ある日ある時クロガネでの、ヒョウタのつぶやき。
「最近、ちゃん、クロガネに来ないなあ……。」
同時刻、カナズミでの、の叫び。
「探検しに行きたいー!!」
事の起こりは、3日前にさかのぼる。
その日もは、ヒョウタに付き合ってもらい、クロガネ炭鉱を探険していた。
「はあ、楽しかったぁ!ただいまー!」
「お帰りなさい、。」
「……え。」
たしかには自分の家、ミシロタウンのオダマキ家に帰ってきたはずなのに、そこには何故かカナズミにいるはずの友人がいた。
「ツツジ、どうしたの?」
「どうしたの、じゃありませんよ。、あなた、最近お勉強をサボりなさってるそうじゃありませんの。」
「げ。」
「まったく。」
ツツジはと同い年の14歳でありながら、カナズミジムジムリーダーとトレーナーズスクールの教師を兼業している、才色兼備なトレーナー。
とツツジは昔、同じ時期にトレーナーズスクールに通っていたいたため、当時からの仲良しである。
「誰から聞いたの?それ……。」
「あなたのお母さまから!あなたはお父様の研究所を継ごうと考えているのではなかったのですか?」
「う……。」
そう。
の将来の夢は、このオダマキ研究所を継ぐこと。
そのためにはフィールドワークの技術だけでなく、ポケモンの知識もかなり必要になる。
なので、は時々ツツジに勉強を見てもらっているのだ。
彼女が忙しい時期は、は自習をしている。
……が、はその自習を最近はサボりっぱなしだった。
「ツツジ、これにはね、ちゃんとした理由があるの!」
は何とかこれ以上ツツジに怒られないようにと、毅然とした態度で言おうとした。
しかし。
「ちゃんとした理由って何なんですの?言っておきますけど、野や山や洞窟を探険しに行くことは、
ちゃんとした理由とは言えませんわ、お勉強をしてから行けばいいんですのよ。」
図星を指されたは、何も言えなくなった。
「……分かりましたわ。」
「え?」
落ち込んでいたがツツジの方を見ると、彼女はキッと厳しい顔をし、言った。
「、しばらく私のところにいらっしゃい。ジムをしばらくお休みして、徹底的にあなたの勉強をみて差し上げますわ!」
「え、ええ〜!」
――そして、今に至る。
「ツツジ、許して〜!」
はこの3日間、睡眠時間と食事の時間以外、ほとんど机に向かっていた。
もともと頭はいいが、勉強“すること”が苦手な彼女は、1日目から何度もこうツツジに懇願しているが、状況は一向に変わらない。
「あなたのためなのですよ、。」
ツツジのこのセリフも、もう何度目か分からないくらいだ。
「うぅ……。」
いったい自分はいつこの状況から抜け出せるのか。
涙目のの横にある窓の外には、探険日和の空が広がっていた……。
でも、何かこれまでの3作より書きやすかったぜあはははは。
ヒョウタ夢ってより、ツツジ友情夢だよね、完璧。