「本当にすみません、! 終わったらメール入れるので、それまで時間をつぶしておいてください。」
「はい。」
「……ったくあの上司、それならそうと最初から言ってくれればいいものを……。」
「まあまあ菊にぃに、私なら大丈夫ですから。いってらっしゃい。」
「……とは言ったものの、どうしましょう。」
アメリカにて一人ぼーっと考え事にふけっている。
「短くても一時間は超えますよね……こんなことなら読みかけのラノベを持ってくるんでした。」
時間をつぶせるような店も見当たらず、道行く人を眺める位しかする事がない。
……と、今の今まで思っていたが。
「か?」
聞き覚えのある、自分を呼ぶ声に振り向くと。
「やっぱり。」
「アーさん! こんにちは。」
「よう。一人でどうした?」
「菊にぃにとアルさん達の会議にくっついて来たのですが、今日の会議は最重要の人しか参加出来ないそうなのです。だから終わるまで待っていないと。」
「マジか……俺もアメリカに会いに来てやったんだが…じゃあ今は会議中か。」
「そうなんですか。じゃあ一緒に会議終わるの待ちませんか?」
同じ時間でも話し相手がいるか否かではだいぶ感じ方が違う。
アーサーも「そうだな。」と、の隣に腰掛けた。
「…それで言ったんだ。またすぐに来てやるって。そしたら“うん!”って頷いてさ。それが今じゃ“なんだよ、また来たのかい?”だもんな。アメリカの奴。」
「あはは。今のアルさんも賑やかで楽しいですけど、昔のアルさんも見てみたいです。」
「だろ!? そう思うだろ!? 本当に可愛かったんだぞ〜。それが今じゃ生意気メタボだもんな……。」
「アーさんたら…少しは今のアルさんのいいところも見つけてあげないと拗ねちゃいますよ?」
「も…もちろん今のアメリカだって可愛がる気はあるぞ! あいつが可愛がらせてくれないだけなんだからな!」
話に花を咲かせている間に30分、一時間、一時間半とあっという間に時間が過ぎる。
太陽も大分高くなり、日向に座り続けるのは厳しくなってきた。
「ふう…少し暑くなってきましたね。」
「ああ、気付かなくて悪い。日陰に入るか……そういや昼時だな。どこかで昼飯でも食うか。」
「そういえばお腹減りました…この辺りって何かありましたっけ?」
「この間日本食レストランがオープンしたってアメリカが言っていたぞ。この辺だった筈だけどな。」
道路まで出て、二人してきょろきょろと周りを見渡す。
「お、あれか?」
アーサーが指差した看板は富士山の形に“JAPANESE”と書かれたもの。
「きっとあれですよ! 行きましょう!」
そのレストランは麺類が中心で、アーサーはうどん定食を、はきつねそばをそれぞれ注文した。
「アーさん、お箸使い上手になりましたね〜。」
「そ、そうか? まあこれも紳士のたしなみの一つだからな!」
「そうなんですか〜。そういえば今日は妖精さんたちは来てないのですか?」
「ああ、今日はすぐ帰るって言ったからな。」
にはイギリスの周りにいる妖精たちが見える。
(彼女曰わく“似たような存在だから”らしい。)
「どうせまた近い内に俺ん家で会議か何かあるだろうし、そん時にでもまた相手してやってくれ。」
「はい。」
食事が終わってからも話は途切れず、そんな時にのカバンから突然鳴りだしたのは有名な日本の歌のメロディー。
「なんだ、ケータイか?」
「は、はい。菊にぃにからのメールです。“終わりました、今どこですか”と。」
「ならそろそろ出るか。」
「はい……あれっ。」
が財布を出すよりも早くアーサーは伝票を持って、さっと二人分支払った。
「あ、あの。」
「いいから。ほら、行くぞ。」
「……ありがとうございます!」
慌ててアーサーに追いつき、礼を言った。
「!」
「菊にぃに、お待たせしました! あ、アルさんもお久しぶりです。」
「Hello、! で、なんでイギリスがいるんだい?」
「お前、何だよその言い方は!」
「アーさん、アルさんに会いに来たみたいですよ。ごはんご馳走になってしまいました。」
「そうなんですか、ありがとうございます。」
「そうだ! もう仕事は終わったし、四人で遊びに行くんだぞ! しょうがないからイギリスも連れて行ってやるんだぞ!」
「え。」
「じゃあLet's go!」
「アメリカ、お前日本達の都合を聞けよ!」
「も〜、イギリスはいちいちうるさいんだぞ。」
「まあまあ、お二人共……。」
アルフレッドとアーサーの口げんかを菊が宥め、はその様子を楽しそうに眺めていた。
リクエストコーナーにも頂いていたアーサー夢ですが、があんまりウブじゃなく超いつも通りになってしまった…
ウブ設定verは構想中のバルト夢で……きっと……