花咲ける騎士道 花をいただけますか、可愛いお嬢さん 時間があるなら、どこかでお茶でも …仕事中? けど、売り物が無くなったらヒマになんない? アイリス アナベル アマリリス 花ばかり持ってんのに、まだ買うのかって? そりゃ−、もちろん!!君で5件目の花屋さんだ そのホッペのように愛らしい、ピンクの花 籠一杯分で、幾らかな? カトレア カメリア ガ−デニア さあレディ−、海の見えるお席にどうぞ ハ−ブティ−はカモミ−ル アニスのケ−キにバラのジャム スミレの砂糖漬けはいかが? サフラン サルビア サイネリア さすが春島、年中花が咲いてるなんて、いい所だ 花売りの女のコも、色ごとに花を売っているし 白い花、赤い花、黄色、紫、オレンジ、ピンク……あ、ゴメン 君で6件目の花屋さんだった ジャスミン ダリア デイジ− ベロニカ ふ−ん、将来の夢は花屋を持つことか えらいなぁ…って、ごめんごめん。10歳なら、もう子どもじゃね−よな お詫びにポピ−シ−ドのパンケ−キはどう? …それで?こっそりポケットに突っ込んでるクッキ−は、弟か妹に? この店、テイクアウトも出来るから、それは君が食っちゃいな マリンカ マ−ガレット マリ−ゴ−ルド 付き合ってくれて、ありがとう 素敵なレディ−とのティ−タイム、とっても楽しかったよ 爺ちゃん婆ちゃんを大事にな では、ごきげんよう。蒼い髪のお嬢さん * * * 色とりどりの花を山ほど、両腕に抱えて背中にしょって サニ−号に戻ると、さっそく女性達が出迎えてくれた 「サンジ君、遅いッ!!…って、ど−したのよソレ。花屋でも始める気!? ……何よ、1本だけ?ま、いっか。さ−あ、出航よ!!!」 「あら、素敵ね。とても良い匂いだわ…。 ありがとう、コックさん」 溌剌としたオレンジには、鮮やかなフリ−ジア 闇より深い黒には、純白のロ−タス(睡蓮)を 「サンジ、その花食えるのか!?食ったらウマイのか!!? い〜いニオイだな〜〜ッ!!」 「おい、アホコック!!甘ったりぃ匂いのするモン、船に持ち込むんじゃねぇ!!! 胸くそ悪ィ!!」 「よ−しッ!!そんだけ材料がありゃ−、新しい必殺技を作んのにも十分だな!! おれにも分けてくれよ、サンジ」 「う〜、らめら〜!!おでに゛はにお゛いぎゃぎづい〜〜!! らんじ、らんろかじでぐで〜〜!!」 匂いに惹かれて寄ってくる野郎と、匂いを嫌って遠ざかる野郎 ばぁ−か、お前らにはやんね−よ こいつはな−、こうする為に買ったんだからよ…ッと!!! まだ波の穏やかな内海に、思いっきり花を撒く 空に弧を描いて散っていく色とりどりの リリ− ロ−ズ ヴァイオレット 「派手でい−じゃね−か、コックの兄ちゃん!! 今週の俺様のス−パ−な気分に、ピッタシな船出だぜ!!!」 「んビュ〜〜ティフォ〜!!!私、キレイなものに目が無いんです!! あ、ガイコツだから目はないんですけども、ヨホホホホ〜!!!」 白く泡立つ航跡に浮かぶ、花々 艶やかな大輪の、愛らしく可憐に、清楚でたおやかな それぞれが美しく、芳(かぐわ)しく 俺の人生を彩る愛しのレディ−達 …けれど 「青い花は無いのね…。一輪も」 ロ−タスの香り やわらかなアルトが、俺だけに聞こえるように低く呟く 煙草を咥えたままの口で、笑ってみせた 「だって、青は映えないでしょ〜? 海にも空にも」 吐き出した煙が、雲ひとつない空に立ち昇って、溶ける 黒髪のレディ−が微笑む気配がした 空の蒼 海の青 それは通り過ぎる花ではなく 目の前に頭上に 心に、いつも − 終 − ≪TextTop≫ ≪Top≫ *************************************** 敢えて直接的に書いていないので、わかりにくいとは思いますが…。 サンビビのようなサン→ビビのような。(汗) 女性はよく“花”に例えられますが、サンジ君にとってのビビちゃんは違うのかも …と、いう話。 実は、かなり昔にサン誕用に書きかけていたネタなのですが、同時期に他所様で モチ−フの良く似た作品を拝見して挫折。 その後、毎年のように取り出しては手直しを繰り返して今の形になりました。 ちなみに初期の案ではサンジ君、本当にナンパしてましたが、姫誕企画向けに 軌道修正しています。 女性だけでなく、子どもにも優しく、お腹を空かせた人間を放っておけない。 それでこそのラブコック。 なお、タイトルの「花咲ける騎士道」はフランスの映画から。 (仏原題は「Fanfan la Tulipe」) |
2009.2.15 上緒 愛 姫誕企画Princess of Peace20090202 |