ある晴れた日。

は、ぼんやりと部屋の窓から外を見ていた。

「いいお天気だなぁ………。」

テーブルの上に置いてある彼女のモンスターボールの中身――オオスバメのスーとマッスグマのクーも、何やら外に出たそうな顔をしている。

「よし!」


おさんぽ


シンオウ四天王のゴヨウは、リーグの定休日に今度は自らの見舞いへ向かっていた。

「……おや?」

ミシロタウンのすぐ近く、101番道路に見覚えのある人物がいるような気がするゴヨウ。

「でも、まさか……ですよね?」

口で一応否定しながらも気になったゴヨウは、の家ではなくそっちの方向へ足を進める。

ふと、その人物がゴヨウの方を見た。

「あ!」

「え!」

同時に叫ぶ。

「ゴヨウさん、こんにちは。きてくれたんだ。」

ゴヨウの思ったとおり、そこにいたのは正真正銘だった。

さん!なんで外なんかにいるんですか?」

彼女が病弱であることを知っているため、思わずあせるゴヨウ。

「だって、いいお天気だったから。ここしばらく調子もいいし、たまにはお散歩でもって思って。」

平然と答える

「それに、あの子達も外に出たそうだったしね。」

と、少し離れたところで楽しそうに走り回っているクーと空を飛んでいるスーを指差して付け加える。

「野生ポケモンが出てきたらどうするんです?」

「大丈夫だよ、ここのポケモンはレベル低いし、それに私今きよめのおふだとけむりだま持ってるもん。」

「でも………。」

「それに、こないだお医者様に“たまには外に出た方がいい”って言われたし。」

ゴヨウがまだ何か言おうとしたのに気付いたは、そう付け加えた。

「そうですか……。」

複雑な顔をしながらも、一応納得したゴヨウ。

「ねえ、ゴヨウさんもポケモンたちを外に出したら?こんなにいいお天気だし、私も久しぶりに見たいな。」

がそう言ったのが聞こえたのか、ゴヨウのポケモンたちはそれに答えるようにボールの中でカタカタと動く。

「……そうですね。」

ゴヨウは彼のポケモン5匹を次々とボールから出した。

「わあ。」

が笑顔になる。

「すごい、さすが!強そうだし、それにとってもゴヨウさんに懐いてる!」

1匹1匹を見回して、“君は見たことない子だね”とか“君には苦労したなぁ”などと話しかける。

一方、ゴヨウは逆に彼の足元と頭の上にやってきたのポケモンたちの相手をしている。

「穏やかな顔をしていますね、クーとスーは。」

2匹に話しかけるゴヨウ。

ちらりとの方を見たゴヨウは、彼女があっという間に自分のポケモンたちと仲良くなっているのに気付く。

「………いい娘ですね、お前たちのご主人様は。」

優しくて、純粋な方。

「私とは、正反対。」

自嘲気味にそう付け加えるゴヨウを、クーとスーは頭に疑問符を浮かべながら見る。

「………なんでもありませんよ。さん。」

「何ー?」

ゴヨウに呼ばれ、笑顔で振り向く

「お見舞いにとシンオウ饅頭を買ってきたんですけど、ここで食べませんか?」

「わあ、嬉しいな!食べよう食べよう!」


温かい日差しの下、シンオウ饅頭を食べるゴヨウと、そしてポロックを食べるポケモンたち。

「ねえ、ゴヨウさん。」

「なんですか?」

「さっき、クーとスーと何話してたの?」

ゴヨウに尋ねる

「………大した事ではありませんよ。」

「ふうん?」

勘のいいはゴヨウの様子が少し違うことに気付いたが、詳しく聞くのはやめておいた。

「あ、美味しい。」

「そうですか、良かった。」

笑顔になったを見て、ゴヨウも自然と笑顔になった。


………ほのぼの?………お散歩?

まあいいか。(待て)

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