yondaシールを集めるために、新潮文庫で面白そうな本を探していて、目について購入。
先日、宴会で、神はいるか、いないか、という話題になったので、読んでみた。
作者は哲学者で、仏教を信奉しているとのこと。
練習問題という題名通り、20個の問いがあり、その解答例の中で、どれが宗教的か、というような選択をしながら、作者の考える、宗教とはどのようなものか、ということが書かれている。
問いには、文字通り、「宗教って何?」に始まり、「神は阪神タイガースを優勝させることができるのか?」とか、「お年寄りに席を譲るべきか?」、「医者に癌を宣告されたら?」など、興味深いものがあり、いくつかの答えから、正解を選んでみるが、なかなか難しい。
前書きの部分で、法律は、人を殺してはいけないとは言っていない、とあり、確かに法律は人を殺したらこれこれの罰を与える、ということを決めているだけで、殺してはいけない、とは言っていない、という当たり前の事が書かれている。当たり前だが、それなら、なぜ殺してはいけないと(普通は)思っているのか?という事になり、それが宗教だ、という。
罰があるから、殺さない、ということになると、それは損得勘定だけで決めている事になり、それではダメだろう、と考えさせられる。
現代は、何が得かがわかりにくくなっている時代であり、「人間はどう生きるべきか?」を教えるのが宗教だ、ということになる。
作者はあとがきに自分でも書いているが、かなりのへそ曲がりを自認している。
人が死んだら無になる、ということは決して科学的ではなく、科学的であるということは、そのような断言を差し控える、という事である、ともいう。
問題の解答には、ほんまかいな、と反論したくなることもたくさんあるが、だいたいにおいて、言っていることはわからないでもない。
道徳は行動ではかられるが、宗教は心の中のものだ、というのは新しい発見だった。
アナトール・フランスという人の言葉が紹介されているが、これが印象的だった。
<偶然−−−
人生においては、偶然というものを考慮に入れなければならない。偶然は、つまるところ、神である>
これは、神の本質を言い当てた名言とのこと。神の本質はデタラメにあり、神の必然はわれわれ人間にとっての偶然になる。なぜなら、われわれには神の必然がわからないからです、と書いてあった。
結局、250点満点で、130点だった。
講評によると、100点から150点の人は、いわゆる常識人であり、典型的な宗教音痴の日本人、とのことで、そういう人にこそこの本を読んでほしい、とある。たった一回の人生を、どうしてそんなに肩肘張って生きないといけないのですか・・・・?との指摘。
自分では、常識人とは思うが、そんなに宗教音痴とは思っていなかったのでショック。
まあ、自分で適当に神さんのイメージを持っているだけだから、こんなものか。
科学(理屈)だけではダメで、最後は宗教が必要、とは思っていたのだが・・・。
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