はまると何冊も読めてしまうのが田辺聖子の短編。
どんなときに読みたくなるのか?
・精神的にちょっと疲れているとき。
・時間に余裕があるとき。
・ひと息つくとき。
どこがいいのか?
・まともな人が出てくる。
・そうそう、とうなづける。
・元気が出る。
・裏切らない。
・ちょっとした夢がある。
・すこし笑える。
異論のある人もいるでしょうが、こんな感じです。
解説に書いてある。
「たのしさにまぎれて見落としてはなるまい。田辺さんの小説の主人公たちは、たしかに自分の幸福を願っている。しかし、自分だけの幸福を願っているのではないのである。だまされ、裏切られ、邪険にされ、当惑し、うろたえ、泣きじゃくっても、それでもやはり自分の不運だけを嘆いたりしないし、自分の幸運だけをよろこびもしない。つねに相手への眼差しがあり、思いやりと、いたわりを忘れない。」
大人のまともさ、というのが心地よい。
若い人が読んでも、ピンと来ないかもしれないが、読後に「そういうもんやナー」と、少しのあいだわかったような顔をして、黙って頷いてみたりできる小説である。
あえて結末をはっきりしない。しなくても、読んでいる方はわかる。
30代から読んできたが、やっぱり面白い。
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