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第4次スーパーロボット大戦
作品解説
(その1・システム編)

【その2・世界観&ストーリー編はこちら】
【その3・登場ロボット編1はこちら】   
【その4・登場ロボット編2はこちら】   


 前作EXから1年後、第3次から数えると1年半後の1995年3月。
 スパロボファン待望の「第4次スーパーロボット大戦」が発売されました。

 この作品は、これまで以上に発売を期待させる仕掛けがありました。何しろ、前作EXのクリア後に、「Continued to Super Robot Wars IV」とはっきり示されましたからね。
 「EX」は楽しかったんだけど、短編3部作のため、どことなく物足りなさを感じていた。そんなNOVAは「第3次」を再三プレイしながら、「やっぱり、マジンガートリオが勢ぞろいして、ガンダムチームが勢ぞろいして、旧ゲッターがプレイできる長編スパロボがいいよなあ」なんて思っていました。

 NOVAにとって、これだけ「スパロボの続編を期待」したのは、他になかったかも。
 新スパロボとF、F完結編は、第4次とはちがった種類の期待ですからね。 「続編を期待」というよりも、「一度終わったシリーズが、装いも新たに再スタートする楽しみ」って感じ。このときは、現在のように、毎年確実にスパロボが出ることが保証されていない時代でしたしねえ。
 それ以降は、「スパロボがコンスタントに出る状況」になってるので、感動は薄れています。時間の都合で攻略もままならないし……。まあ、ぜいたくな悩みなのかも知れないけど。
 で、一番、思い入れのあるスパロボは何? と言われたら、やはり「第4次」と答えますね。

 「第4次」は、多大の期待をして、そして期待を裏切らない大作として登場しました。
 この作品は、「これまでのスパロボの集大成」であるとともに、「現在のスパロボのシステム&世界観を決定付けた完成形」と言えます。
 「第4次」までは「未熟な作品が完成するまでの道程」であり、「第4次」以降は「完成した作品に新たな価値をつけくわえるバージョンアップ」と考えられます。
 モビルスーツ(MS)に例えてみるなら、「第1次」が「旧ザク(ザクT)」、「第2次」が「量産型ザク(ザクU)」、「第3次」が「ガンキャノン」、「EX」が「プロトタイプガンダム」で、「第4次」が「アムロの乗ったRX78−2」という進化図。そして、「第4次」以降は、「〇〇ガンダム」の系譜と。

 なお、SFCで出た「第4次」は、翌96年1月にプレイステーションで「第4次S」としてリメイク。
 そちらは、初めて声優の声の入ったスパロボとして、やはり特筆に価する作品です。
 MSに例えるなら、「マグネットコーティングされたガンダム」に該当するかも。

 おまけ:「第4次」と「第4次S」の間に出た「第2次G」は、量産型の「GM」かな? ザクの発展系なので、「グフ」とか「ゲルググ」と考えてもいいけど。


1.第4次SR大戦
 
(この星の明日のためのスクランブルだ〜!
  守れ友を倒せ敵を 第4次スーパーロボット大戦だ!)

 長い前書きでした。それだけ思い入れがあるってことで(^^;)。
 では、具体的な内容に触れていきましょう。

●完成されたゲームシステム

 第4次になってから導入されて、現在のスパロボにも受け継がれたシステムは実に数多いわけですが、ここで一つ一つ振り返ってみましょう。

(1)反撃命令を戦闘ごとに下せるようになった。

 こいつは大きいでしょう。
 これまでの作品は、敵ターン時には味方ユニットに命令できませんでしたからねえ。前もって、「反撃時の行動を大まかに設定しておく」必要がありました。
 第2次以前は
「必ず反撃」
 第3次は
「部隊全体の反撃パターンが設定可」
 EXは
「個々のユニットの反撃パターンが設定可」と徐々に進化して、
 第4次に至って、ようやく
「戦いのたびに防御行動や使用武器を自由に選択できるようになった」わけです。

 今のスパロボから始めた人は、おそらく第4次までは、通常の感覚でプレイできると思いますが、SFCのEX以前では、大いにイライラさせられることでしょう。

 「何で、バルカンなんかで反撃するんだ!」とか、「どうして防御じゃなく回避を選ぶ!」とか。

(2)主人公の登場。

 本作では、プレイヤーの分身である主人公キャラ(4種類の性格と、男女2種の合計8通りから選択。キャラのセリフが決まる。さらに生年月日と血液型で精神コマンドが決まる)が初登場します。
 搭乗機は、「ヒーロー戦記」から復帰の
ゲシュペンスト。後に、リアル系のヒュッケバインか、スーパー系のグルンガストに乗り換えます。
 さらに、主人公の恋人が登場。選択によっては、途中から部隊に配属されたり、敵組織に所属していたのを説得によって引き戻したり、劇的な展開が待っています。恋人は
ゲシュペンストに搭乗可能(リアル系なら、その他のMSもOK)。ヒロイン的なキャラが前の主人公メカを操るのは、サンライズのリアル系アニメ作品(ダンバインやエルガイム)の伝統を受け継いでいるようです。

 その後のスパロボ作品で、主人公が登場しないものは、「新」「COMPACT」「α外伝」だけで、少数派なんですね。
 ちなみに、「COMPACT2」や「IMPACT」で、恋人のエクセレンが敵になることがしばしば大ニュースであるかのような記事が見られましたが、スパロボの伝統として、
「主人公がパートナーと対立する展開の見られる作品」はむしろ伝統となっています。「64」しかり「α」しかり「A」しかり。珍しいのは、説得が全く不可能な「A」ですね。「R」の主人公システムは果たしてどうなることやら。

(3)リアル系とスーパー系という設定。

 主人公の登場に準じて、ロボットを「素早い移動と回避、長距離戦が得意なリアル系」「頑丈な装甲と耐久力が自慢で、接近戦の必殺技が得意なスーパー系」の二種に大別。
 元々、「リアル系」「スーパー系」という分け方は「世界観」によるもので、「ガンダム以降、量産されている兵器の一種として扱われるのがリアルロボット」、「たった一台の超強力ロボットがスーパーロボット」という分け方でした。
 でも、
スパロボ以降、「回避主体のリアル系」と「装甲重視のスーパー系」という分け方が主流となっているようです。

 ただし、「第4次」以前は、「リアル」「スーパー」という分け方はされてません。なぜなら、登場ロボットの種類が少なかったから。
 「第3次」では、「MSとその他」しかないから、分けること自体、無意味。
 「EX」では、オーラバトラーが加わりましたが、オーラバトラー自体、「MSの回避性能と、マジンガーの装甲、ゲッターに準じる必殺技を持つ特殊メカ」なので、むしろ例外的立場。

 結局、「リアル」「スーパー」という区分が示されたのは、「第4次」の主人公設定が元祖ということになります。
 「第4次」での「リアル系」は、MSの他に、ダンバインのオーラバトラー、エルガイムのヘビーメタル、そして合体前の獣戦機が該当します。
 「スーパー系」も、レギュラーの
「マジンガーチーム」「ゲッターロボ」、第3次の「コン・バトラーV」「ライディーン」「ダイターン3」、EXの「ゴーショーグン」に、新たに「ダンクーガ」「ダイモス」「ザンボット3」が加わってますから、この時点で初めて、量的にもMSに匹敵する分派となったわけですね。

(4)ユニット性能に「運動性」追加。およびサイズの明示。

 ユニットの扱いですが、「運動性」という能力が、第4次から初めて追加されています。これは、ユニットの命中や回避に修正を与える能力で、「運動性」の高いユニットは単純に攻撃を当てやすく、避けやすいというものです。
 第4次以前では、命中・回避のデータは、パイロットの能力、および武器の命中率によるものでした。はっきり言えば、下手なMSパイロットよりも、命中率の異様に高い武装を持つスーパーロボットの方が、よほど攻撃を当てるのがうまかったわけです。

 しかし、第4次に至って、回避主体のユニットは、元々、運動性も高く設定されており、スーパーロボットのパイロットがリアル系の敵に攻撃を命中させることは、ザコ敵相手でも困難になったわけです。その分、精神コマンドの「必中」の重要性が増しました。
 逆に、味方の回避主体ユニットは、「運動性」を改造することで、敵の攻撃をほとんどかわすことができるようになりました。
エースパイロットのアムロとはいえ、命中率0%を標準的に実現できるようになったのは、第4次になってからです。第3次やEXのアムロは、意外と避けてくれないので、同じ感覚でプレイしない方がいいでしょう(精神コマンドの「集中」も持っていないしね)。

 あと、サイズによる命中率の変化が明示されたのは、第4次になってからです。それ以前は、戦艦が当てやすく、小さい戦闘機が当てにくい他は、大差なかったのでは、と思われます。何しろ、第3次では、超巨大ロボのダイターン3が敵の攻撃をヒョイヒョイ避けていたのを、覚えていますからねえ。万丈さんは、非常に優秀なパイロットだったんです。
 今だと、Lサイズのダイターンが「ひらめき」を使わずに攻撃を避けるなんて、まず考えられないことです。

(5)強化パーツの登場。

 「チョバムアーマー」「メガブースター」「プロペラントタンク」「リペアキット」。
 
改造以外の手段で、ユニットをパワーアップさせてくれる強化パーツが初めて登場したのが、第4次ですね。
 まあ、その原型は第2次のアイテムショップにあったわけですが、あれって基本的に「改造システムのない時代に、ユニットを強化するためにお金を使わせる手段」であって、回復あるいは能力強化の消費アイテムばっかりだったと記憶します。
 第4次に至って、装甲強化とか、移動力アップとか、運動性強化とか、多彩な強化パーツが登場したことで、ユニットを強化する楽しみがますます広がったといえますね。

 ちなみに、第4次での強化パーツは、マップに埋まってある隠しアイテムみたいな扱いです。
 この原型は、第1次に「武装などの強化パーツ」がマップに埋まっている、という先例があったそうですが、NOVAは詳しく知りません。「マジンガー用の武器」とか「ガンダム用の武器」などがマップ内に隠されており、レベルアップとは別に、武装強化が可能というシステムだったらしいです。
 それはともかく、第4次のシステムは、「新」にまで受け継がれ、戦闘とは別に、移動力の高いアイテム探索ユニットを設定しないと、効率の良いマップクリアはできない物でした。
 
「GP01フルバーニアン」なんかは、戦闘は弱いけど、理想的なアイテムゲット係として移動力をフルに生かしていました(おかげでウラキのレベルが上がらない^^;)。

 「F」以降は、強化パーツは敵を倒した際に得られるシステムに変更。現在の主流となっています。

(6)気力上昇ルールの変更。

 敵からダメージを受ければ、気力1アップ。
 敵を倒せば5アップ。
 補給や戦艦への搭載で気力ダウン。
 大体、これが気力のルールですが、
「味方が敵を倒せば気力1アップ。味方が倒された場合には、パイロットの性格によって増減する」というルールが第4次で追加されました。

 これにともない、気力のあまり必要でないリアルロボットやマジンガーチームが先陣として敵を迎撃、味方の気力を高めた上で、満を持してスーパーロボットが強力な必殺技を使う、という戦術パターンが確立しました。

 また、パイロットの性格に「弱気」「普通」「強気」「超強気」が設定。これは味方が倒されたときの気力の変動を意味します。でも、ふつうは極力、味方キャラを倒されないようにプレイすると思うので、気にすべきは味方よりも、敵ボスの性格でしょうね。「超強気」のボスは早めに倒すべき、というのも第4次以降の戦術パターンということで。

 なお、第4次の時点では、「敵にダメージを与えても気力1アップ」だったのが、F以降、なくなってしまったので、回避&削り主体のユニットはなかなか気力が上がってくれないのが、悲しくなっています。第4次では、ショウのビルバインは、敵の攻撃を避けながら、相手に攻撃を当てて、どんどん気力アップしていく化け物キャラでしたからねえ。

(7)敵データの隠蔽。

 敵の能力は、戦うまで「?」表示されるようになりました。
 逆にHPは、それまで1万以上は「?」表記だったのに比べて、一度戦えば、最大HPまで分かるようになりました。
 そして、
1万以上のダメージを一撃で与えられるようになりました。

(8)精神コマンド。それと合体話。

 主人公級のキャラはみんな「熱血(攻撃力2倍)」を覚えて、エースパイロットはさらに「魂(攻撃力3倍)」を覚えて、リアル系のエースは「集中」覚えて、ヒロイン系は「信頼」覚えたりして、マジンガーチームが「鉄壁」覚えて……など、キャラクターのイメージに合わせた精神コマンドを覚えるようになったのは、第4次が最初です。
 第3次では、アムロが「根性」「気合」なんかを覚えますからねえ。
 第4次以前は、全体的にダメージを受けやすい作品だからか、どのキャラも割と「根性」あるいは「ド根性」を覚えたりしてました。
 第4次では、リアル系エースパイロットは、とにかく避けますからねえ。「根性」よりも「集中」の方が、よほど大事なわけです。

 精神コマンドについて掘り下げると、システムの変化に合わせて、強化パーツ発見用の「探索」と敵の能力を知る「偵察」が追加。
 また、3倍のダメージを与える「魂」も初登場。
 「激励」「脱力」「再動」なども加わりましたが、現在とは使い方が異なります。第4次では、ユニットの配置が関係するので、いまいち使いにくかったですが、周囲4マスの味方全ユニットに有効な「激励」は使いこなせば、非常に有効なコマンドでした。
 「幸運」(獲得資金と経験値2倍)は、それまでの消費SP20から40に上昇。それまでが便利すぎたということですが、それでもまだ便利なコマンドなので、F以降、資金アップの「幸運」と経験値アップの「努力」に分かれることになります。
 最後に、究極の精神コマンド「奇跡」が初登場しているのが特筆すべきことかな。ただし、覚えるのは主人公を除けば、チャムだけ。

 また、第3次で「ゲッター」の特権であり、EXでは「ゴーショーグン」も可能になった、複数パイロットの精神コマンド使用が、第4次ではさらに広げられます。
 具体的には、合体ロボの「ザンボット3」「コン・バトラーV」「ダンクーガ」「グレンダイザー&スペイザー」「スーパーガンダム」の5種類。
 さらに、ダンバインやエルガイムでは、チャムやリリスといった
妖精の精神コマンドまで使うことができるようになりました。

 合体ということでは、「コン・バトラー」「ダンクーガ」「ザンボット」が自由に分離・合体できるようになったのもポイント(第3次では、コン・バトラーの合体はイベント扱いで、分離形態が使えたのは、2シナリオだけだった)。ただし、出撃ユニットが多いときは、分離できないこともありましたが。

 あと、複数パイロットの合体ロボットが強い、という点で、現在スパロボに参戦したなら最強と目されているのは、15人乗りの「ダイラガーXV」でしょうね。でも、今のところ最大は5人乗りまでですから。6人乗り以上のロボットって、何か他にあったっけ?(とっさに思い出せない)

 今後の希望としては、「ボスボロット」と「ガンダムZZ」の複数パイロット化。
 でも、「ボスボロット」が複数パイロットになれば、「マジンガーZ」よりも強くなりますねえ、きっと。甲児くんの「熱血・必中」と、さやかさんの「幸運」と、ボスの「気合」で、「スペシャルDXボロットパンチ」だあ! ってのがNOVAの夢(笑)。
 それと、ZZの「悲惨なコアトップ(ダブルビームライフル)に乗ったパイロット」の再現とか。ダンガイオーの腕ごと飛ばされるランバ・ノム並みのかわいそうな描写を期待(^^;)。

(9)特殊技能の登場。

 「ニュータイプ」「強化人間」「聖戦士」「底力」「切り払い」「シールド防御」といったパイロット特殊技能が設定されたのは、第4次が最初です。
 これによって、ファンネルやオーラ斬りが一部のキャラの特権となって、オールドタイプやノーマルなバイストンウェル人は「2流パイロット」扱いされるようになりました。この傾向は、技能が能力値にまで修正を与えるようになった「F」になって、一段と加速。一時期のスパロボでは、
「ニュータイプ(強化人間)でなければ無能」とまで言われたほどです。この時期のオールドタイプは誰しも、「フロスト兄弟(ガンダムX)」みたいな気持ちを味わったことでしょう(苦笑)。

 「切り払い」や「シールド防御」は、戦闘グラフィックをますます魅力ある物にしてくれましたが、同時にボス敵をますます強力にしてくれました。

 総じて、優秀なパイロットをますます優秀に設定したのが、特殊技能と言えます。

(10)武器が近距離と遠距離に分化。

 パイロットの能力に、近距離攻撃と、遠距離攻撃が加わり、得意な攻撃手段が明示されたのも、第4次からです。
 ただし、バルカンが近距離攻撃で、ロケットパンチが遠距離攻撃だったりします。ロケットパンチは移動後攻撃可能に設定されて、使いやすくはなったものの、ダメージ計算は飛び道具扱いなので、威力が弱かったわけです(甲児くんは遠距離戦が苦手)。
 
この近距離攻撃と遠距離攻撃は、攻撃距離による区分よりも、武器のイメージが優先され、F以降、格闘と射撃に名称変更。ロケットパンチは「遠距離攻撃可能な格闘武器」として強化されるようになりました。

 武器の種類がただ分かれただけでなく、計算方法も「第3次」のときと大きく変わりました(「EX」のときはパイロットには攻撃力が設定されていない)。
 簡単に言えば、「足し算方式の第3次」と「掛け算方式の第4次以降」というわけです。

 掛け算方式だと、元値が大きいほど効果は大きいわけですから、これにともなって必殺技は一段と強力になったといえます。
 ただし、バルカンが弱くなったわけではありません。バルカンや戦艦の機銃は改造費用が安い割に、他の武器同様に攻撃力が200ずつ上昇しますからね。MAX改造すれば、移動攻撃可能で、そこそこ使える便利な武器となります。少なくとも、弱った敵にとどめを刺すには最適な武器でした。
 F以降は、バルカンの攻撃力上昇率が低く設定されたため、改造の旨味がなくなったのが残念なところ。

(11)バリア効果の変化。

 敵のビーム攻撃を防ぐIフィールドなどのビームバリア。
 EX以前では、その効果は無制限でした。どんな強力なビームでも防いでしまう無敵のバリア。

 第4次では、「ヘビーメタルや一部MSのビームコート」「強力MSのIフィールド」「オーラバリア」と3種のバリアが登場していますが、それぞれ「1200」「2000」「3000」までと防げるダメージに上限が設定されています。これによって、νガンダムはビームに対して無敵じゃなくなり(もっとも避けてしまえば問題ないし、ミサイルやファンネル、接近戦は切り払えるので総合的な防御力は増している)、Zガンダムみたいなビーム主体のMSでも、オーラバトラー退治が容易になりました。
 あとは、
ゲッタービームとか光子力ビームが「ビーム扱いじゃなくなった」のはありがたいことです。ゲッタービームがヘビーメタルに効かない、となっていれば、第4次はともかく、Fの宇宙戦では死にそうになりますから……。

(12)オプション機能の充実。

 最後に、おまけとして豪華なのが、これですね。
 今まであったサウンドテストに加え、「カラオケモード」「デモセレクト」「キャラクター大事典」「ロボット大図鑑」が登場。

 「デモセレクト」は、これまでの「ゲッター変形」や「コン・バトラー合体」に加え、「マジンガー発進」「ジェットスクランダー装着」「ザンボット合体」「ダンクーガ合体」「ライディーン出撃」などが収録。イベントデモという楽しみを増やしてくれています。
 惜しむらくは、「ダイモス・バトルターン」がセリフだけでしか再現されておらず、いまだデモ映像化されていないこと。今後に期待します。

 「キャラクター大事典」や「ロボット大図鑑」は、これを100%にするという新たな目的を与えてくれました。

 これら、おまけも含めた充実要素を初めて示したスパロボが第4次というわけです(ふう、長かった)。

●現在との違い

 はっきり言って、「EX」→「第4次」への発展は、「第4次」→「2002年現在のスパロボ」よりも劇的な変化だと言えます。
 おそらく、「EX」から「第4次」に付け加えられた要素よりも、今のスパロボにあって「第4次」にないものを語る方が、楽なはず。

 まとめるなら、3つぐらい?

@修理・補給による経験値GET
 「魔装機神」で初採用。「F」以降に受け継がれる。

A合体攻撃
 
「64」で初採用。「DC版α」「A」「IMPACT」に受け継がれる。

B援護行動
 
「COMPACT2」で初採用。「α外伝」「A」「IMPACT」に受け継がれる。

 他には、「特殊技能や強化パーツの追加・変更」といったマイナーチェンジや、「フリーオーダーステージ」「スキルコーディネート」といった一部作品限定システムはあるけれど、現在主流となっているシステムのほとんどは、「第4次」で完成した、と断定してまちがいないでしょう。

 ただし、F以降の作品と第4次とで決定的な違いがいくつかあります。

 それはユニットやパイロットのデータ面で特記すべきことなんですが、ここでは3点挙げましょう。

@スーパーロボットの2回行動の可否

 「第4次」あるいは「新」では、ほぼ全てのキャラが終盤で2回行動ができるようになります。最も2回行動の遅い「ボス」でさえ、レベル52で2回行動可能。じっさいには、リアル系エースでレベル30台、ほとんどのスーパーロボットがレベル40台で2回行動できるようになります。
 終盤のシナリオでは、敵も味方も2回行動するという大乱戦が展開するわけです(ちなみにラストシナリオ辺りの敵レベル平均は45ぐらい)。

 しかし、「F」では、そうしたスーパーロボットの2回行動は極力避けられるようになりました
 リアル系エースのレベル30台はさほど変わりませんが、多くのオールドタイプやスーパーロボットパイロットはレベル50〜60台、ひどいときにはレベル70以上の者もいるという、普通に育てていては不可能な状況にまでなっています(ラストシナリオ辺りの敵レベル平均はレベル55ぐらい)。

 この状況は、「α」に至って、さらに悪化。終盤の敵レベル平均がレベル60台なのに対して、アムロでさえ2回行動可能レベルは57(最速はマクロス関連のロイ・フォッカーやイサム・ダイソン、ガルドのレベル48)。スーパーロボット系で2回行動をしようと思えば、レベル80以上が必要となります。

 そして、「援護行動」がルール化された「COMPACT2」以降は、2回行動というルールそのものがなくなったようです。

 ということで、スーパーロボットたちの2回行動を堪能できる最後のスパロボが第4次ということですね(ただし、リンクバトラーを併用した「64」でも、それは可能になるでしょうが)。

A脅威の移動力

 「第4次」から「F」にデータが変わる際、ユニットの移動力が全体的に減らされました
 例として、「1stガンダム」を挙げると、「第4次」では移動力7、「F」では移動力5となっています(「α」も同じ)。
 高移動力で名高い「フルバーニアン」の場合、もっと顕著で、「第4次」では移動力12だったのが、「F」では移動力8に激減。
 味方最速の「真ゲッター2」は、「第4次」で移動力15、「F」で移動力10、「α」では移動力8になっています。もっとも「α」の場合、ゲットマシンがもっと早く移動できるんですが。分離できない「IMPACT」では移動力10に回復しています。

 こうして見ると、「F」以降は移動力が下がっているのは明らかですね。
 現に精神コマンド「加速」の効果が、「第4次」の移動力+5から「F」以降、移動力+3に落ちていますから。

 逆に、今のスパロボに慣れた人が、「第4次」以前(厳密には「新」も含むけど)をプレイした場合、敵が思いがけないほど遠くからでも攻めてくることに気をつけるべきでしょう。

B装甲の弱さ

 「第4次」から「F」にデータが変わる際、ユニットの耐久力が大幅に増えました

 またもや例として、「1stガンダム」を挙げると、「第4次」では装甲220、HP1800です。
 「F」では、装甲800、HP3000にアップ。「α」では装甲1100、「IMPACT」では725となっていますが(HPは3000のまま変わらず)、大体、800が基準のようです。
 こう見ると、「第4次」は紙のような装甲といえますが、「第3次」はもっとひどく、装甲120、HP1500。

 なお、比較対象として「マジンガーZ(ジェットスクランダーなし)」にも登場してもらいましょう。
 「第3次」では、装甲230、HP3000。これはコンプリートボックス(PS)版のデータで、SFC版では装甲300だったと記憶しているのですが、いずれにせよ、「1stガンダム」の2倍程度の装甲とHPを誇ります。
 「第4次」では、装甲680、HP3200。これはS(PS版)のデータで、SFC版では装甲600だったと記憶。記憶どおりなら、装甲2倍。PS版同士のデータを比較するなら、装甲3倍と格段に上昇しています。これに「鉄壁」で装甲がさらに倍になるわけですから、マジンガーの防御力は「第4次」で非常に高まったことになります。
 「F」では、さらに硬くなり、装甲1400、HP4500。
 「1stガンダム」の変化と比べ合わせると、装甲は+600、HPは+1200されたと見なすのが妥当なところでしょう。

 もちろん、装甲とHPの変化だけを比べても無意味で、攻撃力も検証しないといけないわけですが、「第4次」と「F」以降の武器のダメージ自体は大きな変化はなく、ただパイロットの攻撃補正が全体的に30%増しになっている感じです。
 装甲はほぼ倍加しているにも関わらず、攻撃力が30%しか増えていないなら、耐久力がアップしたと見なして間違いないでしょう。

 じっさいのプレイ感覚でも、F以降は、敵が固くなった、というのは間違いないですし(理由は、声優の声を録音している都合上、少しでも多くのセリフを喋ってもらうため、戦闘を長引かせていることなどが挙げられます)。

 逆に、今の感覚で第4次をプレイするなら、味方機のもろさに気をつけるべきと考えます。もっとも、敵機がサクサクと落ちる爽快感の方が上だと思いますね(第4次のユニットデータをチェックするため、ちょこっと再プレイしてみての感想^^;)。


2.第4次SR大戦S
 
(聞こえるか嵐に吠える戦士の声が〜!
  進め空を砕け罠を 第4次スーパーロボット大戦だ!)

●声優の採用と、さらなる進化へのスタート

 さて、システムとしては完成したスパロボですが、途中、ゲームボーイへのリメイク作品「第2次G」を経て、新たな模索を始めます。
 その第一歩が、プレイステーション版・第1作
「第4次スーパーロボット大戦S(スクランブル)」なのです。基本的には「第4次」のマイナーチェンジなのですが、CD−ROMという媒体を生かして、声優の声を取り込んだ初のスパロボです。
 CMでは、兜甲児(石丸博也)が「ロケットパーンチッ」と叫び、北條真吾(鈴置洋孝)が「ゴーフラッシャー!」と叫ぶだけで、一気に購買意欲をかき立てられたものでした。

 もちろん、第1作だけあって、今から見ると、不完全な部分はあります。
 まず、主人公格のキャラクターしか、声が入っていないこと。NOVAにとって最も悲しいのは、
シーブックの声が入っているのに、同じ声優のバーニィの声が入っていないことだったりします。ガンダム系で唯一、声の入っていない作品なんですね、「0080」って。
 割と充実しているのは、
エルガイムと、ゴーショーグンと思います。
 
エルガイムは、ギャブレー以外の味方パイロットは全員入ってます。レッシィアムも。でも、チャムは喋るのに、リリスは喋りません(^^;)。
 ゴーショーグンは、サブパイロットが喋ってくれる元祖ですね。

 そして、世間一般のスパロボファンから見て最も悲しい事態は、「グレンダイザーのデュークフリード」と「ザンボット3の神勝平」の声がないことでしょう。
 前者は声優・富山敬氏が故人であること、後者は某ネコ型ロボットの声優のギャラが異様に高すぎること(おそらく)だという理由です。
 この「第4次S」の声優不在問題が災いして、「グレンダイザー」と「ザンボット3」はしばらく裏街道(64や携帯ゲーム機などの声なしゲーム)を歩むことを余儀なくされます。

 一応、デュークフリードは、コンプリートボックスで「堀内賢雄」氏の声で収録されていましたが、あまりイメージに合わなかった。
 で、「IMPACT」に至ってようやく、この2作品にも日の目が当たりました。
デュークフリードは「山寺宏一」氏を採用。オープニング戦闘デモで聞いた感じでは、よく似ておりました。神勝平は「坂本千夏」嬢ということで、こちらも実際に聞いて問題なし。

 1996年1月から数えて、6年目にしてようやく、「第4次Sの声優不在問題」の呪縛が断ち切れたような感じで、ホッと一安心です。

●「第4次」との違い

 最後に、「第4次」と「第4次S」の声優以外の相違点を示しておきましょう。

@シナリオ追加

 まず、パッと目につく違いとして、3本のシナリオが追加されていることがあります。

 オープニングシナリオが「第4次」では「発端」でしたが、「第4次S」では、その前に「接触」が付け加えられています(リアル系とスーパー系で各1本ずつ)。「接触」のストーリーは、主人公がロンド・ベル(あるいは光子力研究所)に向かう途中、ガイゾックと遭遇、戦闘になるもの。その際、いずれ敵対するゲストの傭兵ロフや、ゴーショーグンが支援してくれます。

 もう一本のシナリオは、「リューネ・カプリッチオ」で、リューネを助けた後にマサキが義妹のプレシアを救出に向かう「救出」。敵はクロスボーン・バンガードのカロッゾ。サフィーネが支援してくれます。

Aダンクーガとコン・バトラーV

 「第4次」最大の悲劇として、容量不足により、パイロットの多いコン・バトラーVダンクーガのどちらかと別れなければいけない、ということがありました。どちらかを「戦いに苦戦しているエゥーゴに送る」という名目でしたが。
 「第4次S」では、エゥーゴが善戦しているらしく(笑)、
コン・バトラーVダンクーガもロンド・ベルに残したまま、最終決戦を迎えることができます。

 なお、ダンクーガは「第4次」の時点では「背中にブースターが付いているにも関わらず空が飛べない欠陥ロボット」で、強化パーツの「ミノフスキークラフト」必須でしたが、「第4次S」の時点で改良されました。
 「第4次」登場作品の中では、ダンクーガが現在、一番の出世頭となったことを考えると、最初は不遇な扱いを受けたロボットの方が、後々、優遇されるのかもしれません。

Bデータの見直し

 「第4次」と「第4次S」では、ダンクーガほど目立った改変ではないものの、見直されたデータがあります。覚えているものをピックアップ。

・マジンガーチームの装甲強化。
・エルガイム系のパワーランチャーの威力強化、弾数減少。
・オーラバトラーのオーラ斬りがエネルギー消費なし→あり
・パイロットの「切り払い」「シールド防御」レベルが全体的に上昇。
・シーブックの修得精神コマンドが「激励」から「気合」に変更。
・主人公の修得精神コマンド表が変更。
・ダンクーガの「藤原忍」の精神コマンドが「加速」から「魂」に変更。
・ライディーンの「ゴッドボイス」の攻撃力が大幅強化。
・ラストのネオグランゾン戦で、敵のレベルが99になった。

 まあ、一部のキャラの使い勝手が結構、変わったりしましたが、NOVAにとって最も重大だったのは、主人公の修得精神コマンドの変化ですね。
 何せ、「NOVA自身の誕生日と血液型」を入れると、「第4次」では「気合」を二つも覚える外れデータでして、その分、「第4次S」では優遇されて「奇跡」を覚える美味しいデータに変わりましたから。


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