”会社はこれからどうなるのか”という本が面白かったので、アマゾンで検索して買う。
書き下ろしではなく、講演と対談の記録。貨幣とは何か、という話や、差異が利益を生み出すという話、法人はモノとヒトの両面を持つ、という話など、”会社はこれからどうなるのか”で出てくる事がもう少しレアな形で出てきている。
非常に面白かったのは進化論と経済学を比較して説明しているところ。進化論の説明が非常に詳しく、ダーウィンが最適な適応の方向に種が進化していくという考えを持ってはいたが、疑いも持っていたとか、最新の分子生物学では、遺伝子の変化の幅は広く、偶然の部分が大きい、という事などが紹介されている。作者は生物学の専門か、と思わせられるほどよくわかる。一般的な進化論で言う、進化は環境に適応する方向に進む、という事と、アダム・スミスのいう”見えざる手”で経済が均衡する、という部分に、経済と進化のアナロジーとして、作者は興味を持ったとのこと。面白い。
解説の中に、「真実は細部にしか宿らない」という言葉が出てきて、いい言葉だなあ、と感心した。
ホントにその通り。真実はミクロの目で見ないとわからないようになっている、というのが経験的真実。
その後よく調べてみると、「神は細部に宿る」という言葉があり、どうもそれを意識して作者が書いたのだと思う。ちなみに、この「神は細部に宿る・・・God
is in the details.」はドイツ生まれの建築家、ミース・ファンデルローエという人の言葉とのこと。自分の言葉でいうと、真実は現場に宿る、という感じか。
アメリカで長いこと暮らした人だけあって、アメリカ人について、興味深い事が書いてある。
アメリカ人(西洋人)は機械=魂を失ったもの、という感覚が強く、日本人のように機械=純粋に形式化されたものであり、そういうものにこそ魂が宿る、という発想がないので、鉄腕アトムの事を気味が悪いと思っているとのこと。
日本人が国際的に認められるには、いかにして世界に通用する言葉を自ら話していけるのか、という事だという。
日本と西洋の比較がおもしろい。
対談の部分は内容が難しく、よくわからないが、最後に友達に当たる人との対談が収録されていた。友達との対話は、好き嫌いはあるだろうが、読んでいて疎外感を感じる。作者の人となりはよくわかるのだが。
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