法人はモノと人の二面性を持つ。近代では人は他者から所有されない。人だけがモノを所有できる。法人が人としての性格が強ければ、モノを所有し、株主から所有されない。法人が名目的なもので、モノとしての性格が強ければ、株主から所有される。今のグローバルスタンダードは、会社は株主のもの、という考え方だが、それが必ずしも真ではなく、歴史的にみても、いろいろな考え方がある、ということと、日本のように社員が組織特殊的なスキルをつけて、終身雇用を前提に働く、という形が今後必要、という事が書いてある。
その理由として、現代ではお金の価値が下がり、資本があって、工場を作り、大量生産すれば儲かる、という事がグローバリゼーションでできなくなり、利潤はますます差異性からしか生まれなくなった、という事が挙げられている。
情報化というのも同じで、情報こそが差異性だ、という。日本の従来の会社の形態を部分的に認め、差異性を確立するために組織特殊的なスキルを高めるモチベーションを持たせた会社が生き残る、という事が結論。
モノと人、法人、情報とモノなどの抽象的な概念がわかりやすく書いてあり、示唆に富む。この人の本をもう少し読んでみたい。
|