町で1番カッコイイのは・・・


「みんな…あいつ狙い?」

「隣だからいろいろ手伝ったり…うちの鶏が世話になったりでいつのまにか……。」

「去年の冬、雪の中から救ってくれて……。」

「銀鉱石をプレゼントしてくれたんだ。ほら、これ!」

「彼女、クレアさんは危なっかしくてね。よく病院に来るうちに…。」

「恋心が芽生えた……てわけ!?」


ここはおなじみミネラルタウン。今は夏。

どうやら海の家で男5人の秘密会議をしている模様。


「そういうカイはどんなきっかけがあったんだ?」

カイに尋ねるグレイ。

「クレアは…あいつは…。」

「あいつは?」

「とうもろこし50Gでいいよ。……と、天使の笑顔で言ってくれたんだ!!安く売ってもらって嬉しかった!」

「「「「そこかよっ!!」」」」

「まあとにかく、クレア君の気持ちを確かめる必要があるな。」

思わずつっこんだが、ドクターはすぐに落ち着き、他の4人も頷いた。

「カイ、お前にはポプリがいるんだから身を引け?」

「何だよそれ!いつもと言ってる事違くね?それにリックにはカレンがいるじゃん!」

「リック、カイ!今は喧嘩する時じゃない、俺たちはライバルだけど、今は協力してクレアさんの気持ちを確かめるんだ!」

「「………」」

珍しくまともな意見を言ったグレイに、リックとカイの2人は大人しくなった。

「かといって直接聞くのもなんかあれでしょ?ぼくに案があるんだけど…。」

「どんな!?」

「あのね…。」


「さーて、水遣りも済んだし。そろそろ……。」

「クレアお姉ちゃーーん!」

「ユウくん!どうしたの?」

「あのね、ぼくクレアお姉ちゃんに聞きたいことがあるんだ!お姉ちゃん、好きな人いる?」

「えっ?」


一方物陰―――。

「どう?ぼくの作戦。」

得意げなクリフ。

お菓子でユウを釣り、それとなくクレアに好きな人がいるのかを調べる作戦だった。

「なるほど。子供の無邪気さを利用するわけだな?」


「好きな人?」

「うん!教えて?」

「えっとね…、ユウ君よ!」

「何っ!?」

思わず声をあげたカイと、

「わ、馬鹿!見つかる!」

「リックも声大きいよ!」

同じく大声で喋ったリック、小声で注意したクリフ。

ドクターとグレイは時が止まったかのように、ぽかんと口を開けたままクレアを凝視している。

「ほんと!?」

「うん。ユウ君が大きくなったらお姉ちゃんと結婚してくれる?」

「うん!じゃあね、お姉ちゃん!」

「またね〜。」

去っていくユウに、笑顔で手を振るクレア。

「クレアさんっ!」

1番に飛び出したのはクリフだった。続いて残りの4人も物陰から出る。

「うわ!びっくりした!!」

「い…今の……」

「やだっ。聞いてたの?」

頬を染めるクレアと、それを見て青くなる5人。

「本気じゃないよな。冗談だよな!?」

「本気よ?」

さらっと言ったクレア。

「ちょ、ちょっと!ユウとは10歳以上年が離れてんじゃん!!」

「ちょっとは可愛いけど…ありえない!」

「クレア君、熱は!?」

「嘘だろ、冗談だろ、エイプリルフールだしね!」

「…………」

口々にクレアに詰め寄るカイ、クリフ、ドクター、リック、放心状態のグレイ。

クレアは彼らを落ち着かせ、説明を始めた。

「光源氏知ってる?出掛け先で若紫って言う女の子に会って、その子のこと気に入っちゃうの。 そしてその子を自分の家に引き取って、大きくなったら結婚するの。」

「「「「………つまり?」」」」

「逆光源氏!ユウ君、絶対10年もしたらいい男になるもの!町でいちばん!」


その後5人がどうなったかって?………ショックで牧場にもいけないし、ユウの顔も見れなかったようです。



  

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