ご注意

このテキストは、小説「another call 2 未来は君の手の中に」を参考にしつつ
大捏造を加えています。
上記の設定に興味が無い方は、お時間を無駄になさらないように
このままお戻りください。
「読んでみてもいい」と思われた方は、このまま↓にスクロールをお願いします。

















     さよならさんかく



− 1 −

淀んだ雲に覆われた空。荒廃した大地。
その狭間の廃墟に、ポツンと残る公衆電話。

幾度となく繰り返した“サイレン・ゲーム”のゴールは、どれも似たり寄ったりだ。
既に半年以上、ゲームを続けてきた雨宮桜子は思う。
けれど、今回はいつもと違うことがある。今まで、けっしてあり得なかったことが。

……ねぇ、そうじゃない…?

何処かで見ているに違いない、“07号”と名乗った女性に心で問いかける。
返事が無いことは承知の上で。

……現代に戻るサイレンドリフトを、見送る人間がいるなんて…。

自分達をゴールに導いてくれた、エルモア・ウッドの5人。
これまでの世界では、“W.I.S.E(ワイズ)”に殺されていた子供達。
成長した彼らの姿は、自分達が僅かでも“未来を変えた”ことの証。
それは、間違いない筈なのに…。

桜子がそっと隣を伺うと、夜科アゲハの口元はきつく引き結ばれていた。
この世界への心残りが、ひしひしと伝わる。
朝河飛龍、真名辰央、望月朧、07号……そして、目の前の。

「アゲハ」

力強い声に呼ばれ、公衆電話を凝視していたアゲハが振り向く。
目の前の青年は、白く傷痕の残る褐色の頬を緩め、笑みを浮かべていた。

「お前達のゲームが進めば…またオレ達、会えるだろ?ここは笑って別れようぜ。
 たとえ会えなくなったとしても…、それはお前達が未来を変えたってことなんだから」
「カイル…」

目を瞠るアゲハを、桜子は見つめる。
かつて本気で追い掛け回したワルガキが、今は自分より年上であることに初めて気づいた顔だ。

「昔の僕に、もっと修行をするように、よろしく言っといて下さい」

以前から落ち着いた少年だったシャオが、更に落ち着きを増した青年の声で続けた。
次いで、人懐っこい笑顔のヴァンが、無表情だった10年前からは想像できない朗らかさで言う。

「ケーキを死ぬ程食べとけって、伝えて下さいね!!」

“ネメシスQ”の力で飛び越えた時間の中、それぞれに成長した5人。
だが、何と言っても極めつけは彼女だ。

「あの…あの、昔の私に、もっと自信を持って…。
 自分の気持ちに素直になってねって、言ってくれますか…」

豊満な胸の、ポニーテール美人となったマリー。
恥ずかしがりやで大人しい女の子だったのに、しっかりとアゲハの手を握っている。

「あの…、また会えたら私…(////)」

……ちょっと夜科、何でアンタまで照れてんのよッ!!

思わずイラッとした桜子だが、ツッコむまでもなかった。

「もういいでしょ!!」

親近感を覚えてしまうスレンダー体型のフレデリカが、マリーの背を押して引き離す。
そしてアゲハには、膨れっ面に近い顔を向けた。5人の中で、昔の面影を最も強く残しているのは彼女だろう。

「フン…、んじゃまたね!」

短くてぶっきらぼうな、再会を約束する言葉。
その声にアゲハが答える。

「お、おう」

虚をつかれ、戸惑ったような返事。けれど、すぐにその表情が引き締まる。

「じゃあな、みんな。“W.I.S.E(ワイズ)”のヤツらをブッ潰そうぜ」

皆、わかっているのだ。あの子達も、アゲハも。そして、桜子も。
次のドリフトで、また会えるとは限らない。会えたとしても、同じ彼らではないかもしれない。
時の漂流者(サイレンドリフト)が、知らずに陥っていたパラドックス。
桜子の脳裏に、数日前のシャオの言葉が甦る。


  『もしアゲハさん達が過去に戻り、未然に世界崩壊を食い止めたとしたら……
   僕らのいるこの世界は、時の流れから切り離され、パラレルワールドとなる
   わけですね…』



現代に戻った自分達が、世界を救おうと戦えば戦うほど、ここにいる5人とは隔たってしまうのだ。
それでも、アゲハは言った。バカだからだと、桜子は思う。

「みんな、またな!!」

笑って見送ってくれる彼らに、精一杯の笑顔で。



− 2 −

2008年7月。
現代へ戻った桜子とアゲハは、人気俳優だった望月朧失踪の関係者としてマスコミに追い回され、伊豆の天樹院邸へ身を寄せることになった。
幼いエルモア・ウッドと再会したアゲハは、感激の余りスキンシップに勤しみ、むしろ子供達から不気味に思われたようだ。
また、天樹院邸には警察で取り調べを受けていたアゲハより一足先に、姉・夜科フブキと父・夜科朱鳥が居候の身となっていた。

そんな中、2人は八雲祭らと協力し、未来で得た手掛かりを元に“W.I.S.E”を追う。
07号達の居た孤児院、グリゴリ計画の旧研究施設。どちらも後一歩のところで“W.I.S.E”に組するサイキッカーに阻まれてしまった。
その一方、天戯弥勒はTVカメラを通じて人々の前に姿を晒し、仲間を集め始めた。
全てが“あの未来”には、起こらなかったことの筈だ。これらは次に訪れる10年後に、どう影響するのか……。

研究施設への潜入で負った傷が癒えてから、エルモア・ウッドと遊んだり修行したりして過ごすアゲハは、何かを考え続けているようだ。
気づいてはいたが、表に出てきた“もう一人の自分(アビス)”に、アゲハへの気持ちをバラされたことの方が気になる桜子には正直、それどころではなかった。

戸惑いと不安、怖れと期待に溢れた、眩い夏。子供達の賑やかな声が、日々を彩る。
それでも、時間は彼らを待ってはくれない。

前回のドリフトから1ヶ月余り。
長くも短くもあった夏が過ぎる頃、ネメシスQの“召集(コール)”が鳴り響く。
休暇の終わりだ。

再び訪れたサイレン世界……2018年9月……で、雨宮桜子と夜科アゲハ、霧崎兜の3人は、エルモア・ウッドと再会した。
彼らが来ることを見越し、地上で待っていたというカイルとシャオは以前と同じに見え、桜子はホッとしていた。

……だが。
案内された“根(ルート)”には、アゲハの姉と父、他にも大勢の人間が生き残っていた。
40名に満たなかった生存者が、今は500名余り。
しかも以前の未来では死んだ筈のイアンが生きていて、アゲハの姉・フブキとの間に赤ん坊まで産まれている。
ここは明らかに、前回とは“違う未来”だった。


  『じゃがな、そんな心配、お前達がする必要はないよ。
   ワシらはワシら。存在が消えるわけではない。
   ……未来を変えることに、何も迷う必要なんかないんだよ』



あの日、“空の見える場所”から戻る途中、笑ってくれたエルモアの言葉に桜子は救われた。
きっと、このエルモアも同じことを言ってくれるのだろう。改めて10年前の話を聞きながら、桜子は思っていた。

気難しくて偏屈な根暗男だったイアンを“師匠”と呼ぶヴァン。
通路を行き交う人々と挨拶を交わすシャオ。
大勢の小さな子供達に、笑顔で手作りのオヤツを配るマリー。
その傍らで、
「ちっこい順から並べっちゅーとるやろが、しまいにはドツクぞ!こんガキぁ!!」
と脅すフレデリカ。
体育館で、同年代の青年達とバスケットに興じているカイル。

それでも、桜子は思わずにいられないのだ。
あの未来は……“あの5人”は、どうなったのだろうと。

この未来に、自分達の記憶にはない桜子とアゲハが訪れているのなら。
あの未来にも、今とは別の桜子とアゲハが訪れているのだろうか……?

カイル達を見て、どこか遠い目をするアゲハも、きっと同じことを考えている。
そんな気がしていた。


   * * *


第二星将・ジュナス率いる一団による“根(ルート)”への奇襲。エルモアの死。
次々に襲う悲劇の中、捕虜にされたマリーやアゲハの姉を始めとする住民を奪い返すため、飛龍達と合流した彼らは“W.I.S.E”の首都アストラル・ナーヴァを攻撃した。
それが、未来での最後の戦いとなった。

星将、禁人種(タヴー)、サイレンドリフト、エルモア・ウッド。
あらゆるPSI(ちから)がぶつかり合い、星屑のような結晶が空を覆う。
やがて……。

天戯弥勒の“生命の門(セフィラ・ゲート)”解放と、ウロボロスによる地球の捕食。
爆発するようなエネルギーの奔流の中で、崩壊していく世界。
その直前に、サイレンドリフトは“ネメシスQ”の呪縛から解放された。

彼らが戻ったのは、元の世界の約1年と2ヶ月後……2009年10月25日。
ウロボロスの破片が地球に到達する4日前。
それが、最後に感謝の言葉を告げた07号の意思。

運命を分ける時の橋の分岐点に立った彼らは、未来を繋げた。天戯弥勒と夜科アゲハの共闘によって、ウロボロスの化身となったミスラを倒したのだ。

世界崩壊へ続く橋は砕かれ、再構築されていく。
もう誰にも行き先のわからない、未来に繋がる橋が……。



− 3 −

2018年7月。
雨宮桜子と夜科アゲハは、25歳になっていた。
(時折、本当は約1年と2ヶ月若いのだと主張したくなる桜子だが、そこは省略する。)

現在の2人は、エルモア財団のエージェントだ。
主な仕事はサイキッカーの素質を持つ子供達の保護。相手は育児放棄や虐待をする親から怪しげなカルト教団、非人道的な人体実験を行う某国家機関までと様々で、勤続7年のベテランだ。
世界中を巡る2人が夜科の姉・フブキとイアンの結婚式への出席のため、日本に戻って1週間。
当初は式が終わればすぐにも出国の予定だったが、急に仕事がキャンセルになったため、天樹院邸での休暇を楽しんでいる。

ちなみにキャンセル理由は、ターゲットだった某国の施設……実体はサイキッカーの収容所……が、天戯弥勒率いる“W.I.S.E”によって一足早く解放されたからだ。
この数年、彼らとは必ずしも“敵”とは言い切れない奇妙な関係が続いている。
今回も“W.I.S.E”は収容されていたサイキッカーの一部……まだ人を殺したり傷つけたことのない幼い子供……をその場に残し、施設を監視していた財団の現地エージェントに保護させていた。

“W.I.S.E”は能力を隠さずにすむサイキッカーのための国を造り、エルモア財団は幼いサイキッカーに力のコントロールを教えて社会に戻す。
今のところ、それぞれのやり方を否定も肯定もせず、共存している。
それが何時まで続くのか、いずれまた戦うことになるのか。桜子にもアゲハにも、恐らくは天戯弥勒にも、今はまだわからない。

……さておき、そんな事情で予期せぬ休暇を得た2人だが、幸いというべきか生憎というべきか、退屈することはない。
何故なら、結婚式ではゆっくりと話す時間の無かった懐かしい顔ぶれが、次から次にやって来るからだ。


朝河飛龍は真名辰央と連れ立って、ようやく“クサカベさん”を見つけたと報告に来た。
未来の世界で2人の命を救い、禁人種(タヴー)でありながら人間側に協力して灰になった恩人。現代の彼に会おうと、ずっと捜し続けていた2人だった。
切欠は、この夏にリメイクされ劇場公開の運びとなった『新・モビ太と鉄人集団』だ。
封切り前の特別企画プレゼントの応募ハガキの山から、彼の本名“日下部雄介”を見つけ出したという。

「本当に、クサカベさんの本名を見た時は、夢じゃないかと思いました…。
 慌ててその場で、朝河さんに写メしちゃいましたよ!!
 クサカベさんについては、本名と関西出身だということと、『モビ太と鉄人集団』の大ファンだということぐらいしか分からなくて…。
 本当に、ウチの会社に就職した甲斐がありました…!!」

この目的のために就職先を『モビ太とノラえもん』シリーズを手がけるアニメ専門の企画広報会社にしたタツオは、感無量の様子だった。
2人は“発送をもって発表に替えさせていただきます”のプレゼントとして、映画のブルーレイを自腹で彼に贈るそうだ。

「それにしても、『新・モビ太と鉄人集団』は名作だ。
 タツオと見に行ったが、五回目でも泣ける!!ウチの生徒にも勧めているぞ」

現在、小学校の新米教師である飛龍は、ちょっとマニアっぽくなっていた。


アイドル俳優、人気小説家、天才画家、大企業の社長と、数年毎に肩書きが変わる望月朧は、現在無職。
但し、それはあくまでも自己申告であって、会社を譲り渡す手続きは全く済んでおらず、秘書と重役達に追い掛け回されていた。
だが当人の認識では超ヒマらしく、結婚式以降、ハッキリ言ってウザいくらいの頻度で伊豆にやって来る。
三十代になっても相変わらず、自由すぎる男である。
そして相変わらず、隙あらばアゲハに抱きつこうとするのだ。
更には、

「ちょっとした提案なんだけど。
 アゲハくん達が次の仕事で日本を出る時は、是非僕も一緒に行きたいな。
 きっと、とてもスリリングでスペクタクルな旅になると思うよ」

などとほざくから、桜子は己の分身たるアビスと2人がかりで丁重かつ念入りにおことわりしておいた。
ついでに朧の俳優時代のマネージャーで現在は社長秘書、そして朧が会社を押し付けようとしている相手でもある松本清美に、彼の潜伏先のホテルを密告したから当分は来れないだろう。


霧崎兜は、彼の方が先に次の仕事……今も内戦の続く中近東……に出発することになり、律儀に挨拶に来た。
だが、用があったのはフレデリカにだったらしく、何だかんだとあった挙句に

「死なないように帰って来なさいよ、ヘタレ!!」

の一言をもぎ取って、上機嫌で機上の人となった。
そういえば最後のゲームでは、同じ19歳のフレデリカと良く話をしていたようだったと桜子は思い出す。
恐らく、先日の結婚式で成長した彼女を見て、彼もイロイロと思い出すところがあったのだろう。
フレデリカも満更ではない様子だし、霧崎も一端の戦場カメラマンとして実績を積み、最初に出会った頃を考えれば信じられないほどしっかりしている。
但し金に困っているのは相変わらずで、活動資金とやらに苦笑と共に5万円を渡したアゲハに、桜子は何も言わなかった。イイ女は男の友情に口を挟まないものだと、本(「恋で泣かない女の88のルール」他)にもある。
それでも、すぐさま手帳を取り出し書き留めておく。
アゲハへの霧崎の借金は、合計19万4千7百50円になった。


1年余りのブランクの後、ピアニストとしてカムバックを果たし、現在も多忙な八雲祭。彼女は伊豆を訪れる代わりに、リサイタルのチケットを送ってくれた。
八雲祭のピアノの音色は、更に華やかで艶やかで自由奔放で、久々にウズウズする気分を味わった。
桜子にとって“私のマツリ先生”は、いつだって最高にステキなのだ。
普段はクラシックなど3分で寝てしまうアゲハも、最後まで起きていたようだ。
(もっとも、アゲハはピアノを聴いていたのではなく、隣に座る桜子が目を輝かせる様子を眺めていただけだったりするのだが。)
さて、公演後。花束を持った2人が楽屋を訪れてみれば、暴力団排除条例が世間に定着した中、ヤクザからスッパリ足を洗った雹堂影虎が、祭の運転手兼プレゼント受付・整理・運搬係兼ボディガードとして、甲斐甲斐しく働いている。
ちなみに、家で家事全般を担当しているのも影虎だそうだ。

「かっかっか、実に良いヨメをもらったぞ」
「姐さん、そんなに褒められちゃあ照れますぜ……。(/////)」

豪快に高笑いする祭と、新妻よろしく頬を染める影虎。
とりあえず、幸せそうだ。


むろん、この1週間に最も足繁くやって来たのはエルモア・ウッドの面々だ。
今も変わらずアゲハを慕う彼らは、5年ぶりの再会に話したいことを溜め込んでいる。

「……そんでさ、イアンはキュア能力を持って生まれたことで色々苦労してっから、それにフブキを巻き込みたくないとかって気ィ遣うし。
 フブキはイアンが今でも八雲さんを忘れられないんじゃないかって、気ィ遣うし。
 お互い意識しあってんのはミエミエなのに、進展しなくってさー。
 そんでオレ達エルモア・ウッドがついに腰を上げたってワケさ!!」

逞しい青年となったカイルは、いつまでたっても進展しないヴァンの師匠・イアンとアゲハの姉・フブキの仲に業を煮やし、一計を案じた顛末を話してくれた。
未来では聞く機会がなかったが、きっと同じような経緯であの2人は結ばれたのではないかと桜子は思った。
現在、新婚旅行中の2人だが、フブキのお腹には既に夜科の甥っ子がいる。


フレデリカは、シャオが片想い歴10年を卒業できたのは自分の手柄だと、自慢しにやって来た。

「……そりゃあ、先に告白したのは結局、マリーだったらしいけど。
 でもね−、アタシがあそこまでやんなきゃ、事態は動かなかったに違いないわ。
 あのヘタレの若年寄がマリーに相応しいなんて、アタシはゼンゼン思わないんだけどッ!!
 ……でも、それじゃマリーが可哀想じゃない。
 マリーがシャオの気持ちに気づいてて、でも気づかないフリしてて。ずっと待ってたことぐらい、わかってたんだから……。
 だからッ!!全てはこのアタシ、フレデリカ様のおかげなのよ!!」

時折涙ぐみ唇を噛み締めながら、キッパリと言い切る。
ずっと妹であり姉でもあったマリーから離れる覚悟をした彼女は、とても綺麗に見えた。


そしてヴァンは、フレデリカによるシャオの山篭り修行に巻き込まれた大迷惑を愚痴りに来た。

「もー、フレデリカさんもシャオ君も、マリーさんのこととなると目の色変わっちゃって。
 このまま生きて帰れないんじゃないかと、何度思ったか。
 カイル君はちゃっかり逃げ出しちゃうし、ボク一人、貧乏クジで……。
 なのに、フレデリカさんは自分だけの手柄みたいに自慢してるでしょう?
 シャオ君とマリーさんは幸せ一杯。ホントにみんな、勝手ですな!勝手ですな!!」

まだ幼さを残す頬を膨らませる彼は、すっかり饒舌さを身に付けて、口数だけなら5人の中で一番かもしれない。


だが、今日は賑やかな若者達が留守とあって、邸内はいつもより静かだった。
シャオとマリーが、初デートに出かけているのだ。その後をフレデリカと、彼女に首根っこを捕まえられたヴァンが追い、更にその後を溜息を吐き吐きカイルが追っている。
行き先は、10年前に5人を連れて行ったことのある遊園地だ。

「……あの、僕にはマリーを何処に誘ったらいいか、皆目検討がつかなくて……。
 彼女は優しいから、何処に誘っても喜んでくれるとは思うんです。
 でも、出来れば彼女が一番楽しんでくれて、ガッカリさせなくて、むしろ意外性があって、
  『パパはママを、こ〜んなにステキな所に連れて来てくれたの。
   だから、ますますパパのことが大好きになったのよvv』
 って、将来子供に話して聞かせられるような思い出に残る……って、いやッ!!
 そ、そそそ、そうじゃなくって……っ(//////)」

……と、かなり支離滅裂な相談をシャオから受けたアゲハが、桜子との協議の末に勧めたのだ。
ちなみに桜子は桜子で。

「……あ、あのっ、雨宮さん!!アゲハさんとの初デートの時って、どんなでした?
 服とかお化粧とかって、最初から気合入れすぎない方がいいんですよね?
 髪型は…サイドポニーとかどうでしょう?ツインテールとかだと狙いすぎでしょうか?
 あと、あと……その、は、は、初キスとか……っ。(//////)
 最初のデートでは、まだ無いですよねっ、ね!?」

……といった質問責めをマリーから受け、アゲハには一切知らせずに自分の経験(よりもむしろ本からの知識)でアドバイスした。

今頃は思い出の場所で、あの時マリーが乗りそこなったメリーゴーランドに乗っているだろう。
その後、尾行に気づいたシャオが2人逃避行を計るか、結局5人で遊園地を楽しむ羽目になるかは神のみぞ知るだ。


そんな訳で5人が不在の今日は、ひっきりなしだった来客も途切れている。
本当に久しぶりに、2人っきりだ。
天樹院邸に保護され養育されている子供達の声が、遠くから聞こえるだけ。
窓を開け放ったアゲハは、どこか遠い目をしていた。

「……どうしたの?」

読んでいた本から顔を上げ、桜子が問いかける。こんな目をするアゲハを見るのは、久しぶりだ。
優しくて、どこか淋しそうで、少し哀しそうな。透き通った眸。

「いや……。アイツら、向こうの庭で遊んでるチビ共と変わんなかったのに。
 ホントに、でかくなったよなぁ。……知ってたのに、ビックリした」

馬鹿みたいだろ?と笑うアゲハに桜子は首を振る。
以前から気づいていた。日本に戻る度、どんどん成長していくエルモア・ウッドを見るアゲハは嬉しそうで、そして時々辛そうな目をする。その度に、思うのだ。

最後のゲームで訪れた未来……ウロボロスに喰い尽くされて滅んだものと思っていた世界……は、救われたとアゲハは言った。
あの未来の“07号”が、眠り続ける夜科の意識に伝えたそうだ。
エルモア・ウッドも、夜科の姉も父も、他の人達も……みんな無事で、青い空と緑の大地の間で生きている。
古都霊山での戦いの後、半年もの間昏睡状態だったアゲハを目覚めさせたのは、その喜びなのだろう。

潜在能力の高さと戦うことへの迷いの無さに、やがて“人”から外れていくのではないかと八雲祭に危ぶまれていたアゲハ。
彼を“こちら側”に引き止めたのは、エルモア・ウッドの存在だったのだと桜子は思う。
物事を理屈ではなく感情で捉える彼にとって“世界を救う”ことは、天戯弥勒を倒すことでも、“W.I.S.E”を全滅させることでもない。あの子達が死なない未来を作ることだったのだから。

それなのに、今この世界で“転生の日(リバースデイ)”の絶望に晒されることもなく成長したエルモア・ウッドの姿が、かつての問いを思い出させる。
アゲハとの4度目のゲーム。40名に満たない生存者。ゴールの前で笑って見送ってくれた彼ら。
あの未来は……“あの5人”は、どうなったのだろうと。

今となっては誰にも答えはわからない。けれど、恐らくは……。
桜子は本を置いて立ち上がると、アゲハの背中に頬を寄せる。昔より少し広くなった胸と、逞しくなった肩に両腕を絡めて囁いた。

「うん……、わかってる。わかってるよ、アゲハ」
「……桜子」

アゲハの手が、華奢で白い桜子の手に重ねられた。そして……。


(……2人共、暇があるなら話をしようか)


「「………………。」」

見詰め合った2人は、互いに小さく溜息を吐いた。こっちの都合はおかまいなし、なところは同じらしい。
いつかの未来のように“07号”の声に呼ばれた桜子とアゲハは、天樹院邸の離れに足を向けた。



− 4 −

アゲハが半年の昏睡から目覚めた、間もなく後。
2人は夢喰島に閉じ込められていた“グリゴリ実験体07号”を救出した。
それは、新たなパラレルワールドを創り出す原因となるのかもしれない。
だが、彼らは行動した。そこに助けを必要とする人間がいると知っていたからだ。思えば、それが“エージェント”としての初仕事だった。
以来、07号……仮初めの名を嫌った彼女自身の希望で今もそう呼ばれている……は天樹院邸の離れで暮らしている。

海側に面した林の中にある小さな家は、他人との交流が難しい彼女の為に準備されたものだ。
手入れの行き届いた庭の花々。日当たりの良いテラスで丸くなった数匹の猫。
車椅子の女は、自律プログラムではなく自らの手でそれを動かしながら2人の前に現れた。

「07号か…?」

僅かに眉を寄せ、アゲハが尋ねる。研究施設で何らかの遺伝子操作を受けたのか、彼女の外見はほとんど変化がない。
だが、纏う雰囲気が記憶にあるそれと違うのだ。
桜子も気づいていた。冷たく硬い石のようだった感触が、今はやわらかく暖かい。
まるで、人肌に触れるように……。その時、表情に乏しい彼女の唇が動いた。

「久しぶりだな……。夜科アゲハ、雨宮桜子」

それは確かに空気を震わせ、鼓膜に響いた。
桜子は目の前の07号を驚きの目で見つめる。

「あなた、声が…!!」

グリゴリでの過酷な実験の後遺症か、カプセルに保存されていた為か、救出直後の彼女は身体機能のほとんどが麻痺していた。
聴覚、嗅覚、視覚、味覚、触覚、そして手足を動かすこと。
治療によって次第に回復する中、最後まで話すことだけはできずにいたのだ。
以前、彼女を治療(キュア)したイアンは言った。


  『僕の治療は完璧だ。発声機能に問題はない。後は本人の問題だろう。
   意志の疎通が念話で済ませられる彼女に、肉声で自分を表現せずには
   いられない強い想いが生まれなければ、おそらく死ぬまでこのままだ』



全ての感情を遮断した彼女に、失った声を取り戻させるほどの強い想いを生んだものとは…?

「弟と、会えたのか」

確信の込められたアゲハの問いに、桜子は目を瞠る。だが、07号は小さく首を横に振った。

「いいや、まだ“会えて”はいない。
 届けに来ただけだ。“草の王冠”を……」

澄んだ美しい声で答える彼女の顔には、それでも微笑が浮かんでいる。
作り笑いとは違う、やわらかで自然な表情だった。

「……そうか」

短く答えたアゲハもまた、笑みを見せていた。思えば不思議だと、桜子は思う。
07号の双子の弟は、天戯弥勒。かつての未来で、そして自分達の生きる現代で、幾度も命を取り合った宿敵だ。
にも関わらず、姉弟の和解を喜ぶことの出来るアゲハは、怒りに駆られて戦いはしても、本当の意味で人を憎んだことがないのだろう。
何年経っても単純で、バカなところは変わらない。

「では、話の本題に入ろうか」

アゲハを見つめていた桜子は、我に返って07号に向き直った。彼女の口元に浮かぶ微笑が、意味ありげに深いものになった気がする。
だが07号は、むしろこれまでの彼女のイメージに近い淡々とした口調で続けた。

「実は、お前達2人に見て欲しいものがある」

言い終わると同時に、彼女の背後に人影が現れた。その姿を見た瞬間、桜子とアゲハは同時に声を上げる。

「「ネメシスQ……!?」」

かつて、大勢の人間を“死のゲーム”に誘(いざな)った異形の怪人。
サイレンドリフトを呪縛から解放すると同時に、消滅した筈の自律プログラム。
だが……。

「コイツは……、違う?」
「……ええ、少し違うわ」

現れた“ネメシスQ”は、2人の記憶にある姿に似てはいるが同じではない。頭部の形や色、何よりも存在から感じる気配が異なっている。

「そのとおりだ。これは、お前達が知る“ネメシスQ”とは違う。
 今の私が組み上げた、時間ではなく次元を超えるプログラムだ。
 ……すまないが、まだ口を使い慣れていないので、ここまでにさせてもらおう」

肉声で語っていた07号は、ぷっつりと口を噤んだ。
後を話すつもりが無いのではない。続きは彼らの頭に直接語りかけられた。

(私は知っているつもりだ、夜科アゲハ……。
 お前が、未来を変えてしまったために切り離してしまった“別の未来”の行く末を案じ、気に病み続けていることを。
 そして雨宮桜子、お前が夜科アゲハの苦しみを取り除きたいと願い続けていることも……。)

はっと、アゲハが息を呑む気配が感じられた。
新しいネメシスQは、忠実な従者のように07号の背後で控えている。

(私は……今、ここに居る私は、お前達に救われた。
 だから私は、今の私の持てる全ての力で、お前達の願いを叶えたい。
 無数に存在する崩壊した未来の、その一つを救いたい。
 ……いや、違うな)

07号は、小さく頭を振った。そして思案の末に念話で告げる。

(こう言えば、お前には伝わるのだろうか夜科アゲハ……。
 お前がエルモア・ウッドを救いたかったように、私は弟を救いたいのだ。
 それがこの世界とは違う存在であっても。大きすぎる罪を犯した後だとしても……。
 平行世界を生み出した原因は、もう1人の私にあるというのに虫が良いと承知している。だが、私は)

車椅子の肘掛けに置かれた07号の手は、強く握り締められていた。傍らの怪人が、いつの間にか身を乗り出している。
アゲハの片手が、それ以上を遮るために上がった。

「わかったよ、07号」

迷いの無い、即答。

「正直、約束はできねェけど……。
 もう1人のあんたと、あんたの弟が、カイル達と共存できる未来を繋げられないか。やってみるさ」

07号は静かに微笑んだ。ありがとうと、形づくられた唇が微かに震えている。
ネメシスQが主の代理のように深々と頭を下げた。

夜科アゲハという男は宇宙で一番優しくて、この世に生ける生物の中で一番バカだ。
だから、と。桜子は思う。振り返ったアゲハが、口を開くより先に言った。

「アゲハと一緒に行くわ。私も……もちろん、“アタシ”もね」



− 5 −

以前のように突然姿を消すわけにはいかないから、親しい人達には事情を説明した。
今度は未来ではなく、平行世界(パラレルワールド)だと聞かされたエルモアと朱鳥は暫し絶句したが、引き止めることはなかった。
一方、かつてのドリフト仲間は我先に同行を申し出たが、全て07号に却下されていた。

(朝河飛龍、真名辰央、望月朧の3名は10年前の姿で平行世界に存在している。
 八雲祭、雹堂影虎の2名は、平行世界での死亡が確認されている。
 つまり、存在が矛盾してしまうのだ。彼らを連れて行くことで何が生じるか、責任が持てない。
 それに、私の力で次元を超えさせられるのは一度に3人までが限界だ)

〔えーッ、だったらオレはOKなんじゃん。出発、延期できねーの?
 3ヶ月ぐらいで戻れそうなんだけど…。〕

どこから聞きつけたのか、コレクトコールで天樹院邸へ電話を掛けてきた霧崎は銃声をBGMに言ったが、これも07号に却下される。

(次元を繋いで行き来できるのは、互いの“今現在”だ。
 3ヶ月後では世界が滅んでいるだろう。いずれにしても霧崎兜は適任とは言えない。
 何故なら“天樹院フレデリカ”が、2人存在することになるからだ。
 彼がどちらを選んだとしても、幸福な結末は望めない)

周囲が思うほど、彼女は他人に無関心でも、人の心の機微に疎くもないようだ。


   * * *


出発の日時は、決まっていた。
桜子とアゲハ、霧崎の3人が“ゴール”した同じ日の同じ場所。
ガラス張りの建物は10年前に“現代”へ戻った時よりも古びてはいたが、まだ現役だ。今では珍しくなった公衆電話さえ、生き残っていた。

旅立ちを見送るのは、07号とエルモア・ウッドの面々だった。
話を聞いた5人は、それぞれに驚き、困惑し、文句も言う者も居たが、今は笑顔だ。
信じているのだ。アゲハは必ず戻ってくると。10年前も、これまでも、ずっとそうだったように。

「アゲハ……、頑張れよ!!
 それと、もう1人のオレ達にも、絶対にあきらめるなって伝えてくれ」

子供の頃のようにアゲハと拳を打ち合わせたカイルが、白い歯を見せる。

「もう1人のボクに、これを持って行ってあげて下さいね!!」

ヴァンからは、パンパンに菓子の詰まったリュックを持たされた。

「もう1人の僕に、もっと自信を持って自分の気持ちに素直になれ、と言ってやって下さい」

先日のデートは大成功だったらしく、満面の笑顔で言付けるシャオ。
その彼としっかり手を絡めあったマリーは、頬をバラ色に染めていた。

「あの…あの、もう1人の私に、もっと周りを良く見て…大切なことを見落とさないようにねって、言ってくれますか…。
 そうしたら、誰よりも幸せになれるからって……。(////)」

ベッタリな2人に、イラッとしたらしいフレデリカが言った。

「もういいでしょ、この馬鹿ップルが!!」

そしてマリーの背中を押しながら、ちょっとスネた顔で言った。

「フン、もう1人のアタシによろしくね!!」

その声にアゲハが答える。
宇宙で一番優しくて、この世に生ける生物の中で一番バカな、桜子が大好きな彼らしく笑って言うのだ。

「んじゃ、みんな。ちょっと行って来るな!!」



− 6 −

もう1つの、2018年7月。
彼らの前では、持ち手を失った受話器が揺れていた。
アゲハ達を見送ったエルモア・ウッドの顔に、今は笑みは無い。

「……よく頑張ったな、マリー」

拳に爪が食い込むほど強く握り締め続けていたカイルが、咽喉から搾り出すように言う。

「カ、カイル君、こそ……」

やっと堪える必要のなくなった涙で頬を濡らすマリーが、肩を震わせながら答えた。
5人で話し合って、決めていた。
見送る時は、絶対に涙は見せない。過去に戻るアゲハ達の足枷になるようなことは、一切口にしない。
“指きりげんまん”での約束は絶対に守る。それがエルモア・ウッドのルールだ。

唇を噛んで悲しみに耐えつつも、マリーにハンカチを渡すタイミングを計っていたシャオには、例によって邪魔が入った。

「ご、ごのハンガヂ、お゛借りじまずねシャオ君……、ビイィーン(鼻を咬む音)」
「ヴァン、お前は……っ、…………鼻水垂れてるぞ(溜息)」

フレデリカはといえば、公衆電話に向かって両手を振り回し、怒鳴り続けている。

「何よバカアゲハー!!ドチビー!!単細胞ー!!ヘタレー!!童貞ー!!」

いかにもフレデリカらしくて、皆が笑った。笑いながら、泣いた。
そしてフレデリカが思いつく悪口も、声も枯れ始めた頃。

「そろそろ戻ろう……。あまり遅くなると、嵐さんが心配する」
「……ああ、そーだな」
「うん……、シャオ君」
「………ぐずっ、おばあ様に心配かけると、心臓に悪いですしね」
「……フン、あんたたち気が済んだの?
 じゃあ、サッサと“根(ルート)”に帰るわよ!!」

帰ろう。彼らを待つ、40名にも満たない人々…“家族”の元へ。
赤くなった目に、それでも笑みを取り戻した5人が公衆電話に背を向けた、次の瞬間。


  リリリリン  リリリリン  リリリリリリン


鳴り響いた電話のベルに、彼らは驚いて振り向いた。そして、更に驚いた。
そこに一組の男女が立っていたからだ。それが誰なのか、すぐには理解できなかった。
どちらかというと小柄な男が、ぽかんと口を開けた5人を順に眺め、ニッと笑う。
それは、確かに見覚えのある笑顔だった。

「よっしゃあ!!
 まずはコッチの飛龍とタツオと朧と07号を捜して、アストラル・ナーヴァへ殴り込み……へぶッ!?」

握り拳と共にぶち上げられた男の声は、後頭部に決まった華麗な蹴りで中断を余儀なくされる。
ロングヘアーをなびかせた女性は、右手に日本刀、左手に鎖鎌をギラつかせながら、両目を釣り上げていた。

「何言ってんの、アンタ馬鹿!?天草が先でしょうが。急がないと全滅するわ。
 それに、“根”の場所を突き止められた情報源があの連中なら、奇襲も回避できるでしょ!!」
「いででで…、でもよォ桜子。やっぱ、コッチの07号だけでも先に見つけとかねーと。
 万が一、10年前の俺達が来ちまったら、存在の矛盾がどうとかでヤバイんじゃなかったっけ?」
「やっぱり、記憶力ゼロのバカちんね!!
 いーい?10年前の私達が最後に“コール”されたのは、1ヶ月以上先よ。
 それまで15歳の雨宮桜子と夜科アゲハは、2008年で頑張ってるわ。
 だからアッチの07号が、帰還期日を今からきっかり1ヶ月後にしたんでしょうが!?」
「……あ、そーだっけ?」
「アンタ、本当に脳味噌にシワとかあるの!?」

ひとしきりの言い合いは、女性の圧倒的勝利で決着したらしい。
その口ぶりと面影に、ようやく確信を得たのだろう。カイルが掠れた声で言った。

「え……、アゲハ……と、雨宮さん……?」

呆気に取られたままの5人に、2人は改めて向き合った。
10年前、自分達を見送ってくれたエルモア・ウッド。
そして、さっき別れたばかりのエルモア・ウッド。同じで、違う彼ら。

「久しぶり……って、言っていいのかどうかわかんねーし。
 話したいことも山ほどあるけど、まずは」

それでもアゲハは笑って言うのだ。
繋がった世界の中で、何度でも繰り返し。



  「また、会えたな!!」



                                   − 終 −


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(以下、反転にて補足的につぶやいております。/2010.7.14 本文一部修正)

5thゲーム未来での世界は救われましたが、4thゲーム未来の方はどうなの!?
朱鳥さんはいないし、やっぱりジュナスの奇襲で全滅したのかしら…。(涙)
……という、連載時からの引っかかりというか願望を、力いっぱい形にしてみました。
小説版を読んでいなくてもわかるように書くつもりでしたが、既に自分の中であれこれオフィシャル化していることも判明。だって、色々と美味し過ぎるし!!
そんなワケで、小説版からの借用設定と管理人による捏造設定が混在しています。

小説「another call 2 未来は君の手の中に」からの借用設定
○2018年7月某日
  フブキとイアンが結婚。関係者の多くが出席。
○アゲハと桜子
  結婚式への出席のため、5年振りに日本へ帰国。
  共にエルモア財団のエージェントに就職。
  世界各地でPSI能力を持つ子供の保護に当たっている。
○2018年現在の元ドリフト達
  飛龍=小学校の新米教師。
  タツオ=会社員らしいが詳細不明。彼女はいるが『朝河さん』も大事。
  朧=芸能界を引退→小説家→画家→大会社の社長→を、突然辞めると
     言い出してマネージャーから社長秘書に転進した松本さんがキレる。
  カブト=戦場カメラマンとして頑張っているらしい。
       オジキへの借金は続いている。
  祭と影虎=くっついたらしいが、入籍したかどうかは不明。
○エルモア・ウッド
  成長した外見・性格等は4th&5thゲーム未来とほぼ同じ。
  アゲハの帰国を機に、シャオのマリーへの告白を成功させるべく
  フレデリカが暴走。
  山篭り修行にヴァンが巻き込まれる。カイルは逃走。
  実はマリーはシャオの告白をずっと待っていた状態で、カイルの促しと
  ジャンケンにより、彼女からシャオに告白したらしい。
○“W.I.S.E(ワイズ)”
  どこかの南の小島に“サイキッカーの国”をつくっているところ。
  虐げられた同胞を解放するため、アゲハ達とは時に対立し、時に共闘も
  しているらしい。
○07号
  フブキとイアンの結婚式当日、離れに残る07号に天戯弥勒が語りかける。
  天樹院邸で養育されている子供を通して弟から“草の王冠”を受け取った
  彼女は、以降、声が出せるようになる。

管理人による捏造設定(作中外含む)
○飛龍とタツオ
  現代の“クサカベさん”を探し続け、ついに見つけた“日下部雄介”に
  もう一つの世界での感謝を込めて『モビ太と鉄人集団』のブルーレイを
  贈る。……とかだといいなぁ〜。
○カブトとフレデリカ
  結構お似合いだと思う。
  但し、もう一度崩壊した未来に行くことになったら、ハンパないパラドックスが
  生じる可能性大。現代のフレデリカの元に戻るか、この世界のフレデリカの
  元に残るか。……なので、同行させないことにしました。
○イアンとフブキ
  大人の諸事情によりなかなか進展しなかったため、焦れたエルモア・ウッドが
  何かやらかしてくっつけた。大まかな経緯は現代も5thゲーム未来もほぼ同じ。
  ……とかだといいなぁ〜。
○新ネメシスQ
 崩壊した未来で死にかけながら大量の人間にタイムトラベルをさせ続けた07号。
  (カプセルの中にいた彼女の能力に、サイレン世界の大気は関係しない筈。
   だってネメシスQって現代での方が良く現れてたし)
 早くに救出され、イアンの治療を受けて脳の損傷も少なく済んだ現代なら、
 もっと凄いこともできるかも。
 例えば時間ではなく次元を超えて、平行世界へトラベルとか。
  (5thゲーム未来の07号は、意識の中だけとはいえ次元を越えていたし。)
 そして現代から継続の2018年7月と、4th未来での2018年7月の同じ日同じ
 場所を繋げ、再び“あの5人”の元へ。……とか、ならんもんですかねぇ〜。
○天草の人々
 もう一度、崩壊した未来の2018年7月に行くことがあるなら、是非優先的に
 天草の人々を救出してください。生存者は貴重だし、情報漏洩は阻止しましょう。
 億号と大河は戦力になるし、再登場して欲しいキャラでした。
 ちなみに現代で、億号は祭先生の飲み友達、大河は大学とかでカイルと
 同級生になると良いと思う。
 ……残念ながら、登場させられなかったけれど〜。


「PSYREN」では、これにて更新終了となります。
管理人にとっては天樹院家に始まり、天樹院家に終わった作品でしたが、最後に
少しだけでも夜桜風味を入れられて良かったです。
ヤンデレでアブない雨宮さんも、後半登場の黒宮さんも好きでした。
最後までお目汚し、ありがとうございました!!