ナゾ多きマツダのマイクロバス (マツダ編_1)

マツダのマイクロバスといえばライトバスやパークウェイがおなじみだが、

マイクロバス黎明期の1960年に、D1500/D2000トラック(ロンパーの後継)をベースとした

マイクロバスが生まれていたことはあまり知られていない。


マツダのホームページによると、中近東諸国向けへ輸出さえ行われていたようで、

ある程度まとまった台数が製造されていたのだろうか。

数少ない資料から、その生い立ちを追ってみたいと思う。

1960 マツダ 
DUA12型 マイクロバス


防衛庁からの受注で作られた
13人乗りのマイクロバス。

海自の錨マークが見えるので、
地元広島の江田島からの受注か?

シャシーはD1500トラック。
セミキャブオーバーシャシーのため、
ボンネットが付いた特異なデザイン。

側扉は電動で開閉。小型車枠より大きい
ボディサイズとあいまって異国風だ。

患者輸送車としての利用を考慮して、
後部には観音開きの扉を持つ。
1960 マツダ DUA12型マイクロバス

出典:1960世界オートレビュウ
1961 マツダ 
D1500 DUA12改造型


自動車ガイドブック掲載の同車。

'57プリムス的な顔は相変わらずながら、
こうして並べると…なんと窓割りが違う!

右側にハンドルが見当たらない
ことから、輸出仕様の左ハンドル車
と思われる。

乗降性から考えても、D1500的な
前開き扉はドライバーズドアだろう。

グリルやヘッドライトのホリの
深さも違い、小判型ミラーと
ケンカワイパーなど、ベース車の
マイナーチェンジを伺わせる
変化も見られる。

主要諸元
全長 5,200mm 全高 2,043mm
全幅 1,835mm 軸距 2,806mm
機関 UA型1,484cc 出力 60PS/4,600rpm
1961 マツダ D1500 (DUA12改造型)

出典:自動車ガイドブックVol.8 1961-1962 
1960 マツダ DUA12
D1500トラック


ベースとなった1500ccの2t積トラック。

ほぼ同じ外見で1t積の車もあり、
オート三輪T1100/T1500と同じ思想です。

ホイールベースに対する運転席の
位置がマイクロバスとは同じなので、
上物を変えただけなのが良くわかる。

価格は65万円(高床車)

主要諸元
全長 4,690mm 全高 1,940mm
全幅 1,690mm 軸距 2,800mm
機関 UA型1,484cc 出力 60PS/4,600rpm
1960 マツダ DUA12型トラック

出典:1960世界オートレビュウ
1960 マツダ DTA81V
D1100 ルートバン


D1100/1500のキャビンにバンボディを
架装したもの。積載量は850kg。

姉妹車として、荷室に窓ガラスを入れた
ライトバンやマイクロバスがある。

一見すると整ったスタイルだが、トラックと
見比べると、床の高さはかなりのもの。

スタイルを整えるため、車体の裾に
「サッコプレート」風のパネルが
付加されているが、この奥は
フレームと燃料タンクが鎮座する。

出典:自動車ガイドブックVol.7 1960-1961 
1962 マツダ 
D2000 DVA12改装型


翌年の自動車ガイドブックの写真は
手を抜かれて前年と同じ。

何やら切り貼りの痕跡さえ
見えるが、文字情報には
大幅な変化があった。

小型車枠の拡大に伴い、
Dトラックがマイナーチェンジ。
エンジンが2000cc級にパワーアップ。

定員は13人乗から21人乗まで
多彩なニーズに答える。

ボディサイズも拡大されている。
主要諸元
全長 5,370mm 全高 2,150mm
全幅 1,910mm 軸距 2,800mm
機関 VA型1,985cc 出力 81PS/4,600rpm
1962 MAZDA DUA12改装型

出典:自動車ガイドブックVol.9 1962-1963
1963 マツダ 
D2000 DVA12改良型


角度を変えて非公式側。
この年よりボディが大幅に
近代化されている。

特徴的なテールフィンは消失、
窓も他社のマイクロバスと同様の
サッシ窓となった。

ウインドシールドは2分割化され、
顔つきも小変更。日産エコーに
ボンネットを付けたような
奇妙さがある。

改造型・改装型・改良型の表記の
揺れも気になる所。
主要諸元
全長 5,420mm 全高 2,150mm
全幅 1,910mm 軸距 2,800mm
機関 VA型1,985cc 出力 81PS/4,600rpm
1963 DVA12(改良型)マイクロバス
このクルマは国鉄の鉄道公安官の機動車両としても採用された。公安車は東京に3台、名古屋1台、大阪に1台が配置されていたとのこと。全車マツダかどうかは不明だが、1963-09『国鉄線』の公安だよりに掲載された写真は上のクルマと同じ塗り分けで同一車両の可能性もある。

出典:自動車ガイドブックVol.10 1963-1964
1959 トヨペット 
ダイナ改造 宣伝カー


「屋号でGo!」宣伝カー編
過去に取り上げた、
トヨペットダイナやキャブオールの
宣伝カーとの似具合も
気になるところだ。

右のクルマは山口トヨタの納入の為、
北九州〜中国地方にかけ、
同一ボディを架装した
コーチビルダーがあったのでは
ないか…というのが現時点の推測。
マルハ宣伝カー

出典:大洋漁業八十年史
1964年には、川崎航空機工業の手による
本格的なマイクロバスとして
マツダ ライトバス(A型)が登場。

シャシーはキャブオーバーの
E2000トラックに変更されたため
特徴的なボンネットは消滅した。


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