作者は大蔵省国際金融局長時代に財務官として国際的に活躍し、ジョークを収集したとのこと。
世界(と言っても先進国がメインだが)の識者が集まる席で集めたジョークを1冊の本にまとめている。
第一章からEU各国、第二章アメリカ、以下ロシア、中南米、サミット−首脳たち、ジョークは国境を越えて、という順の章立てである。
いずれのジョークもよくできていて、笑わされるものもあれば、皮肉にニヤッとさせられるもの、こちらにバックの知識が無く、勉強になるものもある。
最後の本書使用上の注意というところに、掲載されているジョークは自由にお使い下さい、と書かれているので、お言葉に甘えて少しだけ紹介させてもらうと・・・。
第三章 ロシアがらみジョークで、G5外相会議で作者が友人から聞いたもの。
東ドイツのホーネッカー議長が西ドイツのコール首相を訪ねた。ホーネッカーが、「首相は有能な閣僚に囲まれているが、一体どうやって集めるのか?」と訊くと、コールは「簡単なことです。頭の良い人を集めるのですよ」と答えた。
その時、ゲンシャー外相が会談に加わるべくやってきた。コール首相が、「一つ質問がある。答えてもらいたい。あなたの両親の子供で、あなたの兄弟でもなく、姉妹でもないのは誰かね」と尋ねる。
ゲンシャーはちょっと考え、「それは私です、首相」と答えた。
ホーネッカーは、東ドイツに帰るとすぐに官房長官を呼んで質問した。
「君の両親の子供で、君の兄弟でもなく、姉妹でもないのは誰かね」
官房長官は、「二十四時間の猶予をください。必ず見つけます」と答えたあと、党、政府の幹部を集め協力を要請した。
国をあげての人捜しが始まった。
翌日、官房長官は、しょんぼりとホーネッカーに報告した。「まだ見つかりません。」
するとホーネッカーが嬉しそうに言った。
「それでは答えを教えてやろう。その人物はゲンシャーだ」
これが一番面白かった。
しかし、各国の国民性がわかってないと笑えないものもある。
特にヨーロッパは国が多く、民族間の皮肉の言い合いみたいなものがピンと来ない。
しかし、色々とジョークがあるのに感心した。
ジョークを緩衝材にして、実際にぶつかることを避け、笑いあうというのが大人の知恵ということか。
日本にもこういう知的なジョークを言える政治家がいたらいいのではないか。
当然、時と場所と回りの状況を考えて言わないといけないけど・・・。
沖縄のサミットだったか、日本の総理大臣が、アメリカの大統領に「How are you?」というのを間違って、「Who are you?」と言った、というのは本当なんだろうか?
本当なら、笑えない・・。
笑えて、結構勉強になる本。
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