市立幼稚園9園の廃止案について
質問と答弁
2011年6月議会 一 般 質 問
6月10日 田村征雄
市立幼稚園9園の廃止案について
<第1回登壇>
市立幼稚園の9園廃止などの素案についてであります。
稲村市長が提案した予算のもとで、最初のパブリックコメントが6月13日から募集されます。
テーマは、尼崎市立幼稚園教育振興プログラム(素案)として提示されています。
さて、稲村市長の公約、マニュフェストでは、「早い段階で複数案を提示するなどの工夫を含め、市民のご意見・アイデアを集め決定をしていきます。」としています。
同じことは、施政方針でも表明しており、市民と議会への市長の約束であると理解しています。
(質問1)市長にお尋ねします。
「尼崎市立幼稚園教育振興プログラム(素案)」のパブリックコメントの募集にあたり、市長はなぜ、複数案の提示をしなかったのでしょうか?
また、一つだけの案の提示は市長の公約に反するものと認めますね、いかがですか?
あわせて、ご答弁願います。
次に、幼稚園教育振興プログラムでは、昨日、福島議員から紹介があったように、「遊びを通した学びを推進し、後伸びする力を育むための複数学級」など市立幼稚園教育の充実に向けた6つの柱をあげています。
「幼稚園教育振興のため」と打ち出したものの、その内容には市立幼稚園18園のうち9園を廃止することが含まれています。
教育委員会は、再配置により一か所の園児数の規模を大きくし、複数学級にして幼稚園教育の充実を図りたいとしています。
こうした中で廃止される予定の幼稚園の地域では、地域のつながりがどうなるのか、通園などでも不安が広がるなどの問題が出てきています。
私は、5月24日の園和幼稚園での説明会を傍聴させてもらいました。
教育振興のために園和幼稚園を廃止する、3年後の入園者から、存続する園和北幼稚園か小園幼稚園などに通園してもらう との提案でした。
これに対して、保護者の方々からは、園和を存続して欲しい、存続させるべきだとかなり強い意見がつぎつぎ出されました。
幼稚園の現在の通園では、基本は保護者と一緒に徒歩で通園、市はこれを奨励しています。就学前ですから、小学校までの距離程度でしょう。
今回の素案では、幼稚園から徒歩30分圏内(半径1.5km)になるよう、再配置したとしていますが、「徒歩30分圏内」という考えは、9園を廃止する前提で決めた、後付の理由のようです。根拠は何もありません。
園和の場合、説明会の前に、保護者の方がそれぞれ園児と一緒に、2組が園和北幼稚園に、別の2組が藻川の橋を渡って小園幼稚園まで歩いてみたとのことでした。園和北まで40分程度かかり、小園幼稚園のほうも40分かかったとのことで、園児たちは、「疲れた」と言ってこれ以上歩きたくない、と言うので、小園の組の帰りはコストコから市バスに乗って帰りました、との意見がありました。9園を廃止したいがために、小学校への通学距離よりも遠距離になろうが、30分圏内におさまらない、40分かかろうが、コンパスで円を描いただけのことです。教育的見地とはいえません。
(質問2)質問します。
園和幼稚園の説明会で、保護者の方々が園児と実際に園和北、小園幼稚園に徒歩で行き、40分かかったとの意見があったと思いますが、間違いありませんか?
ご答弁願います。
(質問3)次に質問します。
幼稚園教育のあり方検討会のメンバーや教育委員会は、廃止される幼稚園の地域から、別の幼稚園への通園に、園児の足で何分かかるか、実際に測定したことはありますか?
いかがですか? 答弁願います。
次に、園和の説明会で次のようなやりとりがありました。
市教委の担当が「9園になりますけれど…、(園児の)人数的には確保させていただく…」と言ったんですが、その瞬間に保護者が「まだ素案じゃないですか、決定ですか?ここは残す考えはないんですか」と追及しました。すると担当は「素案ですからまだ、変わる可能性はあります」と答えました。
保護者は「さっきの、(9園になりますけど…)言い方はおかしい、撤回してください」と要求し、担当は「撤回します」と答えました。こういうやりとりがありました。
(質問4)そこで質問します。
園和の説明会で、いまの趣旨で、保護者と市の担当者との質疑応答があったと思いますが、間違いないですね。いかがですか? 答弁願います。
次に、幼稚園教育振興プログラム(素案)は、保護者や市民の意見により、変わる可能性があると考えていいですね。お答え願います。
次に、このプログラム(素案)のもとになった、幼稚園教育のあり方検討会の報告書の最後に、あり方検討会一同の銘が入った「おわりに」というページがありますが、その中にいみじくも、「教育委員会から尼崎市の財政事情や幼稚園教育の歴史的な経緯を前提条件とする…」と書かれています。
その中の「歴史的経緯」というのは、昭和30年代までの防潮堤の整備に多額の費用がかかり、尼崎市が一時、財政再建団体になりました、その際に、市立幼稚園を建設する予算をねん出できなくなり、幼児教育のかなりの部分を私立幼稚園にカバーしていただいた、お世話になった」と、そういう経過があるので、私立幼稚園に迷惑をかけることはできない、減らすなら市立幼稚園のほうだ、ということ暗示しているものと理解します。
しかし、その時代から50年以上も経過しています。未だに、歴史的経緯を前提にしなくてはならないのは疑問です。
もう一つの前提条件が、市の財政事情です。
もともと平成20年度からはじまった「行財政構造改革推進プラン」の中に、「市立幼稚園の見直し」という項目があり、市立幼稚園のあり方について検討を行う、その理由として「本市の幼児教育の振興及び運営体制の効率化を図るため」とあります。
(質問5)そこで質問します。
幼稚園教育振興プログラム(素案)の中で、9園の廃止を打ち出した背景には、市の財政
の厳しい事情があったから、と考えていいですね。いかがですか?答弁願います。
1回目の答弁
(答弁1)
(塩見議員の同じ質問があったので、私は答弁を求めませんでした。塩見議員の同じ質問での答弁を掲載します)
私は、「成熟社会」にあっては、これまで培ってきた有形無形の資産を有効に活用し、現代社会の求める二−ズに的確に対応していく必要があり、それは、生涯にわたる人格形成の基礎を育むなど、生きる力を培う大切な教育の場である市立幼稚園であっても同様であると考えています。
そうしたことから、市立幼稚園を集約することにより、全ての尼崎の幼児―人ひとりの育みを、さらに確かなものとしていきたいと強く願っております。
一方、本市では、「市民自治のまち」の推進のため、市民と市長・職員の対話を活発にし、事業によっては政策形成過程から市民参加をいただくため、複数案を提示することとしております。
しかしながら、本プログラム(素案)は、計画を策定する前段階で、公募市民等の方々に参画いただき開催いたしました「尼崎市立幼稚園のあり方検討会」の報告を踏まえ、幼児教育の充実策を素案に盛り込んだものでございます。
また、選択と集約という視点から、具体的な園数や園名を複数案お示しすることは、市民の皆様の様々なご意見により成案とすることが難しいと考え、「素案」にまとめ、お示ししたものでございます。
これをもって、市立幼稚園全園の他、9回に及ぶ説明会を開催し、保護者、市民と十分な対話や議論を重ねる中で、政策形成過程を明らかにし、その上で、市民意見公募手続(パブリックコメント)を実施することにより、皆様のご理解をいただいた計画案を得ることができると考えたものでございます。こうした政策形成過程を明らかにし、市民の皆様のご意見を伺うというプロセスを経て、市として結論をだしていきたいと考えております。
(答弁2)
現在、園和幼稚園に在園されている園児の保護者から、園和北幼稚園まで徒歩で40分かかったというご意見や、小園幼稚園は遠すぎるとのご意見があったとの報告を受けております。
なお、通園時間は、子どもの足で歩いて、概ね30分以内、距離で1.5km以内が望ましい、という見解は、昭和63年3月に「幼児教育問題懇談会」からいただいた報告によるものでございます。
(答弁3)
本プログラム(素案)を策定するにあたり、廃園を予定している幼稚園周辺の全地域から、近隣の幼稚園まで、実際に歩いて何分かかるか、といった測定はいたしておりません。
しかしながら、教育委員会の職員が、幼児の足で30分程度で歩ける距離は、およそ1.5kmであることを確認いたしております。
なお、昨年の「尼崎市立幼稚園のあり方検討会」では、具体的な市立幼稚園の再配置までの検討はいたしておりません。
(答弁4)
園和幼稚園での説明会におきまして、田村議員が例示されましたように、保護者の方から、「素案は、変更する可能性があるのか。」という質問に対して、教育委員会事務局職員から「ある」と答えたと報告を受けております。
現在、市立幼稚園全園で在園児の保護者を対象に開催しております説明会や、今後、地域にお住まいの方々を対象に開催いたします説明会、あるいは、6月13日から募集いたしますパブリック・コメントでいただいたご意見の中に、素案策定段階に想定し得なかった内容や、総合的な幼児教育の発展に資するご意見等がございましたら、再度プログラム(素案)を十分、精査・吟味し
てまいりたいと考えております。
<2回目登壇>
市立幼稚園問題の2回目の質問です。
さて、私立幼稚園では、通園バスによる送迎をしている園が多いと思いますが、市立幼稚園では、基本は徒歩通園です。このプログラム(素案)では、教育振興以前の問題点として、遠距離通園による園児の精神的身体的負担が大きい、教育振興以前の問題点があるのではないかとの保護者に指摘に教育委員会はどのように考えているのかであります。
(質問6)そこで質問します。
就学前の園児が、小学校の1年生より遠距離の通園をして、園についたらもう疲れてしまっている、通園で疲れさせて教育振興と言えますか? 答弁願います。
この質問の前に私は、「市立よりも私立の希望が多いとすれば、その要因は何か?」と担当に聞きとりすると「女性の社会進出に伴い、子どもを小さい時期から、できるだけ長時間預かって欲しいとの保護者の希望がある、そのため、3年保育や預かり保育を実施している私立幼稚園を望む保護者が多いものと考えている」との回答がありました。
幼稚園教育の充実のために、複数学級などを実現したいといいますが、園児の数を確保するには、まずは保護者のニーズをしっかり受け止めるべきでしょう。
3年保育や預かり保育にニーズがあるのなら、市立幼稚園で実施する方向がなぜ打ち出されなかったのでしょうか。
1問目であげた、あり方検討会の報告書の「おわりに」のページにある一文を紹介します。「市の財政事情や幼稚園教育の歴史的な経緯を前提条件とすることをお聞きして、私たちは市立幼稚園にとってよりよい現実的な提案をするために非常に苦しい選択を迫られました。」、検討会のメンバーは、非常に苦しい選択をせまられた、と書いているのです。
普通は書かれることのないこの一文、委員の方々の本音は何を意味するのでしょうか?
前提条件がなければ、保護者のニーズに沿った方向をうちだせた、しかし3年保育などを導入しようとすれば市の財政に負担がかかる、前提条件がしばりとなって、結局、報告書の最後のまとめで「市の財政状況などの与えられた条件の中で、これらの教育充実に向けた取り組みを進めていくためには、単学級の園を集約することにより、これまで教員や校務員業務らあてていた経費を新たに、教育充実策に充当することもやむを得ないと考える。」とあります。
つまり、財政上の理由から、園の数を減らす、幼稚園の再編もやむを得ないという報告書になり、非常に苦しい選択を迫られた、と書かれたのであります。
次に、今回の9園廃止案では、幼少連携といいながら、自分の住んでいる小学校の校区にある幼稚園とは違う園に行ってください、ということになります。こどもの時は特に友だち関係が大切だと当局の答弁もあったと思いますが、小学校区の地域社会で遊んできたのに、幼稚園は別の校区にいくことでいいのでしょうか。保護者によっては、遠距離通園の園に行かせるかどうか、ためらいが出ないのかであります。
しかし、説明会では、担当者が9園に減らしてこそ市立幼稚園を残せます、と強調していました。私はいかがかなと思いました。
(質問7)そこで質問です。
財政事情を理由に就学前の園児に、1年生よりも遠距離の通園をさせていいのですか?
保護者のニーズに合わない素案のやり方では、遠くの市立幼稚園には行かせられない、という動きが出て、複数学級にもできない、市立幼稚園の存続すら危惧されることになると考えますが、いかがですか? あわせて、答弁願います。
<2回目の答弁>
(答弁5)
「市立幼稚園の見直し」につきましては、平成15年の尼崎市経営再建プログラムから項目計上されていたものでございます。
従いまして、そもそもの出発は行政改革のー環としてスタートしたことは事実でございますが、「遊びを通した学び」や「後伸びする力」など、これまで市立幼稚園が大事にしてきたものを守りつつ、その後の教育基本法等の改正や子ども達を取り巻<社会の変化に応じて、市立小学校との連携により、教員同士の理解を深めていくといった、幼児教育をさらに充実させるために、市立幼稚園も変化する必要性がありましたことから、この機会を捉えたものでございます。
本市財政が非常に厳しい状況には変わりございませんが、今回の素案は、資産を有効活用し、市立幼稚園教育の充実、ひいては、本市全体の就学前教育の発展に向けて取り組んでいこうとするものでございます。
(答弁6)
本プログラム(素案)では、園数を集約することにより市立幼稚園の教育内容を充実することをご提案しております。そのため、お住まいの場所によっては、通園の負担が大きくなる方もいらっしやると考えております。
従いまして、通園方法につきましては、これまでどおり、親子で徒歩通園することを推奨することには変わりございませんが、遠距離の方につきましては、通園が園児に過度の負担とならないよう、自転車をご利用いただければ、と考えております。
(答弁7)
本プログラム(素案)は、園数は集約いたしますが、市立幼稚園全園で複数学級を実現するとともに、特別支援教育を充実し、市立小学校との連携を深めるための研究や実践、さらには家庭や地域社会の教育力向上を支援するなどの機能を持たせ、市内全体の幼児教育の質の向上を図ろうとするものでございます。
これまでの説明会では、こうした新たな取組みを評価する声もいただいておりますことから、十分説明に努めるなかで、できるだけ多くの方々に、市立幼稚園の魅力を感じていただき、入園したいと思われる市立幼稚園づくりを目指してまいりたいと考えております。
<3回目登壇>
財政事情などを前提条件に議論をしたため、あり方検討会が非常に苦しい選択を迫られた と本音を書きました。幼稚園教育の充実といいながら、「幼稚園を減らすことありき」だったのです。
園和の説明会には小学校のPTA会長、中学校のPTA会長に、卒園したOBら合わせて100人近い人が参加し、町ぐるみで園和幼稚園を守ろうという雰囲気でした。
私が説明会で傍聴した限り、園和幼稚園の合意は得られなかったと判断します。
そして「住民合意のない、幼稚園の廃園計画」は中止することを強く求めて、幼稚園の質問を終わります。