2004年10月11日
あたしにしかできない職業 ジャネット・イヴァノビッチ 扶桑社ミステリー
私が愛したリボルバーが面白かったので、シリーズ2作目を読んだ。

30歳、独身、バツイチ、ハンガリー系イタリア移民の主人公、ステファニー・プラムがバウンティ・ハンター(賞金稼ぎ)として活躍するシリーズの2作目。

一作目は「私」が愛した・・で、二作目は「あたし」にしか・・・となっている。
一作目の題名も、「あたし」が愛した・・にしたらよかったんだろうけど、出版社もいきなり「あたし」にするのがこわかったのか?
訳文は全部「あたし」で統一されているのに、少し残念。

今回は、前作で既に異色のキャラクターだった主人公の祖母(72歳)がハイライトされており、孫娘と組んでけっこう危ない橋を渡る。
事件も複雑になってきて、主人公も賞金稼ぎが板についてくる・・・と言いたいところだが、まだまだ素人という設定。

気は強いが、内心は臆病で、拳銃も買ってあるのだが、いつもは家にしまっている、という状態。
スタンガンや催涙スプレーも持っているのだが、肝心なときには使えない、という感じ。
とにかくお金が無いので、お金欲しさに前に進むしかないという感じである。

一作目にハードボイルドと書いたが、金欠のハードボイルドというのはないか。
車のローンは払わないといけないし、冷蔵庫は買い換えたいし・・・・というようなハードボイルドの探偵というのはイメージが崩れる。
タバコをくゆらせながら、「強くなければ生きてはゆけない。優しくなければ生きていく値打ちがない・・」などというセリフを口に出すためには、クルマのローンなどとは無縁でないと・・。

そういう意味では生活感あふれる主人公である。
今回もイタリア料理がたくさん出てきて、主人公のファミリーの場面はほとんど食事である。
デザートがおいしそうで、食べたくなるように書いてある。

相変わらず下品なセリフが多いが、これはこれで面白い。
それでも、英国推理作家協会の最優秀新人賞を一作目でもらっているんだから、たいしたもんだ。
たしかに面白い。

この調子でいくと、たぶんシリーズを全部買ってしまいそうである。

ステファニー・プラム いいですよ。