「この世で一番の奇跡」の続編。
前作の最後に姿を消した不思議な老人サイモン・ポッターと作者が再会し、もう一度今の世界を救うべく、老人の言葉をオグが作品にするという物語。
今回は、地球環境問題などが取り上げられ、前作から15年経って、作者の危機感が広がっているのがわかる。
15年の時間が作者の気持ちを、よりゆったりとしたものに変えたようだ。「この世で一番の奇跡」に比べると、穏やかであり、前作ほど差し迫った感じが無い。
個人的には前作の方が良かった。
この人の一番言いたいことは、サイモン・ポッターのこの言葉に込められているような気がする。
「知っていますとも、ミスター・オグ。あなたは、この世のはじめから賢者が主張してきた幸福の秘密を学んだのです。ヘンリー・ドラモンドは、もつことや獲得することによっては幸福になれない、あたえることによってのみ人は幸福になれる、と書いています。セネカは、他人に親切にする者は、結果的に、また行為そのものにおいても、自分自身にも良いことをする、と語りました。わしらが他人に与えられる最大の贈り物は、金銀やダイヤモンドではなく、自分自身だということを思い出させてくれたのは、たしかエマーソンだったと思います。むしかえすようですが、それが利他主義の意味です。他人の幸せのために自らの利益をかえりみずに献身すること。他人を助けるという使命を果たしつづけていると、どれだけ良いことが自分に戻ってくるかお気づきになりましたか?」
今日という日を生きるために、神の助けを借りてやるべき事が最後の方に書かれているが、本を読み進んでいくと、当たり前の事ばかり書いてあるような気がする。
当たり前のこと、これが一番難しいとつくづく思う今日この頃である。
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