Dreaming




お姫様はシ−ツの海で、まだ夢の中

いつもは割と早起きなのに、今朝に限ってチョットお寝坊

広々としたダブルベッドは確かに寝心地がイイけれど

夕べは、ムリをさせすぎたかなぁ?



今日は朝からイイ天気

一日中快晴だと、麗しの航海士が豊かな胸を張っての予報

久しぶりの上陸だから、二人で出掛けようって約束したろ?



…ねェ、早く起きて

俺をかまってよ

ご主人様に放っておかれたネコのような気分



腹が減ったし、偶には人の作った朝メシを喰って

街で君に似合う服やアクセサリ−を選んであげたい

うんとお洒落した君を、街中に見せびらかしてやりてェな



誰より可愛くて綺麗な君に

ジジイもガキも 野郎もレディ−も

みんな振り返る



でも、君の眸に映るのは俺だけ

いいだろ−、いいよな−



…ねェ、お姫様?



大好きな空色の髪を一掬い

サラサラと指の間をすべりおちる感触が

まるで、水が流れるみたいで心地よい



だから、手入れが大変だとぼやく君がハサミを持ち出すと

俺はいつも大反対する



“シャンプ−だって、ブラッシングだって、してあげるから”



そう言って、両手を合わせて懇願する俺に

君は苦笑しながら、ほんの数cm毛先を揃えるだけ



そりゃ、髪型が違ったって君は君で、何も変わりゃしねェけど

初めて会った時から長く伸ばしてたから、髪を短くした君は想像がつかない



…ずっと、そのままでいてよ?



祈るように口付けては落とし、また掬う

ふわりと、いつもと違うシャンプ−の香り



ずいぶんと日は高くなったのに

相変わらずスヤスヤと眠り続ける君



僅かに浮かぶ微笑み

柔らかな頬

気持ちの良い風に、波のように踊る髪



窓辺に凭れてタバコを吸いながら

ソレを眺めているのも悪かねェけど

俺に気づいてもくれないで、何の夢を見てるの?



穏やかなカオを見る限り、イヤな夢じゃなさそうだから

ムリに起こそうとは思わないけどさ



故郷とか 家族とか 子供の頃の思い出とか?

入り込めない君の世界に、ちょっとジェラシ−



吸いかけのタバコを灰皿に押し付けて、淡いピンク色の唇にカオを寄せた

お姫様を起こすには、やっぱコレでしょ?

重なるほんの数cm手前で、細い眉が顰められる



“お姫様は、王子様のタバコのニオイに目を覚ましました”



…ってのは、物語としてはイタダケねェかも

固まる俺を他所に、花びらみたいな唇が小さく開いた



「サ……ジ、さ……」



そのまま、また気持ち良さそうに

スヤスヤ ムニャムニャ

枕をぎゅっと抱きしめて



…ねェ、俺の夢を見てくれてるの?

それじゃあ仕方がないから、もう暫くはこのまま

お姫様の寝顔を見ていよう



蒼い睫毛に縁取られた透き通るように白い瞼が開くのを

辛抱強い王子様は、枕元で待っている




                                   − 終 −


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30000Hit Thanks!

幾多のすれ違いを経て(笑)、何時の間にやら上手くいっているらしいサンビビです。
料理人視点で超甘口に。
短いですが、手抜きじゃありません。ポエムな感じにしたくて、むしろ苦しみました。
うきゃ−、こそばゆい〜!!(////)
どうも最近、サンジ君を幸せにし過ぎているような気がします。
後の反動が怖いですね。(←鬼)

さて恒例ですが、このテキストは“お持ち帰りフリ−”です。
お気に召されましたら、連れて帰ってやってくださいませ。
事後にでも、BBSまたはメールでお知らせいただけましたなら、喜んでお礼に伺います。
なお、フリ−期間は2004.4.11〜未定です。
(期限を設ける場合は、改めてBBS&テキストにてお知らせします。)

まだまだ姫贔屓サンビビ寄りで頑張ります。少ない需要と供給を満たすべく…。(涙)
ご来訪に深く感謝します。


2004.4.11 管理人・上緒 愛