三菱 ローザ マイクロバスの系譜-2 (三菱/ふそう編_3)


1960年登場のマイクロバス“三菱 ローザ”だが、他社のバスが2tトラックを

ベースにしたのに対し、3t車のジュピターを元にしたことで大型化が進んだ。

その分価格は上がり、短尺車の競争率は伸び悩んだ。

シェア確保のため1966年に登場したのが経済車のB12“ライトローザ”である。


1966 B12
三菱重工業 ローザ


低コストの新型車として66年9月に登場。

ローザ従来車の高級志向を改め、
4気筒ガソリンエンジン、シングルタイヤ、
軽量ボディの“ライトローザ”とした。

価格は他社と競合できる135万円。

KE42ガソリンエンジン(90PS)搭載。


“だるまローザ”の25人乗、27人乗と併売、
長いのは“だるま”、短いのは“ライト”
と2路線にしたようだ。


出典:モーターファン1967-12別冊付録 第14回東京モーターショー

参考までに、B12登場直前(1966年1月の)

東京渡し価格を調べてみた。

25人乗ローザB22Dはダントツで高価だが

登場時195万円から、これでも下げている。

価格の安い車種の草ヒロ遭遇率が

何となく高いのが興味深い。

車名 価格(万円) 定員 エンジン 重量(kg)
三菱 ローザ B22D 185 25 ディーゼル 6気筒 3,100
ダイハツ ライトバス SV35N 150 25 ガソリン 4気筒 2,450
マツダ ライトバス AVEA(A) 145 25 ガソリン 4気筒 2,550
いすゞ ライトバス BLD11 140 21 ディーゼル 4気筒 2,140
ふそう ライトバス MB720 140 21 ディーゼル 4気筒 2,380
トヨタ ライトバス 170B-B 140 25 ディーゼル 4気筒 調査中
日産 エコー GHC141 136.5 25 ディーゼル 4気筒 2,200
プリンス ライトコーチ 134.5 24 ガソリン 4気筒 2,300
三菱 ライトローザ B12 135 25 ガソリン 4気筒 2,285

1967 B12
三菱重工業 ローザ

(21人乗)

だるまローザと同様に三角窓付きとなった。

むきだしのスチールホイールは
展示のタイミングによるものだろうか。

KE42型エンジンはジュピタージュニア
からの流用だが、だるまローザと共通の
6気筒ディーゼルKE63も用意された。

薄くなったボディ外板の強度を、
巧妙なプレスラインで処理している。

外観は細いピラーに四角く大きな窓が
目立ち、メーカーの壁を超えた
「マイクロバス」の標準スタイルが
出来てきたように見える。

出典:モーターファン1960-12別冊付録 No.7自動車ショー
1967 B12
三菱重工業 ローザ

(25人乗)

カタログよりカラー写真を示す。

全長5,840mm、全幅1,850mm、
全高2,270mm、軸距3,100mm。

21人乗のトヨタライトバス(RK171B)と

ほぼ同寸のボディで25人乗を実現。

【参考】トヨタライトバスRK171B-H
全長5,855mm、全幅1,890mm
全高2,255mm、軸距2,800mm

ちょうどこの頃、販売体制の見直しで
ふそう系販売会社と重工系販売会社の
壁を越えてキャンター、ジュピター、ローザ
の取扱いが始まった。

出典:自動車ガイドブックVol.14 1967-68
1969 B13A
三菱重工業 ローザ

(25人乗・95PS・ガソリン)

69年2月、5PS増のKE47エンジンに
変更、B13ニューローザとなる。

ダブルタイヤ車(B13A)を追加。

ディーゼル車はB14で、エンジンは
ニューキャンターT90の4DR1型(75PS)
になり、ふそうへの歩みよりが見られる。

外見はニューコルトと同じく角型
ヘッドライトとなり、側方指示器も変わり
長いものが斜めにマウントされる。

B13・B14ともにフォグランプを標準装備。

出典:「三菱の自動車」1968年版
1969 B14
三菱重工業 ローザ

(25人乗・75PS・ディーゼル)

しかし、カタログには25人乗りだけで
B12・B13・B23の3車種、エンジンも
三菱重工製KE47ガソリン
ふそう製4DR1ディーゼル
三菱重工製KE65ディーゼルと並び

「お前はいったい誰と戦っているんだ?」
と言うような社内競合は続く。

さすがに、廉価版のライトローザに高級
6気筒ディーゼルエンジンを搭載した
モデルには矛盾があったかカタログ落ち。

出典:「三菱の自動車」1968年版
1970 B14A
三菱自動車 ローザ

(25人乗・75PS・ディーゼル)

ディーゼルのダブルタイヤ車。

特に変化はない。

角型2灯ヘッドライトと粗いメッシュ
のグリルはなかなか異形の顔つきだ。

70年代中盤に流行するフォグランプを
グリルにビルトインした処理を早期に
取り入れた例といえる。

70年6月、ローザの生産累計1万台達成。
(70年度シェア、12.3%)

出典:三菱自動車総合カタログ(1969)
1970 B16A
三菱自動車 ローザ

(25人乗・80PS・ディーゼル)

70年7月、B14のエンジンを名機と
誉れ高い4DR5型(80PS)ディーゼル
に変更し、B16となる。

外見はヘッドライトが丸4灯に戻り、
側方指示器が垂直に付く。運転席
シートにはヘッドレストが付いた。

前面のプレスが修正され、塗り分け
パターンも変更された。

ガソリンのB14も同様のマイナーチェンジ
を受けたが、形式名は同一のまま。

出典:自動車ガイドブックVol.17 1970-71
1973 B210D
三菱自動車 ローザ
(26人乗・80PS・ディーゼル)

73年5月、フルモデルチェンジ
愛称は“プリティローザ”。

設計思想は小型・軽量・4気筒の
ライトローザを継承したもので、

ようやく“だるまローザ”と
“ライトローザ”が統一される。

T200系キャンターと足回りを共用して
いる点は、ふそうMB720ライトバス
血を引くとも言える。

車型はひとまず26人乗に一本化された。
出典:自動車ガイドブックVol.22 1975-76

   ライトローザの型式名とエンジン変遷 まとめ
型 式 定 員 全 長 登場年 ガソリン ディーゼル
B12  25人   5,840mm  1966 KE42(L4・2,000cc・90PS) KE31(L4・2,199cc・61PS)
B12D 1967 KE63(L6・3,520cc・92PS)
B13/B14 1969 KE47(L4・2,315cc・95PS) 4DR1(L4・2,384cc・75PS)
B13/B16 1970 KE47(    〃    ) 4DR5(L4・2,659cc・80PS)
B13〜B16のダブルタイヤ車は型式末尾にAがつく。


【参考資料】
『新三菱重工業社史』(1967)
『海に陸にそして宇宙へ 続 三菱重工業株式会社社史』(1990)
『三菱自動車工業株式会社社史』(1993)
『自動車技術』1968年 第22巻第12号
日本自動車工業振興会 『自動車ガイドブック』 各号
『モーターファン』 各号
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