2003年12月4日(木)
数学を作った人々2 E.T.ベル 早川文庫

1巻目に続いて2巻目も面白かった。
ガウスがその遺稿から、未発表だったが、たくさんの新しい発見をしていた、という事や、実と虚で構成され、平行線は無限遠方の1点で交わる、という射影幾何学を作り出したボンスレ、存命中は全く評価されず、若くして亡くなったガロアが、方程式が根を持つためには、何が必要かという事に決着をつけていた事など、一人一人の数学者の功績を知ることで、自分が習った数学が全体の中でどこに位置しているのかがわかる。
しかし、それ以上に数学者たちの人生、運命が様々で、一生経済的に困窮することなく研究にうちこんだ人もいれば、ガロアのように、不運の連続で死んでいく直前に自分の研究成果をなぐり書きしてやっと後世に残した人もいる、という事の方が感動する。
2巻で18世紀まで来た。この本を読むと、数学は人類の抽象的な知恵の積み重ねであることがよくわかる。一方で、実際の現象を数学的な解析をすることで、その現象の未知の領域もが数式の持つ意味から明らかになる、という事も示されており、それが数式という無味乾燥なものに大きな哲学的意味と神秘さを与えている、という数の魅力もわかる。