多数決



今日は空をみてても、海をみてても、あいつのことばっか思い出す。
なんでかな−?


…なァ、いつかビビに会いに行こうぜ!!
どうせなら、あいつの誕生日がいい。

きっと、ちくわのおばちゃんがゴチソウを作ってる。
サンジが作ってる“モドキ”じゃねぇぞ。
ホンモノのアラなんとか料理だ!!

サンジの料理もうめ−けど、おばちゃんの料理もすげぇうめ−んだ!!!



「“モドキ”で悪かったなッ!!
 お前が食いたい食いたいっつ−から、苦労して香辛料捜して調合して…。
 スパイスってのは高け−んだぞ!!もっと有り難く食え!!!
 てか、ビビちゃんの誕生日だってんなら、俺もじっとしてる場合じゃね−ぞ。
 料理はマダムにお任せするとしても、バ−スデ−ケ−キは譲れねェ。
 俺のありったけの愛を込めた、スペシャルな三段重ね。
 真っ白なクリ−ムで仕上げて、飴細工の薔薇を添えて。
 てっぺんには砂糖菓子のプリンセスとプリンスvv
 ビビちゅわぁあ〜〜ん、ケ−キカットはリボンで飾った銀のナイフで俺と一緒にvvv」




なァ、誕生日だったらお祭りしてるかもしれねぇな。
あいつ、アレでもお姫サマだからなッ!!

にしししっ、はじめはグルグルのヘンな服着てて。
ムチャばっかして、いっつも傷だらけでよ−。
ガキの頃、マキノが話してた“お姫サマ”とはゼンゼン違ってたけどな!!



「アレでもって何だよ。ビビは立派な王女だっただろ−が。
 ムチャすんのも傷だらけなのも、お互い様だ。
 あいつは勇敢なる海の戦士、キャプテ〜ン・ウソップも認める王女の中の王女。
 その上、海賊でもあるからな!!
 あいつが知らねぇ数々の冒険譚を早く聞かせてやりて−ぜ。
 空島での死闘、海賊の意地を賭けたデ−ビ−バックファイト。
 おれ様あってこその麦わら一味だと、誰もが認める大活躍。
 おまけにメリ−が空を飛んだなんて聞いたら、そりゃ−もう驚くぞ−!!
 これこそまさに、嘘のようなホントの話ってヤツだ!!!」




メリ−に乗って、でっけぇ川をさかのぼろうぜ。
おれの弟子になったクンフ−なんとかに、また会えるかもしれねぇ。
おまえらが食われそうになった大ナマズ、見つけたらおれが食ってやる!!

岸に着いたら、カル−に迎えにきてもらおう。
子分のトリ達と、マツゲもいっしょに。
そ−したら、ビビのウチまですぐだからなッ!!



「ああ、乗り心地は最高だったよな。
 て−か、やっぱ昼寝の枕は羽毛に限るぜ。
 おいルフィ、船に一羽もらってくれねぇか?
 出来たらカル−がいいんだが、そうもいかねぇだろう。
 そういやアイツ、雄だよな。今頃、子ガモの十羽や二十羽いるんじゃねぇか?
 それからな、ルフィ。
 別れた後でめそめそするくれ−なら、今度は最初ッから考えとけよ?
 ……だから、力づくで連れてくりゃいいって話だよ。
 言っとくが、トリのことじゃねぇからな」




ビビのウチに行くついでに、カラカラのおっさんとこに寄ってこうぜ。
そんで、水をもらうんだ!!

おっさん、まだ井戸掘ってんのかな?
今度はでっかい樽で、イッパイ飲ましてくれっかな?

ワニをぶっ倒したから、もう砂に埋まってね−とイイな。



「あんたねぇ。“ユバ”は“アルバ−ナ”とサンドラ河をはさんで反対側よ?
 途中でなんて寄れないわ。
 あのコを後回しにするなんて、あたしは絶対にイヤですからね。
 ずっとずっと、会いたかったんだから!!
 アラバスタに着いたら、アルバ−ナ宮殿へ直行よ。
 そろそろ国も復興した頃だろうし、今度こそ10億ベリ−頂戴しなくちゃ♪
 払えないなんて言おうものなら、借金のカタを貰っていくわ。
 一国の王女一人分。利子は出血大サ−ビスv
 さぁ、野郎共!!覚悟はいいわね?」




そっか−、じゃあ帰りにビビといっしょに寄ろうぜ!!
“ウバ”には!!!

あ、そ−だ。
ロビンは船番な。



「まあ、ひどい。
 私はあの国に三年も居たのだもの。
 懐かしいと思う気持ちが、まるで無いわけじゃない。
 以前は酷くゴタゴタしていて、ゆっくり見ている時間なんて無かったけれど
 機会があれば、四千年の歴史を持つ宮殿や美術品を是非拝見したいわ。
 運良く爆破されずに、無事に残っているのだし。
 それに、私もあの子のことは嫌いじゃない。
 歓迎されるなんて、ゆめゆめ思いはしないけれど。
 彼女にだって、私に言いたいことがあるんじゃないかしら?」




ん−じゃあ、ビビを船まで連れて来てやる。
したら、おまえな。あいつに2、3発は殴られろよ。

2、3発じゃ、すまね−かもな。
…100万発かな?

あいつのパンチは、効くぞぉ〜〜。



「心配ねぇぞ、ロビン!!
 鼻血がイッパイ出ても、ほっぺたが真っ赤に腫れ上がっても、オレがすぐ治してやる!!!
 こないだ、すごく良く効く湿布薬を作ったんだ。
 あの時、ルフィに塗ってやった薬より良く効くからな!!
 たくさん作って、ビビのウチの医者にも分けてやるんだ。
 エッエッ、エッエッエッ…。
 『ありがとう、トニ−君』
 なんて言われても、うれしくねぇぞ〜〜♪♪
 ビビのグ−でロビンの鼻が曲がっても、ちゃんと元通りにしてやるからな!!」




空をみてても、海をみてても、ビビのことばっか思い出す。
みんなと話したら、ますますビビのことばっか思い出した。


…よし、決めた!今から行くぞ!!
おれは船長だから、船の針路を決めるんだ!!!



「船長だけじゃね−よ」
「おう、そうだ!!」
「問題ない」
「取り舵いっぱ−い!!」
「エッエッエッ」


「……多数決、ね」



なに言ってんだ、違ぇぞ!!
だって、ビビに会いに行くんだからなッ!!!



「全員一致だ!!!」



                                     − 終 −


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ある日の麦わら一味。
唐突な船長ですが、今からアラバスタに向かえば2月2日に間に合うことが
彼には“かん”で判るのでしょう。
……こじつけて、そういうことに。(汗)

ビビ姫、お誕生日おめでとうございます。
そして、「VIVITAN vol.4」開催、おめでとうございます。
彼女と麦わら一味との笑顔の再会を願って…。

VIVI☆PAGE」様主催「VIVITAN vol.4」へ投稿
2005.2.2 上緒 愛 姫誕企画Princess of Peace20050202