「ペリーさん、”そらをとぶ”!そしてそのまま、急転直下でアタック!」
ペリーさん――
のペリッパーの攻撃は、見事相手のゴルバットに命中した。審判の声が響く。
「ゴルバット、戦闘不能!勝者、ルネジムの!」
「やあ、流石ですね。さん。」
「ミクリさん。」
ミクリは試合後のに声をかける。
「カスミさんが薦めていただけはありますね。私この3日間試合していませんよ。」
「いえ、それほどでは……。」
ミクリに褒められ、は思わず顔が赤くなる。
「私としては、貴女に私の華麗な戦いっぷりを見て欲しいんですけどね。」
自分で”華麗”と言い切るあたり、ミクリはやっぱりナルシストだ。
「はい、私も見てみたいんです。他のトレーナーの方に聞いてはいるんですけど、やっぱり華麗な戦い方をお傍で見て研究したいですし!」
ミクリにつられて言ったかどうかは分からないが、素で”華麗”というあたり、はどうやら天然らしい。
「、私負けちゃった。次あんたよ、挑戦者が今そっち行くわ。」
別の日、再びやってきたその挑戦者。
他のジムトレーナー達に勝ち、次はとの対戦だ。
ルネのトレーナーになって日が浅いにもかかわらず、その実力を買われたは、
ジムトレーナーの中で最後――つまり、ミクリの次に強いもののポジションに就いていた。
「また会いましたね。私を倒せば、次はリーダーとの対戦です。頑張ってくださいね。」
余裕の態度でトレーナーを迎える。お互いがボールを構える。
「バトル!」
審判の声が響く。
「パッチール、戦闘不能!勝者、ルネジムの!」
「ああ、また負けちゃったよ。」
再びの勝利に終わった。挑戦者の青年はパッチールをボールに戻す。
「数日間、特訓していたつもりだったんだけどな。本当強いですね、さん。」
「いえいえ、今の戦いは結構接戦だったと思いますよ?次は私負けちゃうかも。」
実際、の今日の手持ちも4匹中3匹はすでに戦闘不能の状態にあった。
挑戦者を見送った後が休憩室に向かうと、そこにはミクリだけがいた。
「やあ、さん。お疲れ様です。」
「あ、ミクリさん。本当、今日の戦いは結構やばかったです。」
「見てましたよ。彼、前回よりも鍛え上げていましたね。はい、どうぞ。」
今しがた入れた紅茶をに差し出す。
「あ、いただきます。」
ミクリが入れた紅茶を飲みながら2人は話をする。
他のジムトレーナーが見たら「贔屓だ」と言われかねないが、今は全員ポケモンセンターに行っている。
「ところでさん?」
「はい?」
「前、私の戦いを見たいと言っていませんでしたか?」
「? はい。」
空になったカップを片付けながらは答える。
「貴女が見たいあまり適当な所で手を抜いて負けるのではと、少し思っていたんですよ。」
少し、ほんの少し意地悪そうな顔で、ミクリは言った。
「な……そんなことしませんよ私!」
必死な顔で、は否定する。
「わ、私そんなトレーナーだと、思われているんですか?たしかに見たいとは言いましたが、バトルは全力で…!」
顔を真っ赤にし、若干涙目で否定し続ける。
「わ、分かってます、分かってます。すみません、変な事を言って。ね?泣かないで下さい。」
「な、泣いてないです。」
実際は、あとちょっとで泣きそうな状態なのだが。
「そうですね。さんのバトルは、いつも全力です。もし貴女が本気で戦って破れたら、そのときは私の戦いをご覧にいれますから。」
「………はい。」
ミクリがをなだめている間にバトルフィールドの掃除をする時間がきたので、は先に休憩室を後にした。
1人残ったミクリは、真面目な彼女に感心する一方で、早く自分のジム戦を見て欲しいとも思いつつ、また、
「可愛いかった……ですねぇ。」
さっきの、顔を真っ赤にして涙目になっていた彼女を可愛いと思い、思わずそうつぶやいていた。
多分ね、ミクリさんって上の場面みたいに女性を可愛いって思っても、本人はおろか誰かの前では(たとえダイゴでも)
顔に出さず冷静にスマートに振舞ってて、自分ひとりになってからやっと素直になって顔に出して(赤くなったり)、
場合によってはこんな風にうっかり声に出してつぶやいてしまう、そんなタイプだと思います。(でも恋人同士になったら多分180度変わる)
あ、そうそう。タイトルがミクリン口調じゃないですが、お題を元のまま使ったためです。
(カスマタイズ可なんですけど、あえてこのまま使わせていただきましたよ)