2003年2月11日(火)
ザ・プロフィット エイドリアン・スライウォツキー ダイヤモンド社

この種の本にしては珍しく、物語形式で、「儲かるためにはどうすればいいのか」という課題が網羅的に展開され、興味を持って最後まで読めた。
企業の利益、という事について最も重要だと思われる点は、冒頭に著者が書いている、「利益への道 − それは突き詰めれば、顧客を十分に理解することから始まる」という事であろう。自分が行っている会社でも、知らぬ間に「内向きの価値観」での仕事が増え、現在の顧客や市場を理解するよりも、過去の経験の延長線上での計画に縛られたり、自部門だけの利益を考え、全体の最適化を阻害し、却って利益の出ない方向に進んでいく、というような事が起こるのではないかと思われ、自戒も込めて、顧客や市場を理解する、という利益の原点を考える事が必要だと考えさせられた。

全体を通して、真の顧客・市場のニーズを、実際に現場で捉える、という事の大切さを実感した。現実のビジネスは、本に書かれているような単純なモデルではなく、理論は結果を後から説明したもの、という気はするが、利益を上げる会社は、顧客・市場を十分に検討している、という事はもちろん、それを為し得る人材が存在する、という事が印象に残った。