2005年3月23日
怪傑ムーンはご機嫌ななめ ジャネット・イヴァノビッチ 扶桑社ミステリー
シリーズ7作目。前作でレギュラーの仲間入りをした大食いの犬も含め、どんどん面白くなってきた。
少々下品さもアップしてきたが、面白いものは面白いのだ。

今回は食卓のシーンは少ないが、代わりにカリフォルニアからステファニーの姉が子ども2人を連れて帰ってきて、この姉妹関係で笑わせてくれる。
ストーリーそのものもコメディになってきた。

アメリカのファストフード文化も毎回出てくる。身体には悪そうだが、おいしそうである。
また、いかにもアメリカのダウンタウン、という模写があって、それがすごく生き生きとして楽しい。

「 <シルヴァーダラー・ダイナー>はハミルトン地区にある。バーグからすぐのところにあり、あたしの実家からだとさらに近い。二十四時間営業で、メニューの品数は全部読み上げると十二時間かかる。いつでも朝食をとることができるし、午前二時に油ぎとぎとのおいしいグリルドチーズを食べることができる。店の周囲には、ニュージャージーの名をここまで高めることになった見苦しいものがすべてひしめきあっている。コンビニ、銀行の支店、倉庫のような食料雑貨店、ビデオショップ、商店街、ドライクリーニング店。そして見渡すかぎり遠くまで、ネオンサインと信号が輝いている。」

今回は、定番になった自家用車を吹っ飛ばすシーンは無かったが、犬のウンコと大胆かつ大ボケのおばあちゃんのギャグは笑わせる。アメリカのコメディ映画を見ているような感じがする。

筒井康隆や東野圭吾のドタバタものは、直接言葉で面白いと感じるのだが、このシリーズ(5作目以降)はいったん言葉が頭の中で絵になって、それで面白いという感覚。この違いは、ネィティブと翻訳の違いなのか。それとも、文化的背景の違いなのか。(翻訳者は上手だと思います)

こういうパターンになると、作者の思い通り、という感じ。映画を見ているように小説を読んでしまう。7作も読んだ甲斐があった。

邦訳で出ているのはあと1冊。(原作は9作目までいっているらしい)
まだまだ続けてほしいシリーズである。