カントーのハナダジム。
そこは、ホウエンのルネジムの新米ジムリーダー、の”第二のふるさと”である。
「あ、!」
「カスミ、久しぶりー!」
ルネジムとハナダジムが同時に定休日を迎えた今日、はハナダジムに”里帰り”しに来た。
ジムの玄関でを迎えるのは、現リーダーで彼女の親友兼ライバルであるカスミ。
「へえ、もうジムリーダーの手前の位置に?さすがね、。」
「えへへ、まあね。カスミはは最近調子どう?」
「そりゃもちろん、がいなくなってから確実にジム戦する回数が増えたわ。おかげであたしもハイスピードで鍛えられてきた。」
2人のお気に入りのコップにお気に入りのジュースを注ぎ、カスミが答える。
「そうだね、みんな何かたくましくなったように思える。」
ジムのプールで自分のポケモンたちと遊ぶ、カスミのポケモンたちを眺めながらは言う。
「ねえ、そんなことより!」
いきなり真面目な顔になったカスミ。
「そんなことより?」
「ミクリさんや他のジムトレーナーの人たちとはどう?上手くやってるの?」
真剣な表情で、カスミはに尋ねる。
「なあんだ、そんな事。全然大丈夫だよ?」
いきなり真剣になったカスミに一体何を聞かれるのかと、ちょっとドキドキしていたは拍子抜けした。
「……そう?ならいいんだけど。その、ね。ちょっと心配してたのよ。新参者であるがさ、いくら実力があるからって
いきなり…その”ジムリーダーの手前”に就くことで、他の人たちにやっかまれたりはしないかなって。」
「カスミ………。」
カスミに勝ち、自らハナダを出て行った自分のことを心配してくれていた彼女を、そんな親友の存在を、は嬉しく思う。
「ありがと、カスミ。心配かけちゃったね。でも大丈夫。先輩のトレーナーさん達は、とってもいい人たちだよ。」
も含めたルネのジムトレーナー達は、お互いをいいライバルだと認識し合い、日々切磋琢磨している。
ホウエンで一番強いジムである理由の一つは、それかもしれない。
「そう、ならよかった。」
「ミクリさんも、すごく優しい人だし。はじめて会ったときにはね、ポケモンコンテストに連れて行ってもらったんだ。」
「へえ。………ねえ、具体的にミクリさんってどんな人?同じ水ジムリーダーだけど、実はよく知らないのよね。」
「え?えっとね………あ、そうそう。この間……」
それからは、カスミに聞かれるがままにミクリについての話をした。
時々相づちをうったり質問をしたりするカスミは、段々と楽しそうな表情になっている。
「えっ、もうこんな時間!?」
時計の針は5時半を回っている。
「帰るの?」
「うん、ごめんね、長い時間あたしばっかりしゃべっちゃってたね。」
はバタバタと帰り支度をする。
「ううん、そんな事ないわ。楽しかったもの。」
「そう?」
は行きと同じように、ペリーさんの”そらをとぶ”で帰る。
「じゃあね、カスミ!」
「うん、またおいでよ!」
が空高く上がって見えなくなった頃、カスミはつぶやいた。
「あの2人……これから何かあるかもね。頃合を見てミクリさんに連絡取ってみようかしら?」
カスミがこう思ったのには理由があった。
仕事の都合で自分と時々会ったり、連絡を取ったりするときにカスミが持つミクリの印象と、
今日が話した彼には、少し違いがあるように思えたから。
”よく知らない”と言うのは、実は嘘だった。
「……でもあの人、本音言わなさそうね…。」
遠く離れた親友の心配をしつつ、また、彼女とミクリの関係に興味を持ったカスミであった。
これからもちょくちょくカスミは出てくると思います。応援しつつからかってくれるといい。