何かの雑誌で、オススメの本のところに出ていて、面白そうだったので購入。
原題が "How we choose to be happy" である。
幸せになるためには?というハウ・ツー本だが、自分の日本語の感覚でいうと、「どうやって幸せになるか? − How to get happiness 」という感じがする。
ところが、この本の題名は、「どうやって、私たちは幸せになることを選択するか」という意味になっている。
これが、普通の英語なのか、それとも作者が意図的に掲げたのかはわからない。でも、題名からして、すごいと思う。
幸せは、自分が選択するものなのだ、という事。当たり前だが、主語(we)があるのだ。
幸せは、どこか遠いところにあったり、運が良くて手に入ったりするものではなく、自分の意志で選ぶものという事だ。・・ということは、幸せは常に手に入れることが可能なところにあって、それを選択できるかどうかが問題だ、ということになる。誰もが幸せになれる、ということになる。
作者の二人は、企業のコンサルティングをしてきて、そのことが必ずしも人を幸せにしているとは限らない、という事に気づき、全米を回って、いろんなところでハッピーな人を紹介してもらい、ハッピーな人々にインタビューをすることによって、どうしたら人は幸せになれるのか、ということを研究してこの本を書いたとのこと。
読んでみればわかるが、ハッピーな人々というのは、ぱっと頭に思い描くような、「金持ち」「慈善家」「献身的な人」「くよくよしない人」「楽しい人」というようなステレオタイプではない。(これは僕の発想が貧困なのか・・)
悲惨な人生を送ってきた人もいれば、ごく普通の人もいるし、仕事も環境もバラバラである。
彼らのいう幸せの定義とは、
「私たちが定義するほんとうの幸せとは、深くて永続的な満足感と自信、そして精神の安定が保たれている状態です。よいことも悪いことも含めて、人生が提供するあらゆる出来事に対して、積極的に、そして創造的に対処することができるという自信から生まれてくる大きな安らぎの気持ちです。自分の内面にある本来の自分を知り、他人の要求ではなく、自分自身のニーズに応えていく生き方です。今この瞬間を精いっぱい生き、人生の寛大さを楽しむ、まさに人生と深くかかわり合っているという感覚です。」
・・・どうですか。
これが幸せだと思える方、思えない方がいると思います。
思える方は、ひょっとしたらこの本はあまり必要ないかもしれません。
思えない方は、読んでみてもいいかもしれません。
僕の場合は・・読んで正解。
上に書いた、幸せのステレオタイプを考えていたので、ためになった。
重ねて、彼らのいう幸せとは、
「・・最高にハッピーな人々との話し合いから、とても重要なふたつのテーマが浮かび上がってきました。第一に、幸せとは、自分の内側からやってくるものであって、自分の外部で見つけることはできないというものです。そして第二に、幸せは、運や偶然の産物ではなくて、自分で選択することができるというものです。あなたは、自分の幸せをつくりだす力を持っているのです。」
というものだ。
何か、前向きで、アメリカらしくて、感激した。
アメリカのハウ・ツー本らしく、ステップを踏んで幸せになる方法を教えてくれる。以下の9つの選択。
「強い意志を持つ」・・・幸せになりたい、という積極的な意欲
「自分が責任をとる」・・自分が生きたいと思う人生を自分で作り上げる。他人のせいにしない。
「自分をしっかり見つめ、確認する」・・ほんとうに自分を幸せにするものは何か、常に自分の心の中を深く見つめる。
「大切なものに集中し、生活の中心に置く」・・幸せを与えてくれるものを、絶対に譲れないものとしてこだわる。
「改鋳(リキャスト)し、今までの自分を作り替える」・・トラブルや問題をチャンスやチャレンジに変える。
「柔軟にたくさんのオプションから選ぶ」・・複数のシナリオで対処し、新しい可能性を受け入れる。
「真価を認め、尊重し、感謝する」・・自分の人生や生活、自分がかかわっている人々に感謝する。
「人に分かち与える」・・見返りを求めることなく、友人や地域社会の役に立ち、世界全体に貢献しようとする。
「真実を大切にし、正直になる」・・自分の責任において自分自身や他人に対して正直であろうとする。
この9つを選択することによって、人は幸せな人生を選び取ることができる、ということだ。
多くのハッピーな人のインタビューを交えながら、一つずつ順番に説明されていく。
何人かのハッピーな人の言葉には、感心した。
「母がよく言っていたので、私の耳に今でも残っている言葉があります。それは「よく考えなさい」という言葉でした。私は、この「一生懸命考える」ことが、生きる上でいちばん重要なことだと思っています。」・・第1章 ジャネット
「私は、こういう哲学を持っています。つまり、どんな選択をしたとしても方向転換をすることは可能ですが、何も選択しなければ、方向転換することさえもできないということです。
そして、結論はこうです。この世の問題は、頭の中だけで解決できるものではないということです。人生は実際に歩んでみることで、初めて答えが分かるものなのです。ほんとうの喜びを見つけるための唯一の方法は、いろいろ試して自分の人生を広げてみることです。私は、そうすることによって、かつて想像していたどんな場所とも違う場所にいる自分を発見することができたのです。」 第6章 フィリス
こういう「幸せのかたち」があるということが、ハッピーな人々からもらった知恵だった、ということか。
1章ごとにテストがあって、それをやってみることで、幸せになるヒントを順番に得ることができる、というページもある。
日本でいう「自分探し」のほんとうの答えが、この本にあるのではないか。
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