貸してもらって読みました。どうもありがとうございました。
この本はすごくいい本だと思う。47歳になって読んでもためになる。
最近この人の本を読んできたが、わかりやすい言葉で哲学について書いてある、という点で素晴らしいと思う。
この本に書かれているテーマを列挙すると、「考える」「言葉」「自分とは何か」「死をどう考えるか」「身体の見方」「心はどこにある」「他人とは何か」「家族」「社会」「規則」「理想と現実」「友情と愛情」「恋愛と性」「仕事と生活」「品格と名誉」「本物と偽物」「メディアと書物」「宇宙と科学」「歴史と人類」「善悪」「自由」「宗教」「人生の意味」「存在の謎」となる。
ソクラテスシリーズ(作者の哲学ライターとしてのデビュー作)に書かれていることと、基本的には同じ事が書かれているんだと思う。一人の人間の考えには、そんなに多くのバリエーションがあるわけではなく、ソクラテスシリーズと並行して読んでいると、この本もソクラテスが語っているのか、と思った部分もある。
この本に書かれているように、自分で考え、生きられたら素晴らしい事だと思う。
「仕事と生活」というところに、生きる、という事について、以下のように書いてある。
「・・・生きなければならないという法律はなく、誰もその人に生きることを強制してはいないのだから、生きることはあくまでもその人の自由なんだ。生きたくなければ死ぬ自由はあるんだ。なのに、死なずに現に生きているのだから、生きることを自分の自由で選んでいるのだから、その人は、本当は、「生きなければならない」ではなくて、「生きたい」と言うべきなんじゃないだろうか。
本当は自分で生きたくて生きているのに、人のせいみたいに「生きなければならない」と思っているのだから、生きている限り何もかもが人のせいみたいになるのは当然だ。生きるためには、食べなければならない、食べるためには、稼がなければならない、そのためには、仕事をしなければならない、この「しなければならない」の繰り返しが、大人の言うところの「生活」だ。しなければならなくてする生活、生きなければならなくて生きる人生なんかが、どうして楽しいものであるだろう。・・・(中略)・・・ だったら人は、自分で自分の人生を選んで生きているということを、はっきりと自覚して生きるべきなんじゃないだろうか。仕事も生活も何もかも、自分がしたくてしていることだと、自覚するべきじゃないだろうか。そうすれば、自分のことを人のせいみたいに文句を言いながら生きることもなくなるはずだ。」
そうだよね、と思わず標準語で相の手をを入れたくなる。
全ての章について、そうだよね、と言えるような事が書かれている。
でも、結局は、わかったような、わからないような感じで読み終わってしまう。
読んでいるときは、そうだよね、と思っているのだが・・。
結局、自分で考えないといけない、ということなのだと思う。あとがきに作者が書いているが、「考えて、知る」事と、「読んで、覚える」事は違うことで、いくら「読んで、覚え」ても、自分で「考えて、知る」事をしないと本を読んでも何も知ることはできない、という事なんだろう。(この年になると、覚える事もできないし)
本当にためになることが、いっぱい書いてあると思うが、自分で考えて、知る、という行為がいかに難しいことなのか、ということが読んだ後にわかった。
でも、少しでも、そうだよね、と言える自分に近づくためには、こういう本を読んで考えないと。
14歳でこの本を読んで、なるほど、と言えるような中学生がどれくらいいるのか?
中学生の頃から、こんな事を考えることはすごいことだと思うが、ちょっと難しいのではないかと思う。でも、今の子供たちは、このようなテキストがあって、幸せだろう。
14歳から、仕事に疲れた大人まで、お勧めします。
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