やっぱ実演? 〜2017年〜


僕が行った2017年の演奏会の感想です。


<9>12月30日 第9シンフォニーの夕べ 
曲目
 ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」
指揮
 尾高忠明
管弦楽
 大阪フィルハーモニー交響楽団
ソリスト
 ソプラノ:森麻季
 アルト:小川明子
 テノール:福井敬
 バリトン:須藤慎吾
合唱団アンコール
 蛍の光
場所
 フェスティバルホール

♪今年の年末恒例の第9シンフォニーは尾高忠明。今年はオケより合唱の方がよかったような気がします。指揮者もノリノリで(笑)いい演奏会でした。そしてこれも恒例の、合唱団による「蛍の光。」いつものように幻想的な演出に感動しました。別に何もないんだけど、「今年もいろいろあったなぁ」って気持ちにさせられてしまいます。尾高忠明って井上道義の後任なんだって。知らなかった。それにしても、福井さんってすごいな〜。


<8>12月3日 マリインスキー歌劇場管弦楽団 日本公演2017 
曲目
 ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
 チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
            交響曲第5番
指揮
 ワレリー・ゲルギエフ
管弦楽
 マリインスキー歌劇場管弦楽団
ソリスト
 庄司紗矢香
ソリスト・アンコール
 パガニーニ:パイジェルロの「水車屋の娘」より「うつろな心」のテーマ
オーケストラ・アンコール
 リャードフ:魔法にかけられた湖
場所
 大阪 ザ・シンフォニーホール

♪ひさしくゲルギーのチャイコを聴いてなくて、生のゲルギーのチャイコを聴いたんだけど、解釈が変わったのかな?それともひさしぶりに聴いたのでそんな気がしたのかな?ロシアのオケは爆演だと思っていたら、意外と爆演じゃなかった。ヴァイオリン協奏曲は、庄司紗矢香の超絶技巧。1楽章が終わったところで「ブラヴォー」が出たくらい。他の聴衆もつられて拍手喝さい。でもあの「ブラヴォー」は1楽章しかない曲と勘違いしたんじゃないかな?いや、庄司紗矢香の超絶技巧はすごかった。特に終楽章が。帰りの頭の中には、なぜか「牧神」がぐるぐる。
教訓
 ノリノリのおばちゃんに横に座られると、いい演奏会でも冷めてしまう。


<7>11月5日 チャコフスキー・シンフォニーオーケストラ(旧 モスクワ交響楽団) 日本ツアー2017 
曲目
 ボロディン:交響曲 第2番
        だったん人の踊り(歌劇「イーゴリ公」より)
 チャイコフスキー:バレエ「くるみ割り人形」より
            T.花のワルツU.葦笛の踊りV.ロシアの踊りW.終幕の踊りX.アラビアの踊りY.祖父の踊りZ.子守歌[.情景-深夜?クリスマスツリー
            序曲「1812年」
指揮
 ウラジミール・フェドセーエフ
管弦楽
 チャイコフスキー・シンフォニーオーケストラ
アンコール
 チャイコフスキー:バレエ「くるみ割り人形」より「アラビアの踊り」
場所
 兵庫県立芸術文化センターKOBELCOO大ホール

♪曲目が2日前のロシア国立交響楽団とダブってますが・・・。
久しぶりのフェドセーエフです。でも、いまいちだった。ボロディンの交響曲第2番といえば、カルロス・クライバーのめずらしいレパートリーだけど、僕はあまり好きではない。ベートヴェンの「運命」よろしく、1楽章の暗いフレーズの旋律の執拗なまでの繰り返し。4楽章の支離滅裂さ。若い時の話とは言え、クライバーはなんであんな曲をやったんだろう?くるみ割りはよかったけど、「1812」は3日のシンフォニック・カペレのような演出は一切なし。金管のスタンドアップも、ベルだけ残すこともなく、カペレはチューブラーベル、こっちは鐘を使ってました。ロシアのオケは爆演何て言いますが、同じ爆演でもカペレはまじの爆演だけど、こっちは大人し目の爆演(こっちは大人し目の爆演ってなんだ?)。だったん人も1812もなんか大人しかった。ホールが広すぎてぼやけた?そうだ、座席が悪かったんだ、座席が。一番端なのに、なんでS席なんだ!いまいち不完全燃焼なのは座席が悪かった性にしよう。


<6>11月3日 ロシア国立交響楽団《シンフォニック・カペレ 日本ツアー2017 
曲目
 ボロディン:歌劇「イーゴリ公」より「ダッタン人の踊り」
 チャイコフスキー:交響曲第4番
            序曲「1812」
            交響曲第5番
指揮
 ワレリー・ポリャンスキー
管弦楽
 ロシア国立交響楽団《シンフォニック・カペレ》
アンコール
 ショスタコーヴィチ:バレエ音楽「ボルト」より「荷馬車引きの踊り」
場所
 ザ・シンフォニーホール

♪最初はあまり乗り気ではなかった。プログラムに、交響曲第4番と第5番の2つがあったから。こんな大曲を2つもやるなんて、しかも「1812」もやるなんて、きっと荒削りで大味な演奏になるんだろうなって。2年前には、第4番、第5番、第6番を一気にしたそうだが。予想通り「ダッタン人」は冒頭のアインザッツが合ってなくて、横の線が合わない箇所がちらほら。ところがこのオケ、尻上がりによくなるオケみたいで、このあとがすごかった。横の線が合わなかったらどうなることやらと思われた、4番の3楽章の早いピチカートをバシッと決めたところなんかすごかったし、5番の2楽章が終わったところで、拍手が聞こえたが、僕は4番の3楽章が一番よかったと思う。休憩後の「1812」も途中で金管を立たせたのは初めて見たし、ベルが一番最後までキンコンカンコン鳴らしていたのは初めて聴いた。5番は上述にもあるように、途中で拍手か聞えるくらいすごくて、ホルンのソロも素晴らしかった。とにかくどの曲もロシアのオケらしく、豪快で爆炎ではあったが、ホールも湧きに湧きあがった。「ダッタン人」はすこし残念だったが、まさしく「圧巻」だった。アンコール曲は初めて聴く曲。強烈な、トロンボーンのグリッサンドで始まる曲。これも◎。いい演奏会でした。
しかし、あのプログラム、あれで一部1,000円はないよな^^;


<5>10月15日 京都市交響楽団 
曲目
 ウォルトン:「スピットファイア」前奏曲とフーガ
 ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲 第1番
 ブラームス:交響曲第1番
指揮
 広上淳一
管弦楽
 京都市交響楽団
ヴァイオリン
 ボリス・ベルキン
場所
 兵庫県立芸術文化センターKOBELCOO大ホール

♪学生時代は京都だったので、愛着がある京都のオケ、京響がやって来ると大抵は聴きに行く。それにうまい!
前半2曲は聞いたことがない曲。ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲 第1番くらいは聞いたことあるのではと思うかもしれないが、僕はショスタコーヴィチにはあまり興味がないので・・・。ウォルトンはなんだか吹奏楽曲みたいな感じ。ショスタコーヴィチはいかにもショスタコーヴィチらしい曲で、相変わらず気難しい曲でなんとも超絶技巧な曲だった。しかしベルキンのテクニックは素晴らしく、終演後も何度も何度も呼び出されて、呼び出される度にオケを称賛するんだけど、ホールはベルキンを称賛する声で包まれました。メインプロのブラームスは(ショスタコーヴィチそうだけど)相変わらず上手かった。毎回思うんだけど、このオケはなんでこんなに上手いんだろう?


<4>10月8日 チェコ・フィルハーモーニー管弦楽団 大阪公演
曲目
 ドヴォルザーク:謝肉祭
 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
 ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」
指揮
 ペトル・アルトリヒテル
管弦楽
 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
ピアノ
 アリス=紗良・オット
アンコール
 ソリストアンコール:ベートーヴェン「エリーゼのために」
 オーケストラアンコール:スラブ舞曲より第2集第7番、第8番
場所
 ザ・シンフォニーホール

♪首席指揮者のイルジー・ビエロフラーヴェクが、5月31日にプラハで逝去したため、来日公演は代役としてペトル・アルトリヒテル登場。アルトリヒテルは、今年の「プラハの春音楽祭」でもビエロフラーヴェクの代役として登場したそうである。勉強不足でこの指揮者を全く知らなくて、すでに、チケットを買っていた僕は、「大丈夫かこのおっさん、せっかくのチェコ・フィルなのに」と思ってたけど、すごい指揮者だった。謝肉祭の前半は、ポイントだけ指示して、あとはオケに任せるスタイルで、「あれ、この指揮者はカルロス・クライバーみたいに棒を振らないスタイルなのかな?」と思ったけど、ちょっと変わった指示の仕方等、面白い指揮者で、「新世界より」の最終楽章なんかはもうノリノリだった。オケの方は、相変わらずの柔らかく、それでいてしっかりとした音で、「新世界より」の第2楽章冒頭のアインザッツが合わなかった以外は、全く危なげがない素晴らしい演奏でした。当夜はアリス=紗良・オットの「皇帝」もあったのだけど、申し訳ないがさすがに飛んでしまった感があり非常に残念です。アンコールの2曲目に、スラブ舞曲より第2集第8番を持ってくるあたりもなかなかやるなと思いました。曲の前に、「メモリー 〇△※◇(聞き取れなかった)」と言ったんだけど・・・。う〜ん、「新世界より」もよかったけど「わが祖国」も聞いてみたかった。
というわけで、大変素晴らしい演奏会でした。

ただ、一点を除けば・・・。
ブラヴォーが早いんだよ!バカじゃないの?空気読めよ!お前はもう来るな!


<3>6月30日 ドレスデン・フィルハモーニー管弦楽団 大阪公演
曲目
 ブラームス:交響曲第1番、4番
指揮
 ミヒャエル・ザンデルリンク
管弦楽
 ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団
アンコール
 ハンガリー舞曲第5番
場所
 ザ・シンフォニーホール

♪1番も4番も尻上がりによくなっていった演奏だと思います。特に4番は、オケの力量の差が出ちゃったかな?という感じがしましたが、冒頭の一音が少し長めで僕の好みだったので、ま、いいか(笑)。特によかったのは、第2楽章でした。第3楽章は普通でしたが、第4楽章はそこそこよかったです。まぁ、第4楽章はだれがやってもある水準の演奏は確保できるんで・・・。びっくりしたのは1番。さっきのと同じオケか?と思っちゃいました。尻上がりの演奏って書いたけど、エンジン全開になるのでは1番の方が圧倒的に早かった。低音もしっかりしてて、このオケ、こんなに厚い音してたかなぁって感じ。
ミヒャエルは、緩急をつけた演奏が得意というか好きらしく、本プロでも何カ所あったんだけど、アンコールでもそれを炸裂させて、思いっきりデフォルメしていいました。
今年に入って、今年のベスト並みの演奏がつづいています。うれしい悲鳴です^^


<2>5月14日 フィルハーモニア管弦楽団 西宮公演

曲目
 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番
 マーラー:交響曲第6番「悲劇的」
指揮
 エサ=ペッカ・サロネン
ソリスト
 チョ・ソンジン
管弦楽
 フィルハーモニア管弦楽団
ソリストアンコール
 ドビュッシー:「子供の領分」より人形のセレナーデ
場所
 兵庫県立芸術文化センターKOBELCOO大ホール

♪いや、ほんとよかった、というかすごかった、凄まじかった。あんな重厚で厳しくて、荒々しい「悲劇的」が聴けるとは思ってなかった。もちろん荒々しい言っても、アンサンブルが荒削りとか言うのではない。冒頭のコントラバスの「刻み」からして荒々しくて、いままで聴いた「悲劇的」とは全然違う。ひさしぶりにブラヴォーしてしまった。チョ・ソンジンも何度もカーテンコールされ、聴衆も興奮してたけど、さすがに霞んでしまった。惜しむらくは、座席が右端だったこと。だから低音がバシバシ飛んできたんだろうか?あ〜、真ん中で聴きたかったなぁ。


<1>4月16日 京都市交響楽団 大阪特別公演

曲目
 ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
 ハチャトリアン:組曲「仮面舞踏会」より「ワルツ」、「夜想曲」、「マズルカ」、「ロマンス」、「ギャロップ」
 ストラヴィンスキー:バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)より「序奏」、「王女たちの踊り」、「カッチェイ王の魔の踊り」、「子守り歌」、「終曲」
指揮
 広上淳一
管弦楽
 京都市交響楽団
アンコール
 ビゼー:アルルの女第1組曲からアダージェット
場所
 大阪 ザ・シンフォニーホール

♪このオケは何度か京都まで聴きに行ったりいて、その度に上手いなぁと思っていたのだけど、今回はめちゃくや上手いなぁと思った。それだけ素晴らしい演奏だった。「運命」の第1楽章と第4楽章のメリガリのつけ方もよかったし、ハチャトリアンのワルツはアンコール曲のように(実際アンコール曲でもやることが多い曲だけど)、適度に力が抜けてて、あれ、もうアンコール?と思うくらいよかったし、火の鳥は、雰囲気満点で、バチバチと合すところも完璧だった。指揮台の上で飛び回る広上の要望にオケもよく応えていて、まさに蜜月状態が手に取るようにわかった。
こういう演奏なら、世界のどこに出て行っても太刀打ちできると思う。
今年最初の演奏会にして、一番の演奏会。



「クラシックの部屋」に戻る。