ミクリとヒロイン ゴヨウとヒロイン ヒョウタとヒロイン ダイゴとヒロイン その他 お題配布元
1 ありがとう
今日は、ルネジムの休業日。
リーダーのミクリは、トレーナーの1人を連れて、備品の買い出しに来ていた。
「ミクリさん、何を買うんでしたっけ?」
「ええと、まずはすごいきずぐすりですね、買い置きがなくなってたんで。あとは“みずのはどう”ですかね……。」
「あ、じゃあ私“みずのはどう”買ってきますね。1つでいいですか?」
「ああ、はい。ではお願いしますね。」
彼女はわざマシン売り場、ミクリは2階へそれぞれ向かった。そして5分後。
「ミクリさん、こっちです!」
「お待たせしてすいません、色々と新商品が出ていて、つい……。」
先に買い物を済ませて待っていた彼女に、ミクリは待たせた事を謝る。
「大丈夫ですよ、私も今来た所です。」
「そうですか。」
「じゃあ、ジムに戻りましょうか。」
「あ、待ってください。……少し、いいですか?」
ペリッパーのペリーさんをボールから出そうとした彼女を、ミクリが止めた。
「はい?」
「時間がありましたら、少しお茶しませんか。この近くにいい店が出来たんですよ。待たせてしまったお詫びです、奢りますよ。」
「え!?……でもそんな、奢りだなんて申し訳ないですよ。」
「私が貴女に奢りたいのですよ。気にしないで下さい。」
「あ……じゃあ、お言葉に甘えますね。ありがとうございます。」
「いえいえ、こちらこそありがとうございます。」
「……え?何がですか?」
ミクリの“ありがとう”の意味がわからず、彼女は首をかしげる。
(貴女とジム以外でお茶できることに対しての、”ありがとう”ですよ。)
1 たった1つの願い
『お兄さん、絶対、また来るからね!』
そう言ったのはもうだいぶ前のこと。
遠い遠いシンオウ地方。子供の頃、わたしはそこで旅をしていた。
「もう、行けないのかな。」
地元に帰ってすぐ、わたしは病気をした。もう、激しいバトルや旅は無理だと言われた。
この5年間、いつも思っていたこと。
「もう、会えないのかな。」
クールで冷静…という感じの、四天王のお兄さん。
『まあ、頑張って下さい?』
何度挑戦しても勝てなかったあの人に会いたい。
もう一度、バトルしたい。せめて一目会うだけでもいいから。
この5年間、何度も願った。たった1つの願い。
「お姉ちゃん、お客さんだよ!」
階段の下から聞こえた、末の妹の声で我に返った。すぐにノックの音がした。誰だろう。
ドアを開けたのは――
「お兄……ちゃん……。」
1 この手、離さないでね
「………ここ、結構暗いね。」
「最奥だからね。足元、気をつけて。」
シンオウ地方のある洞窟の最深部に、若い男女が一組。
「ヒョウタ君はさすがだね。ここにもよく来るの?」
男の方――クロガネのヒョウタが上手に道を探しながら進んでいくのを見て、少女はただただ感心するばかり。
「まあ、たまにね。」
「へえ……きゃ!」
その瞬間、少女は足を滑らせ、軽く尻餅をついてしまった。
「いたたた……。」
「大丈夫!?」
ヒョウタはすぐにさっと手を差し出し、助け起こす。
「ほら、気をつけないと。いくら君が探検好きって言ったって、初めての場所なんだしさ。」
「大丈夫だよ、ありがとう。」
ヒョウタの手に捕まり、少女は立ち上がる。
「この辺、少し濡れてるみたいだね。」
薄暗い中何とか辺りを見回すヒョウタの手を、少女は握ったまま。
「……えーと、大丈夫?怖かったら戻ろうか?」
ううん、と首を横に振る少女。
「怖いけど、行ってみたいの。奥まで。だからお願い。この手、離さないでね。」
好奇心の勝利。ヒョウタは、若干自分の体温が上がったことを自覚してはいなかった。
1 暴走する想い
サイユウシティの一角で、怪しげに笑う青年が1人と、遠巻きに見ている男女が1人ずつ。
「カゲツ……ダイゴ君、どうしちゃったの?」
「ほら、どうせあれだろ?例の女の子。」
「ああ、あの子ね。ダイゴ君のお気に入りのトレーナー。」
再びカゲツとフヨウがダイゴを見ると、彼は独り言を大声で口にしていた。
「うふふ、きっとあの子はもうすぐあの道路に差し掛かるよな……。
そしたら、あの辺りで強い野生ポケモンが出てくるから、僕が颯爽と現れてアドバイスをし、
“ダイゴさん、ありがとう!大好き!”……なあんちゃって、エヘヘヘ……。」
「………ダイゴ君、言っちゃあ悪いけどキモ!!」
「言っちゃっていいと思うぞ、フヨウ。今日も怖いぐらい妄想が暴走してるよな。」
「なんでダイゴ君がチャンピオン続けていられるのか、アタシ本気で分からない。」
「安心しろ、多分それが一般的な意見だ。」
2人の会話は、ダイゴには一切届いていなかったとか。
2 ぬいぐるみ
知り合いの人が、ゲームで手に入れた景品を僕にくれた。
だけどこれはどう見ても可愛らしいぬいぐるみで、どう考えても僕が持っててもしょうがない。
「そうだ。」
あの子にプレゼントしよう。
「おーい。」
「ダイゴさん! こんにちは!」
声をかけたら、ぱあっと明るい笑顔で寄ってきてくれた。
懐かれているなあって感じるのは、自惚れじゃないと思う。
「あのさ、この間知り合いからもらったんだけど、こういうの好き?」
ぬいぐるみを見せると、彼女はもっと笑顔になって「わあ、かわいい〜。」と言った。
「ならあげるよ、僕持っててもしょうがないし。」
「本当ですか? やったぁ、ありがとうございます!」
「いえいえ。」
彼女の笑顔が見られたから、知り合いの人に感謝しないと……だね。
1 休憩ならもう十分
「ダイゴ君、どこに行くの?」
フヨウが呼び止めると、ダイゴは振り返って言った。
「僕、少し休憩してきていいかな…。最近なんだかしんどくってね…。」
「え…。」
それだけ言うと、ダイゴはエアームドに乗って飛んでいった。
「ここ最近挑戦者も多かったし、疲れたんだね。」
「あいつ、珍しく真面目だったもんな。」
「まあ、たまには休憩ぐらいいいでしょう。」
最近真面目だったダイゴを信じた四天王のメンバーは、彼がすぐ帰ってくるものと思っていたが。
「……今日で5日目だぞ。」
「随分長い休憩ですね……。」
「……まさか。」
四天王がダイゴを疑い始めた頃、リーグの電話が鳴った。
「もしもし。」
『カゲツ、私です。』
「ミクリ!?」
『ダイゴが5日前からずっと私の家でゴロゴロしているんですよ。』
「え…。」
『“仕事いいのか”って言ったら、“四天王のみんながいいって言った”って。迷惑なんで責任とって引き取りに来て下さいね。』
電話が終わった後もしばらくカゲツは固まっていたが、やがて叫んだ。
「腐れダイゴを連れ戻すぞ!」
2 目標&憧れ(シゲル+ミクリヒロイン)
マサラタウンの自宅に帰ってきたシゲルは、懐かしい人の姿を見た。
「トモ姉さん!」
「シゲル君、おかえりー。久しぶりだね。」
祖父の知り合いであるホウエン地方のオダマキ博士の長女、トモ。彼女は数ヶ月前までこの家の居候だった。
優秀なポケモントレーナーだが、普段は優しくて面倒見のいいお姉さんな彼女。
シゲルも彼の姉のナナミも、彼女にとても懐いていた。
「今日はどうしてうちに?」
「カスミの所に行った帰りなんだ。もうすぐ帰らないとだけど。」
シゲルはえーっ、と不満げな顔をした。
「せっかく久しぶりに会えたのに……。」
「ごめんね、また時間を見つけて来るから。」
「絶対だよっ! そうだ、今度来たときはバトルしてよ! 俺だいぶ強くなったんだから、トモ姉さんより強いかもよ。」
へっへー、と笑いながらわざと生意気を言ってみる。
「そっかぁ、私も頑張らないと。」
そう言い、トモは帰っていった。
祖父から聞いた話では、トモは今のジムでもジムリーダーの片腕として頑張っているらしい。
――俺もいつか、トモ姉さんみたいに強くなるんだ。
トモを見送りながら、シゲルは心の中で呟いた。
3 ユウキ君と私(ダイゴヒロイン)
「勝ったー!」
「くそー、負けた!」
ユウキ君との何回目かのポケモンバトル。お互いに戦えるポケモンは残り一匹ずつで、なんとかギリギリ勝てた。
「ユウキ君、やっぱり強いねー。」
「って言うけどさ、結局お前が勝ってんじゃん。俺の方がジム突破も早いのに!」
それは本当。私はいっつも二番目。
ユウキ君は今日私に負けたことを悔しがっているけど、私だっていつもユウキ君に負けているから悔しいんだよ。
「次は負けねーからな! そうと決まればポケセン行くぞ!」
ユウキ君は道端に置いていたリュックを担いで、ついでに私の荷物もとってくれた。
「私だって負けないよ!」
いつまでも“ユウキ君の次”は嫌だもん。
○お題配布元○
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