ダイゴの誕生日がもうすぐだと、はミクリから聞いた。

普段世話になっているダイゴに何かプレゼントをあげたいな、と彼女は考える。

happy happy birthday

「どんなプレゼントをあげたらいいか?」

「うん。」

はまず、3人の姉達に相談した。

が自分で考えた方が、ダイゴさんは喜んでくれるわよ。」

これは一番上の姉のアドバイス。

があげたやつなら、何でも喜んでくれるんじゃない?」

これは真ん中の姉。

「やっぱりダイゴさんが欲しがってるものが一番だよ。」

そして、一番下の姉。

「……つまり、あたしが自分でダイゴさんの欲しい物を考えたらオッケーってこと?」

「まあ、そうなるかな?」

「“物”にこだわる必要もないけどね。」

「そっかぁ。」


(何がいいのかな?)

は普段のダイゴを思い浮かべる。

忙しい仕事をしているらしいけど、いつも何かと自分のことを気にかけてくれる人。

ポケモンのことにとても詳しい人。

いつも石を持っている、石好きな人。

「そっか、石があった!」

石をあげたら、きっとダイゴさんは喜んでくれる。

は色々な場所で石を探して集め、プレゼントすることにした。


「でも、石ってどこにあるんだろう?」

もちろん、その辺の道端に石がごろごろ落ちているのは知っている。

だが、それではあまり喜ばないだろうな、とは考えた。

「いしのどうくつとか……かな?」

自分とダイゴが初めて出会ったのもそういえばそこだったことを思い出し、

はようやく使えるようになったそらをとぶでムロへ向かった。


「あ、やっぱり。」

名前の通りいしのどうくつには、色や形が地上のそれとは若干異なっている石が見られる。

「ダイゴさんはどんな石が好きなんだろう。大きいの?綺麗なの?変な形の?」

せめてそれぐらいはこっそり聞くべきだったかな、と思いながらは石を拾っていく。

家から持ってきた袋はすぐにいっぱいになった。

「……でも、これもう持ってたらどうしよう。」

ひょっとしたら、いしのどうくつにはもう飽きているかもしれない。

「他の洞窟とかにも行ってみようかな?」

別に数日寄り道をしたからって何か困るほど切羽詰まってはいない。

とりあえず今日集めた石は家に運び、明日から色んな所に行くことに決めた。


「けっこう違いがあるんだねー。」

ここ数日の石集めで気付いたこと。

同じどうろでも場所が違えば生息するポケモンが違うように、

似たような洞窟でも中にある石は形や色、大きさなど様々な違いがある。

「宝探しみたいで楽しいね。」

――だからダイゴさんも石探しが好きなのかな?

「おーい、!」

急に頭上から声がした。

見上げた先にいたのは友人・ユウキ。

「ユウキくん。久しぶりだね。」

「おお。なあ、こんな所で何してるんだ?この辺のポケモンはもう弱い奴しかいないだろ?」

オオスバメから降りたユウキは尋ねた。

「石探ししてるの。ダイゴさんの誕生日にプレゼントしようと思って。」

「ダイゴさん?」

ユウキもダイゴとは面識があるが、とは違い彼のことを快く思っていない。(胡散臭いと思っている。)

「なんでまた。」

「ダイゴさん、石が好きだから。いろいろ考えたんだけど、やっぱり好きなものをあげるのがいいかなって。」

「いや、そこじゃなくてさ、なんでがダイゴさんに誕生日プレゼント渡すんだ?ポケモンバトル以上に大事なのか、それ。」

ユウキは怒ったような顔をした。軽い嫉妬。

「だって、ダイゴさんにはいつもいっぱいお世話になってるもん。ポケモンバトルとどっちが大事って問題じゃない、ただ喜んでほしいだけだよ。」

は真剣な顔で言い返す。

「………ごめん、言い過ぎた。」

これ以上文句をつけると喧嘩になると判断したユウキは、素直に謝り、尋ねた。

「なあ、はダイゴさんのことどう思ってる?」

「ダイゴさんのこと?」

(前ミクリさんにも似たこと聞かれたなぁ。)

は少し考え、やっぱり「優しいお兄ちゃんみたいな感じ。」と答えた。

「……そっか。」

「うん。じゃあそろそろ行くね。ばいばい。」

「おう、じゃあな。」


そして、ダイゴの誕生日当日。

「ダイゴさん!」

「あれ、ちゃん。」

上の姉からダイゴは今日ルネジムに遊びに来ていると聞いたは、通り道で待ち伏せることにした。

「こんにちは!」

「こんにちは、僕に用事?」

「はい、これをダイゴさんに。」

石集めの結果、かなりたくさんの石が集まった。

石入りの袋をカバンから出す。

「ダイゴさん、お誕生日おめでとうございます!」

「えっ?」

がこうして祝ってくれるとは思ってもいなかったダイゴは驚く。

「これ、もしかしてちゃんが全部集めたのかい?」

「はい。気に入ってくれたらうれしいです。」

ダイゴが袋を覗くと、さまざまな色・形・つや・大きさの石がごろごろ入っている。

これだけ集めるのに、どれ位の時間と手間がかかったのだろう。

それほどの時間と手間を、この少女は自分のためだけに費やしてくれた。

「……ありがとう、ちゃん。今までの誕生日で、一番のプレゼントだ。」

「本当ですか?良かった!」

はとてもうれしそうに微笑んだ。



何気にユウキが初登場。

ポケモン部屋のトップに戻る。
2号館のトップへ戻る。 トップページに戻る。