アマゾンで昭和ヒトケタで検索して出てきたなかから選んだ本。
通産省の人が、自分の青春時代の日記を元に書いた本。こんな本とは思わなかったが、読みやすい本で、すぐに読めた。
冒頭の「まえがき」に代えてというところで、「昭和ヒトケタ」の特徴について書かれている。その中で面白かったのは、「昭和ヒトケタ」の特徴のなかに、「終戦記念日に家族そろってスイトンを食べようと言い出す。」
というのがあり、我が家も同じだった、と思わず笑ってしまった。
うちの場合は「芋がゆ」だったが。
僕が中学校くらいまでは、8月15日近辺に食べたと思う。これが結構おいしくて、その時に必ず、昔はこんな芋も入ってないし、米もこんな白米ではなかった、というような解説があった。
また、終戦記念日と言わず、敗戦記念日と言うべきだ、という事も何度か聞いたような気がする。
さすがに、自分の日記にもとづいて昭和ヒトケタの青春時代を回顧しているだけあって、すごく具体的な事が書いてある。
”戦色”濃い中国時代から、学徒勤労動員、海軍生徒になる、戦後、日記を書き始めた頃、亜炭坑日記、金沢の尼寺と私、哲学とアルバイト、「大学生」日記から、終戦直後の「日本人論」、若き日の”重労働”、むすび、の順に書かれている。
海軍生徒となる、という章に、当時の海軍の規律である「五省」が紹介されている。
1.至誠にもとるなかりしか
2.言行に恥づるなかりしか
3.気力に欠くるなかりしか
4.努力にうらみなかりしか
5.不精にわたるなかりしか
要は、誠実で正しい行いをし、常に気力を持って、努力を怠らず、怠けない、という事になる。
実際には作者はかなり上級生から殴られ、大変だったようだが(これは、誠実で正しい行いとは言えないように思う)、この五省は今も昔も変わらない価値を持っていると思う。
戦前のことは何でもダメ、という事ではない、という事だろう。
ただ、作者のごく身近な話題をメインに書かれており、時代を概観した思いなどは多くは語られていないのが、ちょっと不満。
昭和ヒトケタがどのような時代を過ごしたのか、ということを知るためには面白い資料だと思う。
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