2005年8月6日
フィッツジェラルド短編集 フィッツジェラルド 新潮文庫
新聞のコラムで、この短編集の中のひとつ、「乗継ぎのための3時間」という作品が紹介されていて、面白そうだったので購入。
もともと、英米文学などというものには縁がなく、フィッツジェラルドという人についてもこれが初めて接する。
1896年生まれ、1940年没だから、44歳で亡くなったということか。

6つの短編が収録されている。
乗継のための3時間(Three Hours between Planes)は、短くて、シニカルな作品。

読んでいて、最後に何ともいえない余韻が残る。
人生の悲哀というものを、たった3時間の出来事で著している。

気に入ったのは、それ以外に、最後の「バビロン再訪」という作品。

一度成功し、そして挫折し、それを後悔しつつも幸福な人生を目指して進む、陰のある男性を、当時の華やかで享楽的な雰囲気のパリを舞台に書いている。

どの作品も、淡々と書かれている、という感じ。
後半の3篇は、当時のアメリカが大恐慌を経験し、そのせいか少しの暗さが作品の中に漂っているように思える。

眠れない夜の友として、長い間枕元にあったが、しばらく前に読了した。
ほんの少しずつしか読み進めなかったが、よい友だった。