私台湾は只今、親友のの家に遊びに来ています……が。
〜1.日本〜
「、これ着てくれませんか……おや湾さん、いらしてたんですか。」
「こんにちは、日本のにーに……何それ。」
は私たちが小さい時にこの人――日本のにーにの元に預けられ、以来一緒に暮らしている。
だからにとって日本のにーには育ての親に当たるんだけど……。
「これですか?」
にーにが自分の持っている服――私の家でも放映されている何とかってアニメの衣装を見て言った。
……それ以外に何があるのよ。
「分かりました、着てみますね!」
「って、!?」
引き気味の私をよそに、当のはあの服を着る気になっている。
「何ですか? 湾ちゃん。」
「、いくら日本のにーにに恩があるからって何でも言うこと聞かなくていいのよ?」
私が言うと、は首を傾げた。
「違うですよ、湾ちゃん。私は菊にぃにが持ってくる色々な服を着るの、好きなんです。」
にこにことしては言った。
ああ、本当にこの子は何百歳になっても純粋というか、清らかというか。
「まあ、がそう言うなら……。」
「…さっきからずいぶんな言い草じゃないですか? 湾さん……。」
の育ての親なはずのこの人、本田菊こと日本はもう随分前からを異性として好いている。
だけど告白とかそういうのをする気配は一切無くって普通の同居人プラス、今みたいにコスプレさせていたりする。
……何十年も好きでいながら何も起こっていないこの状況にの親友として安心するべきか、にーにの妹として心配するべきか。
〜2.中国〜
「邪魔するあるよ〜。」
玄関から声が聞こえてきた。誰の、なんて考えなくても分かる。
「あ、耀にぃにです!」
いつの間にかさっきの服に着替えたが中国のにーにを出迎えに行った。
どうしたあるか、その格好なんて声が聞こえる。
「日本、お前またに変な服を……あれ、湾も来てたあるか。」
「こんにちは、中国のにーに。」
「いらっしゃい、中国さん。」
「日本〜。なんあるか、のこの格好。」
「何って、あのアニメの衣装です。中国さんの家でも放映されているはずですが。」
「それは知ってるあるよ、そうじゃ無くて……。」
「耀にぃに。」
が中国のにーにの服の裾を軽くくいって引っ張る。
「な、何あるか?」
「似合わないですか? この服……。」
しゅんとしちゃったに向かって中国のにーには即答した。
「とんでもない! すごく似合っているあるよ!」
「ありがとうございます!」
の笑顔を見て、にーにの顔がぽっと赤くなった。日本のにーにが面白くなさそうな顔をしている。
そう。中国のにーにもの事が好き。
近いのをいい事に暇さえあれば日本まで来ている。
〜3.イギリス〜
「おい、はいるか?」
玄関からまた別の声。
「はぁい〜。」
「あっ、……。」
中国のにーにはが行った途端、寂しそうな表情になった。
……そう言えば、誰が来たのかしら。
部屋から顔だけ出して様子を窺う。(にーに二人に“はしたない”って言われた。)
「こんにちは、アーさん。」
「よ、よう。。あのさ、お前薔薇好きか?」
「薔薇ですか? はい、好きですよ。」
次の来客はイギリスさんみたい。
「そ、そうか。うちの庭で摘んできたから、やるよ。」
そう言ってイギリスさんはに色とりどりの薔薇の花束を渡した。
「わあ…すごく綺麗です! わざわざ摘んできてくださってありがとうございます。」
イギリスさんがさっきのにーに以上に真っ赤な顔になった。
「ち、違うぞ。別にお前のために摘んできたんじゃなくて、その……庭掃除のついでなんだからな!」
「それでもすごく嬉しいです。いい香り……。せっかくだし、アーさんも中入ってください。いいですよね、菊にぃに!」
にーに二人が面白くない顔をしてるだろうなってのは、もう見なくても予想つく。
でもの手前、邪険にする訳にいかなくて。
「ええ、どうぞ入ってください。皆さんの分もお茶淹れますね。、手伝ってください。」
「はーい。」
イギリスさんてば、台所に行ったの方をじっと見てる。相変わらず、素直じゃないなあ。
「お待たせしました〜!」
〜4.アメリカ&フランス〜
――私、そろそろこの家ピンポンをつけるか玄関の鍵をかける習慣をつけるかした方がいいと思う。
日本のにーににそう言ったら、珍しく「そうですね」ってはっきりした返事が返ってきた。
「!」
「、会いたかった。」
「アルさんにフランさん、こんにちは。お久しぶりです。」
にーに二人とイギリスさんの顔が引きつった。
「、元気だったかい? お兄さんは最近仕事が忙しくて会えなかったけど、寂しくなかったか?」
フランスさんがさり気なく、でも堂々との肩やら手やらに振れているのを他の人たちが見逃すはずもなく。
「てめえフランス、にべたべた触るんじゃねえぞ!」
「何だよイギリス、怖い顔〜。」
「大丈夫だぞ、! 俺はヒーローだからな、の事を守ってやる!」
「間に合ってるある!」
「中国には言ってないぞ!」
あっという間に大騒ぎ。日本のにーには呆れてるし、はオロオロしている。
「、逃げるわよ。私んちにでも行きましょ。」
フランスさんの手が離れたのを確認してから、こっそり耳打ちする。
「え? ですが……。」
「この場は多分日本のにーにが収めてくれるわ。」
こんな大騒ぎの中にを置いておきたくない。
まだ迷ってるの手を引いて、日本のにーにの家を出た。
〜5.台湾〜
「も大変ね、しょっちゅうこんな感じでしょう? あの人たち。」
所変わって私の家、さっきの喧騒が嘘みたいに落ち着いている。
「大変なんてそんな、私はああやってみなさんと一緒に過ごすの、とっても好きですよ。」
「ったら……。」
確かに昔と比べるとあの騒動はむしろ平和であることを実感できる。
なぜかこの子は騒ぎの原因が自分であることに全く気付いていないけど、楽しいんだろうな。
「、みんなのこと好き?」
「はい、皆さん全員大好きです!」
笑顔で本当に素直に言っちゃうが可愛くて、むぎゅっと抱きついた。これは親友の特権。
「私も大好き〜!」
「はにゃ、苦しいですよ〜!」
まだまだを誰か一人のものにはさせられないわね、こんなに可愛いんだもん。
紹介を兼ねた湾ちゃん目線でした。もっといっぱい出したかったな、フェリとか√とか…。