やっぱ実演? 〜2012年〜


僕が行った2012年の演奏会の感想です。


<10>12月29日 「第九 シンフォニーの夕べ」

曲目
 L.ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」
指揮
 マックス・ポンマー
管弦楽
 大阪フィルハーモニー交響楽団
ソリスト
 ソプラノ:市原 愛、アルト:坂本 朱、テノール:福井 敬、バリトン:小森輝彦
合唱団
 大阪フィルハーモニー合唱団
場所
 大阪ザ・シンフォニーホール

♪今年の締めくくりも、年末恒例クラシック界の大阪の風物詩、大阪フィルの「第九シンフォニーの夕べ」に行ってきた。大阪フィルの音楽監督が大植英次の後が不在なのは、橋本知事のせいではないかと思っている。そりゃあこの財政難の時期、音楽監督を雇って年末の第九の指揮を任すよりは、スポットで指揮者を呼んでくるほうが、経済的なのだろう。まぁ、大植英次がいたころもあまり「第九シンフォニーの夕べ」は振ってなかったけどね。

 さて、何月だったろうか、大阪フィルから「第九シンフォニーの夕べ」の指揮者変更の通知があった。ヴォルフ=ディーダー・ハウシルトからマックス・ボンバーに変更するとのこと。どっちも知らない指揮者で、なんだハルク・ホーガンの必殺技「アックス・ボンバー」みたいな名前だなと思ったら、良く見たら「ボンバー」ではなく「ポンマー」。なんちゅう気の抜けた名前やねん!と思っていたら、当夜の演奏は、ひさびさに重厚な演奏で、大変満足の行くものだった。テンポは速めだったんだけどそれなのに重厚で、大阪フィルであんな第九を聴いたのはひさしぶりだった。終演後はブラヴォーも飛んでいたが、ひとつ笑えるのが、オケがはけた後、はける途中の合唱団に対して拍手が贈られていたのに、自分が聴衆に呼ばれているのと勘違いして、ポンマーはもう一度舞台に出てきたこと。
 来年の第九は新しくなったフェスティバルホールでやるのだろうか?第九終演後の合唱団による「蛍の光」の復活を期待しているのだが。


<9>11月24日 バイエルン放送交響楽団 西宮公演

曲目
 L.ベートーヴェン:交響曲第4番、第7番
アンコール
 シューベルト:楽興の時 D.780 第3番
指揮
 マリス・ヤンソンス
管弦楽
 バイエルン放送交響楽団
場所
 兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール

♪開演前にプログラムを読んでいると、「パンッ」という乾いた大きな音が。結構大きな音。周りの聴衆も「何事か?」という感じであたりを見渡していたが結局原因は解らず終い。ステージ上方の照明が1つ消えているのを見つけたが、それが破裂したのかはわからない。破裂したのなら、破片がステージ上に落ちてくるはずだがそれもない。破裂したのならもっと大変なことになっていただろう。ホールの人が2人ステージに出てきて双眼鏡で、消えてる照明を見ていたが、結局大きな音の原因は解らず。

そんな中で演奏がはじまりました。何年か前に、アバドがベルリン・フィルと来日したが、そのときにヤンソンスも同行している。僕はアバドが好きなのでヤンソンスにはほとんど興味はなかったが、そのときにやったドヴォルザークの「イギリス」の評判がよかった。そのときにはアバドの陰に隠れていた感じだったけど、そのヤンソンスもいつの間にか「巨匠」の仲間入りに。
ということで僕はヤンソンスを生で聴くのははじめて。ベートーヴェンも嫌いではないが他の作曲家に比べると、積極的に聴く回数は少ない。ということもあって、ヤンソンスならではというのはわからなかったが、先日のティーレマンもそうだったが、アコーギクよりデュナーミに重きを置いているのかなという感じ。フレーズの強弱を体で表現していた。ヤンソンスよりもオケの方に特筆するべきことがあったような。一言で言うと、「やっぱこのオケ上手いわ」なのである。よく、世界の2大オーケストラと言えば、ウィーン・フィルとベルリン・フィルを挙げる人が多いけど(当然、人によってまちまちだが)、ウィーン・フィルとバイエルン放送響としてもいいくらいでは?と思ったのでした。


11月11日 バンベルグ交響楽団 西宮公演
曲目
 モーツァルト:ピアノ協奏曲第17
 ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」
ソリスト・アンコール
 シューマン:ファンタジー作品17より
指揮
 ヘルベルト・ブロムシュテット
管弦団
 
バンベルグ交響楽
ピアノ
 ピョートル・アンデルシェフスキ
場所
 兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール

♪休憩前のモーツァルトのピアノ協奏曲がはじまったと同時に高周波音が鳴りだした。それに反応したのか、僕の斜め前に座っているよしもと新喜劇の島田一之介似の男性が「そんな露骨に嫌な顔をせんでも」というくらいな顔でホールを見回した。休憩前に、高周波が鳴り出したことに関するお詫びと、調べたがホール側には異常がなかった旨と今一度聴衆への注意喚起のアナウンスがあった。休憩後のブルックナーがはじまる前に舞台へセンターのゼネラルマネージャーが出てきて、同様のアナウンスと、はじまる前の「無音状態」の確認が行われ、また、聴衆からのそれに対する助言を求めた。高周波音が鳴り出した環境を作っては、などの意見があった。補聴器が外れたら音がずっと鳴り出す機種もあるらしい。わざわざゼネラルマネージャーが出てきて対応するなんてところは、開場前にホール前の禁煙スペースを確保するスタッフのやる気のなさを見る限り、こういう親切(?)な対応はシンフォニーホールではできないなと思った。
 休憩明けのブルックナーは高周波音もなく楽しむことができた。「クラシック界の銀行員」ももう85歳である。「クラシック界の頭取」と直さないといけない。いや、もう定年か?(笑)。ブロムシュテットのブルックナーの実演といえば、2005年の京都コンサートホールでの7番を思い出す。京都コンサートホールを鳴らしきった、素晴らしい演奏だったが、今回の4番も、オケはところどころ傷もあったがすごかった。大ホールを鳴らしきっていた。85歳にしてあそこまでパワフルな演奏ができるとは。やはりブロムシュテット恐るべしである。

ソリスト・アンコール、長すぎ^^;


<7>11月4日 シュトゥットガルト室内管弦楽団大阪公演

曲目:バッハ:フーガの技法 ニ短調 BWV1080より
         2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調BWV1043
    モーァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク
    バッハ:管弦楽組曲第3番より「G線上のアリア」 
    チャイコフスキー:弦楽セレナーデ
アンコール:モーァルト:ディベルティメントK.136より第3楽章
        ハイドン:セレナード
指揮:ギュンター・ピヒラー
管弦楽:シュトゥットガルト室内管弦楽団
場所:大阪ザ・シンフォニーホール

♪シュトゥットガルト室内管弦楽団はシュトゥットガルト放送交響楽団の弦セクションかと思っていたら、そうではなくて独立した団体のよう。室内楽団だけあってテクニックや音色はまさに絶品。でも僕は普段から室内楽はあまり聴かないので(有名な曲が多いんだけど)テンポがどの曲もちょっと速め?ぐらいしかわからず、すごい上手いんだけど感動までは行かなかった、というのが素直な感想でした。
(シンフォニーホールのプログラムには、休憩のあとに、「弦セレ」に続いて「G線上」。なんかおかしいなと思っていたらやっぱり実際の演奏順は逆。「弦セレ」と「G線上」とだったら「G線上」の方が先にやるの決まってるだろ。曲の規模からも考えてもそれは明白。なに考えてるんだ?クラシック専用ホールが配布してるくせに。)


<6>10月28日 〜女神たちの”愛のうた”〜

曲目:バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第2番より「シャコンヌ」(長谷川)
    ドビュッシー:「月の光」(仲道)
    ショパン:バラード第1番(仲道)
    バッハ/グノー:アヴェ・マリア(千住・仲道)
    草川信/千住明:夕焼け小焼け(千住・仲道)
    クライスラー:レチタティーヴォとスケルツォ・カプリス(千住)
    ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲 第7番「大公」(千住・長谷川・仲道)
アンコール:メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲 第1番より「第2楽章」(千住・長谷川・仲道)
演奏:千住真理子(ヴァイオリン)
    長谷川陽子(チェロ)
    仲道郁代(ピアノ)
場所:大阪ザ・シンフォニーホール

♪現在、国内のクラシック音楽界の第一人者で、クラシック音楽界を牽引していると言っても過言ではない3人の演奏が一度に聴けるとあって、ほとんどミーハーのような気もするが、クラシック愛好家としてはこの3人の演奏を聴いておくべきと思い行ってきた。ただ、いつもはオケものばかり聴いているので、器楽の感想は他の人に譲るとして、協奏曲のアンコールとはまた違った音色を楽しむことが出来た。舞台にはピアノだけ、というシチュエーションだけでもこんなに音色を変えるのか、思った。いつもはオケものばかり聴いているが、たまにはこういう演奏会に行くのもいいのではないでしょうか。


<5>10月21日 ドレスデン国立歌劇場管弦楽団日本ツアー

曲目:ブラームス:交響曲第3番、第1番
アンコール:R.ワグナー:歌劇「リエンツィ」序曲
指揮:クリスティアン・ティーレマン
管弦楽:ドレスデン国立歌劇場管弦楽団
場所:京都コンサートホール

♪すごかった、素晴らしかった、京都まで行った甲斐があった。ブラヴォー飛ばしちゃった。

アンコールのリエンツィがブラ1に輪をかけてよかった。いままでのコンサートで、アンコールがよかったって言うときがあったけど、単にアンコールのほうがよかったとかのレベルじゃない。あんなリエンツィというか、あんなアンコール聴いたことがない。


<4>10月20日 チャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラ ウラディーミル・フェドセーエフ80歳記念日本ツアー

曲目:リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」
    チャイコフスキー:弦楽のためのセレナードハ長調
                 大序曲「1812」
アンコール:スヴィリードフ:「吹雪」より「ワルツエコー」
       チャイコフスキー:「白鳥の湖」より「スペインの踊り」
指揮:ウラディーミル・フェドセーエフ
管弦楽:チャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラ
     (後半2曲はPAC共演)
場所:兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール

♪ひさしぶりの芸文センター。
モスクワ放送交響楽団がロシア文化省から許可を得てチャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラに改名したそう。シェエラザードは1〜3曲目まではだいぶテンポが遅かった。それでもやはりロシアのオケだけあって音は大きかった。しかし、縦の線はあまり合っていなかった(笑)音が大きくて縦の線が合ってないもんだから、なにをやっているのかわからない所もしばしば。
よかったのは弦セレ。PACとの共演だったから弦セクションだけでも人数がたくさんで舞台狭しと弦セクションが集まった。なにしろコントラバスが11本(!)楽器配置は両翼で、コントラバスが後方中央に陣取ってるから見てて爽快。弦セレは3曲目もよかったけど、2曲目のワルツがよかった。
「1812」もPACと共演で、コントラバスが13本(!)。鐘がチューブラベルではなくて釣鐘型のベル。「1812」はちょっと迫力不足。ベルもそうだけど、作曲者と同じロシアのオケだからキャノン砲みたいなものがあるのかと思っていたら、なんとバスドラで代用。それに曲をカットしていたようだし。
シェエラザードとかコンマスのソロはすごくよかったんだけど。
アンコールの「ワルツエコー」のコンマスのソロなんか素晴らしくて、よくあんな甘い音を出せるなぁってくらいだったんだけど。

フェドセーエフももう少し「見栄」をきってほしかった。昔みたいに曲の終わりにポーズを決めるとか・・・まぁ年月が経ってるから仕方ないけど。


<3>7月14日 聖響 神々の音楽 第3回ワーグナー&マーラー 

曲目:R.ワーグナー:舞台神聖祝典劇「パルジファル」より「第1幕への前奏曲」
    G.マーラー:交響曲第5番
指揮:金 聖響
管弦楽:関西フィルハーモニー管弦楽団
場所:大阪 ザ・シンフォニーホール

♪パルジファルはもう少し荘厳に神々しくやってほしかった。
ちょっとうるさすぎ?
マーラーはミストーンもちょこちょこあったけどよくぞやったっていう感じ。会場も終演後は拍手とブラボーで熱狂的でした。ただちょっとうるさすぎ?
ここまで書いて気付いたのだけど、聴いた席が前から5列目。うるさいと感じたのはそのせい?あまり前すぎるのもいかがなものか。
前回、どうしても大阪フィルと比べてしまうと書いたのだけど、いままであまり行かなかったのは下手(上手いか下手かは置いといて)だからという理由だからではない。「たまたま」、「なんとなく」なのである。なんともあやふやな^^;でも、ひとつだけはっきりしたことがわかった。同じ在阪老舗オケでありながら関西フィルと大阪フィルとの違い。それは関西フィルの演奏は、良くても悪くても【あまり印象に残らない】ということだと思う。


<2>6月16日 ロイヤル・フランダース・フィルハーモニック 大阪公演  

曲目:エルガー:チェロ協奏曲ホ短調
    ソリストアンコール:バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番より第1曲
    G.マーラー:交響曲第1番「巨人」
指揮:エド・デ・ワールト
管弦楽:ロイヤル・フランダース・フィルハーモニック
チェリスト:ポール・ワトキンス
場所:大阪 ザ・シンフォニーホール

♪2001年にヘルベッヘとブルックナーの9番の4楽章版を演奏しにきた。場所はすみだトリフォニー。東京だったけど4楽章版をやるというので聴きに行った。日帰りだった。そのときはまだ元気があった。失礼な話だけど、オケ目当てじゃなく、完全に曲目当て。
 今回はまず、チェリストに変更があった。マリー=エリザベート・ヘッカーからポール・ワトキンスに代わったのだけど、どっちも知らないのでどっちでもいい(笑)。エルガーのチェロ協奏曲ははじめて聴いたけど、どうしてあんなに物悲しいのだろう?アンコールにバッハの無伴奏チェロ組曲第1番より第1曲をやったのだけど、これは聴いたことがあったけど上手いなぁと思った。
 おどろいたのはオケ。まぁ、BPOやWphと行かないまでも上手かった。今回も失礼な話だけど、オケ目当てじゃなく、完全に曲目当て・・・だったけど、なかなかどうして。「かっこう」とかの飾り(?)は音が大きいなと思った以外はしっかりと楽しめた。失礼な話が、そんなに期待してなかったから逆に楽しめた。それにしても最後のスタンドアップ、長かったなぁ。トラペットとトロンボーンも1本ずつ立ってたし(笑)。


<1>6月2日 聖響 神々の音楽 第2回ワーグナー&ブラームス 

曲目:R.ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より「第1幕への前奏曲」
              楽劇「トリスタンとイゾルデ」より「前奏曲」、「愛の死」
              歌劇「タンホイザー」より「序曲」
    J.ブラームス:交響曲第1番
アンコール:R.ワーグナー:楽劇「ローエングリン」より「第3幕への前奏曲」
指揮:金 聖響
管弦楽:関西フィルハーモニー管弦楽団
場所:大阪 ザ・シンフォニーホール

♪どうしても大阪フィルと比べてしまいます^^;
関西フィルと言えば、大阪フィルと大阪のクラシック界を2分する、在阪オーケストラの老舗の1つなんだけど、どうも知名度は大阪フィルのほうが高いみたい。僕も大阪フィルは何度も聴いたことがあるけど、関西フィルは2,3回しか聴いたことがない。大阪フィルのほうが上手いからという理由ではないです(そもそも、大阪フィルと関西フィルのどちらが上手いかは知らないし)。去年、藤岡幸夫と関西フィルとブラームスの交響曲第1番とベートーヴェンの「運命」をやったときに聴きに行ったけど、正直、藤岡幸夫の熱血さしか印象に残ってない(笑)。
当夜は、アンサンブルに少し傷があったり、アインザッツがいまいち揃わなかったり(特にタンホイザー序曲の冒頭、大阪フィルの金管もアインザッツの悪さには特筆するものがあるとは思うけど)、総合的に見たらやっぱり大阪フィルに軍配があったかな?それでも、前半のワーグナーこそすれパワーが足りないかなと思ったものの、後半のブラームスは素晴らしいできだったと思うし、これからもチェックすべき楽団だなと思います。
コンマス、かっこよかったなぁ。ちょいわるみたいで^^いや〜、しぶい(死語)。



「クラシックの部屋」に戻る。