今日もミネラルタウンの皆は仲良し…です…?

勘違いの人々



ある火曜日、いつも病院に来る人が来なくて、代わりに…
「あら、カレンちゃん?」
「こんにちは、エリィちゃん。」
「どこか悪いの?」
「違う違う、父さんの薬もらいにきたの。今父さん、手が離せないみたいで。」
「定休日なのに大変ね〜…ちょっと待ってね。」

エリィは棚から薬を探しながら、カレンは壁に貼ってあるポスターを見ながら他愛のない世間話をしていた。が。
「そういえば、リック君も毎週きちっとお母さんの薬もらいに来るのよ。」
エリィの口から"リック"という名前を聞いて、カレンは少しどきりとした。
「ああ、そういえばそうよね。リリアおばさんの具合はどうなのかしら。」
「最近暖かい日が続いてるから少し元気みたいよ。まあ油断はできないけど…。
でもリック君がしっかりしてるから安心よね……あ、あったわ胃腸の薬。はいっ。」
「あ、ありがとう。はい、お代金。」
「はい、丁度ね。じゃあね、お大事に。」
「うん、じゃあ。」

エリィは仕事に戻り、カレンは病院を後にした。そして…
「まさかとは思うけど……エリィちゃん、……リックを?」


水曜日、看護婦エリィはとある事情から休日出勤。が。
「あら?鍵かかってる。…あ!図書館かしら?」
丁度この時間はいつも図書館で調べものをしていることに気づき、エリィはもと来た道を戻っていった。
そして図書館のドアを開けると、そこには……。

「!!!!!」
なんかもう仲良さげなドクターと、図書館の受付嬢マリー。
本当はドクターが借りた本を返すのがずっと遅れていたので、マリーに怒られているだけなのだが。

二人がエリィに気付いた。
「あら、エリィちゃん。」
「エリィ。どうした?」
「ど、ドクター。急患です。クレアさんが疲労MAXで倒れたそうです。メイちゃんが教えてくれて…。」
やれやれ、とつぶやいてドクターは出て行った。
後を追うエリィは心の中にもやっとした感情が生まれたことに気がついた。
「マリーちゃん…ドクターのこと…?」


木曜日、一番図書館が似合わない女の子が図書館に来た。
「ランちゃん!うわ、珍しい。何の本読みに来たの?」
「やっほー、マリー。ここって料理のレシピとかあるよね?」
「うん。あの辺りの本棚がレシピコーナーだよ。宿屋の新メニューでも開発するの?」
「ううん。グレイの。グレイ、好き嫌いが多いらしくって。何とか嫌いなものを食べさせたいなって思ってさ。」
その時、マリーの表情が少し変わった。ランは気付かなかったのだが。
「……そうなんだ。」
「そー。あ、これいいかも。子供のお食事100選!これ借りてくねー。」
「待って、手続きしないと。」
本を持ったまま走り去りそうだったランを、あわてて止めて署名させた。
そしてランが出て行った後、マリーはぽそっとつぶやいた。
「ランちゃん、グレイのことが……?」


金曜日の夕方、宿屋にポプリがやってきた。
「ランちゃーん。」
「あれ、ポプリちゃん。どうしたの?おやつ食べに来た?」
「ううん、あのね、ランちゃんにお願いがあって。」
「あたしに?何?」
「今日の夜お兄ちゃんが来たとき、あんまりお酒あげないでほしいの。最近飲みすぎてると思って。」
リックの最近の飲みっぷりをよく知っているランは、”ああ、確かにね”という表情をし、
「うん、わかった。ストップかければいいのね?大丈夫、カレンにも協力してもらうし!」
「ありがとう〜。」

そのとき、果樹園で働いているクリフが帰ってきた。
「あ、クリフ!こんにちは〜。」
「ポプリちゃん。珍しいね、宿屋にいるなんて。」
「えへへ〜っ。ちょっとね。」

そのあと少し3人で話をして、ポプリは帰っていった。そしてランは…
「ポプリちゃんとクリフって…まさか…。」


土曜日。ポプリは雑貨屋に来ていた。
「カレンちゃ〜んっ見てみてぇ〜!」
「へぇ、カイからの手紙?」
「うん!夏が待ち遠しいって書いてあるの!」
「夏かぁ……。またトラブル起こしたりしないでしょーね?」
「大丈夫だよ〜っあれはカイが悪いんじゃないもん!」
「まあね。いなかったら結構寂しいもんね、ああいう奴って。」

その後もちょっとした世間話をした後で、ポプリは雑貨屋を後にした。そして、カレンがなんとなく言った一言を気にしていた。
「いなかったら寂しいって、まさかカレンちゃん……。」


日曜日。クレアの牧場。

「大丈夫だよ!エリィちゃんはドクターしか見てないもん。」
「それもそうね!ありがと、クレアさん。」

「マリーちゃんはグレイといい感じなんだよ。今度よく見てごらん!」
「なあんだ。ホッとしたわ。」

「ランちゃんはね、クリフが気になってるみたいなんだ。ここだけの話。」
「そうなんだ…私ったら…。」

「ポプリちゃんはカイ一筋だよ!昨日だって手紙が来たって喜んでたし。」
「そういえば……。」

「カレンといえばリックだってば!ポプリちゃんからカイを奪おうなんて誰も思わないよ!」
「ありがとう、クレアさん!ポプリホッとしちゃった!」

なんと、朝から女の子全員が違う時間帯にクレアのところに相談に来ていた。
「ばいばい、クレアさん!」
「ばいばーい……。」

最後の相談者ポプリが帰った後、クレアは疲れ果てた顔でつぶやいた。

「言えない……。」
つい先月にほぼ連続して起こった出来事。断ったとはいえ…
「私が全員にプロポーズされたなんて絶対に言えない………。」

<おしまい>



ちなみに、背景の画像をこれにした理由。
”全部繋がっているから。” ……………意味分かります?

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