「ヒョウタさーん!」
「あ、ちゃん……。」
毎度お馴染みクロガネ炭坑。
嬉しそうなに対し、ヒョウタは「どうしよう」と言いたそうな表情を浮かべる。
「今日は大丈夫ですか?」
笑顔では尋ねる。
「……ごめん、ちゃん!」
ヒョウタは顔の前でぱちんと手を合わせ、謝る。
「今日はこの後、夜までジム戦が入っているんだ。」
とたんにの表情が曇る。
かわいそうだがを1人で炭坑に行かせるのはまだ怖い。
ヒョウタは申し訳ない気持ちになるが、こればっかりは仕方ない。
「じゃあ、今日は帰りますね。」
「ごめんね、またおいで。」
「あれ、ちゃん帰んの?」
2人のやりとりの一部を聞いてそう尋ねたのは、2人と同年代の炭坑夫見習い。
「あ、はい。ヒョウタさんジム戦だから……。」
「あー、そっか。俺でよかったら付き合おっか?」
「へ?」
「ヒョウタさんほどじゃないけど、炭坑はよく知ってるし、どーせヒマだし。」
「わあ、いいんですか?」
の表情がぱあっと明るくなる。
それを見たヒョウタもほっとし、
「じゃあ、頼むね。」
と、2人を送り出した。
「勝者、ジムリーダーのヒョウタ!」
「ふう。」
ジム戦はとても体力を消耗する。
次の挑戦者が来るまでの間、ヒョウタは腰掛けて休むことにした。
「……ちゃん、危ないことしてないかな。」
ヒョウタの座った位置からはちょうど炭坑が見える。
「大丈夫かなぁ…。」
自分の目の届かないところにいると、なぜか心配になる。
たとえ自分の代わりの人間が一緒にいても。
(怪我してないかな……あ、あそこの崩れかかってる壁の方に行ってなきゃいいけど……。)
自分でもさすがに心配しすぎだとは思うが、一度気になると後から後から“気になること”が沸いてくる。
「ヒョウタさん、対戦お願いします!」
「あ、はーい!」
(ダメだ、集中集中!)
一方、は。
「あ、見てください!あそこの穴変わった形してる!」
大好きなクロガネ炭坑でいつも通り楽しんでいるが。
「えー、そう?よく分かんないけど。」
「えー、もっとよく見てくださいよ。」
(ヒョウタさんだったら、もっと一緒に楽しんでくれるのにな…。)
見習いの少年と自分との温度差を感じていた。
「ちゃんって変わってんなー。女の子なのに、炭坑が好きなんて。」
「……そうですか?」
(ほら。ヒョウタさんだったら、絶対こんなこと言わないもん。)
結局、それから少しして2人は帰ることにした。
「……疲れた〜。」
本日のジム戦をすべて終えたヒョウタがジムの外に出た頃にはすでに外は暗く、もホウエンに帰っていた。
「……帰っちゃったか……。」
普段一緒にいるときは分からなかったが、今日のように離れているととても気になり、そして寂しく感じる。
「次は絶対、ついて行ってあげよう。」
次の日。
「ヒョウタさん、こんにちは!」
「ちゃん!」
珍しく炭坑の作業が早く終わった。
(今日だったら好きなだけちゃんについて行ってあげられるのに。)
と思っていたところにちょうどが来たので、ヒョウタは笑顔になる。
「ヒョウタさん、今日は大丈夫ですか?」
「うん、もう作業は終わったんだ。行こう、ちゃん。」
がぱあっと嬉しそうな笑顔になる。
そして、それを見たヒョウタもますます笑顔になった。
そして2人仲良く、炭坑内を満喫した。
二人の仲よしっぷりに萌えた。萌えた割に上手く書き表せなかった。