教育に関わってきたベネッセという民間企業が、今の日本の教育について、実際の仕事の中から論評したもの。
今の教育改革は、子供の生きる力を伸ばす、という方針に基づいており、知識をたくさん詰め込むよりも、その知識を使う能力を上げることを考えているようだ。
また、今の中高生のやる気を引き出すためには、自分が将来何になりたいかを徹底的に話し合い、自分の将来のために何が必要か、というところから勉強に結びつける、ということが有効だとか、現在の大学改革とはどんなものか、シラバス(授業内容)の重要性、これからの大学は入ってほしい学生のプロファイルを明確にしていけるようなことが必要だ、とか、面白いことが書いてある。企業の視点でないと書けないような話。
ただ、自分を振り返ってみた時に、中学や高校で、自分が何になりたいのか、というようなことを考えろ、と言われても、そんなことよりもっと他に考えることがあったような気がする。特に高校などは、自分は何者なのかとか、人生をどう生きるかとか、友人、恋愛など、そんなことについて考えていて、具体的に自分のやりたい職業などは出てこなかったと思う。
本を見ていると、これからは福祉が必要なので、社会福祉士になりたい、とかいう話が出てくる。それ自体は悪いこととは言わないが、そんな実利的なことよりも、もっと大事なことがあるのではないか、という気がした。そんなことは学校とは関係のないところでやっているのかもしれないが。それでも、ベネッセに送られてきた高校生の声を読んでいると、なんとなくコミニケーション不全というか、やりきれない気持ちになる。友達とだべって、解決することもたくさんあるのではないか。
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