あなたに、ありがとうと



知世ちゃん、今年もステキなお洋服を、ありがとう。
まっ白で、ウェディング・ドレスみたいで、
……ちょっと、ふだんのお出かけには着ていけないけれど、
でも、とってもうれしいよ!

『短めスカ−トのウェディング・ドレスも、思ったとおりキュ−トで、さくらちゃんには
 とてもお似合いだということがわかりましたわ〜♪
 来年は、どんなパタ−ンを試してみましょうかしら〜〜♪♪』

……これ、ホントにウェディング・ドレスなの……?



奈緒子ちゃん、すごく面白そうな本を、ありがとう。
魔法使いのお話なんだね。
読むのがとっても楽しみだよ!

『さくらちゃんって最近、魔法とか魔術とかに興味ありそうだったから♪』

……え?う、うん。ちょっと……ね。
   ほええ〜、呪いとかイモリの黒焼きとかの本は、まだ貸してくれなくても
   いいよう〜〜。



利佳ちゃん、手作りのお菓子を、ありがとう。
とっても上手でうらやましいな。
利佳ちゃんは、ぜったいにステキなお嫁さんになれるね!

『そ、そんなこと、な、ないわ!』

いつも大人っぽい利佳ちゃんが、赤くなってわたわたしてる。
……すごくすごく、好きなひとがいるんだね。



千春ちゃんと山崎君、かわいいぬいぐるみさんを、ありがとう。
二人でいっしょに選んでくれたんだね。

『知ってる?ぬいぐるみっていうのはね、寒〜い北極に住んでいた人たちがコ−トの
 代わりにシロクマやペンギンの皮をかぶっていたのがはじまりなんだよ』

……ほえ?

『大航海時代、北極に探検にやってきたヨ−ロッパの人たちがその姿を見て、
 自分たちもお祭りでクマやウサギの皮をかぶって踊るようになったのが
 ≪着ぐるみ≫といわれるものでね〜』

……ほえぇ〜。

『ふだんは毛皮の中におがくずをつめて、お腹を縫い合わせて、魔除けのために
 家の軒先にぶら下げておいたのを、≪ぬいぐるみ≫と呼ぶようになったと
 いわれているんだよ』

……ふうん、そうだったんだ〜。

『ちょっと貴史君!いっつもウソついてるんだから、エイプリル・フ−ルぐらい
 ホントのことを言ったらどうなのよ〜!?』

『あははははは〜♪』

……え?ウソなの??



エリオル君、観月先生。
イギリスからのプレゼントを、ありがとう。
とってもいい香りのする紅茶と、きれいなカ−ド。

『あなたの、今日の最高の笑顔に』

カ−ドのはじっこのピンクのキスマ−クは、きっと奈久留さん。
こっちの小さな足型は、スピネルさん。
……みんな、元気なんですね。
すぐに、お礼のお手紙を書かなくちゃ。



ケロちゃん、元気な声で

『さくら〜、おめでと〜〜な〜〜』

って、ありがとう。
でも、お父さんが作ってくれたバ−スデ−ケ−キをこっそりつまみ食いしようと
したのは、許さないんだから!
ケロちゃんの分のケ−キはおあずけだよ!!
……あと、1時間だけね。



お兄ちゃんと雪兎さん。
…………数学の問題集、ありがとう……。
う…っ、わ、わかってるもん。がんばんなきゃってことぐらい。
もっともっと、お勉強して、成績上げて…。

『あのガキと、同じ高校行きたいんだろ−が?』

………うん!

『わからないところがあったら、きいてね?』

……はい、お願いします!



お父さん、とってもおいしいケ−キを、ありがとう。
それから、新しいエプロンも、ありがとう。
わたしもお父さんみたいに、お料理もお裁縫も上手になりたいな。
……ほんと?わたし、お弁当作るの上手になった??

『大好きな人においしく食べてもらいたいっていう気持ちをこめて、
 毎日一生懸命作っているからですね』

……そ、そうかなぁ…。
だったら、うれしいな。



ひいおじいさん、毎年ステキなプレゼントを、ありがとう。
今日の夜、知世ちゃんのお母さんが届けに来てくれました。
……でも、これは受け取れません。
だって、本物の宝石なんて…。

……えっ、これってお母さんのものだったんですか?
その前は、お母さんのお母さん…わたしのおばあさんのもので。
その前は、ひいおじいさんが、ひいおばあさんにプレゼントしたもの…。
でも、だったら大事な思い出がいっぱいあるはずだから、
やっぱり、ひいおじいさんが持っていた方が……。

『さくらちゃんが受け取ってくれたら、撫子も、叔母さまも、おばあさまも
 きっと皆、喜んでくれるわ。
 もちろん、おじいさまも』

………はい。
大事にします。ぜったいぜったい、大事にします!



あれ、どうしたの?
カ−ドさん達、封印の本の中で、何だかざわざわってしてる。
……ユエさん!?どうしたんですか?

『≪封印の書≫を開いてみろ』

言われたとおりに本を開けたら、ひらりと一枚のカ−ドが手元に飛んで来た。
≪鏡(ミラ−)≫さん、どうしたの?
封印解除をすると、目の前にもう一人の≪わたし≫があらわれる。

『カ−ドには、わたしのようにお話ができるものは少ないのですが、
 わたし達にはわたし達の≪言葉≫があるのです。
 今日はその言葉で、あなたに≪おめでとう≫をお伝えしたいと思います。
 どうか、心を澄ませて耳を傾けて下さい。
 あなたになら、きっと聴くことが出来るはずです』

………聴こえるよ。
まるで、星がまたたくみたいに、きらきらと。
花びらが舞うみたいに、ふわふわと。
静かに、静かに。
そうっと、やさしく。
みんなの声が聞こえるよ。
ありがとう、カ−ドさん達。
それに……あれ?
さっきまで居たのに、もう行っちゃったんだ…。
ユエさん、ありがとうございます。



苺鈴ちゃん、お電話ありがとう。
でも、こんなに遅くにどうしたの?
ううん、まだ眠くないけれど…。
え?そろそろ着く頃って、何が??

『だから、誕生日のプレゼントよ!
 今日中に届くように、最終便で送ったから。
 ラッピングもしてなくて悪いけど、まあ、リボンは似合いそうにないしね〜』

……???
あの、ところで苺鈴ちゃん、しゃおら………、
……………ありがとう、苺鈴ちゃん!



……小狼くん、そばにいてくれて、ありがとう。
おめでとうって、言ってくれて、ありがとう。
ううん、何にもいらないよ。
ほかには、何も。
今日が終る前に帰って来てくれた、それだけでいいの。
だから、そんなに困った顔しないで。
笑って、ね。
ほら、もうすぐ今日が終るから。
それまでは、そばにいてね。
……ほえ、どうしたの?
小狼くん、真っ赤だよ?熱があるの??



ありがとう。
みんなに会えて、みんなといっしょで、とってもうれしい。


……お母さん。
お空の一番きれいなところにいる、お母さん。
わたし、お母さんとお父さんの子供で、お兄ちゃんの妹で、ひいおじいさんのひ孫で。
知世ちゃんや苺鈴ちゃん達と、お友達で。
雪兎さんや観月先生やエリオル君達に、会えて。
ケロちゃんやユエさんやカ−ドさん達と、なかよしで。
それから……小狼くんが、わたしの一番で。
とっても、とっても、しあわせだって思うから。


………わたしを産んでくれて、ありがとう。




     その笑顔が 皆をしあわせにする

     産まれてきてくれて ありがとう




                                   − 終 −


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さくらちゃんのお誕生日のお話です。
よく言われることではありますが、『愛は、愛の元に集まる』ということを
まさに体現しているのがさくらちゃんだなぁと。
皆に愛される存在である彼女は、それ以上に皆を愛していると思います。
彼女が魔法を使うのは、彼女に手の届く“なかよし”や“ご町内の平和”の
ためだけです。
「カ−ドキャプタ−さくら」は、そういう話だからこそ好きだったのだなぁ〜と
しみじみ思う今日この頃なのでした。


(初出02.4 「友枝小学校へようこそ!」様は、既に閉鎖しておられます。)