では、マーラーの交響曲が取り上げられることも多くなりましたが、「悲劇的」はまだまだ頻繁に演奏されることはなく、僕も「悲劇的」を生で聴くのははじめてでしたが、今回はあまり感動出来なくて残念でした。
もう一つ残念なことがあります。シューベルトでは曲が終わる前に、マーラーでは指揮者がタクトを降ろす前に拍手がありました。ああいうことをされるといい演奏会だったとしても興ざめです。大阪 ザ.シンフォニーホール


<6> 12月29日 大阪フィルハーモニー交響楽団 第九シンフォニーの夕べ ★★★★★

ベートーヴェン 交響曲第9番ニ短調「合唱つき」
管弦楽&合唱団:大阪フィルハーモニー交響楽団、大阪フィルハーモニー合唱団
指揮:広上淳一

さて、年末恒例の大フィルの第九を今年も聴きに行ってきました。今回は広上さんが振ったのですが、これがすごくよかったです。僕にとっての年末の第九というのはイベント的要素が大半を占めていて、よっぽど悪い演奏でなければ普段行く演奏会の批評なようなことはしないんですが、はじめて聴く広上さんはよかったです。
生で聴いた第九の中では一番よかったかも知れません。
そうそう、終演後の合唱団によるスモーク付の「蛍の光」も復活したし、年の暮れををいっぱい感じられました。大阪フェスティバルホール




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