だいぶ前に買ってあって、積ん読になっていた本。
「伝えたいことをどう書くか」という副題にひかれて読んだ。
以前、ベストセラーになった、「超整理法」も読んだが、この人は頭がいい。ちょっと思い込みがきついような気はするが・・・。
この本は、論述文(論文、解説文、報告文、企画書、評論、批評、エッセイ、紀行文など)を書くためのマニュアルとして書かれたとのこと。
章立ては
第1章 メッセージこそ重要だ
第2章 骨組みを作る(1) 内容面のプロット
第3章 骨組みを作る(2) 形式面の構成
第4章 筋力増強 説得力を高める
第5章 化粧する(1) わかりにくい文章と闘う
第6章 化粧する(2) 100回でも推敲する
第7章 始めればできる
となっている。
第1章に、メッセージこそ重要だ、という事を持ってきているように、文章を書くときに一番大事なものは書き方などではなく、書かれるべきメッセージだ、という。
著者は、文章を書く時には、メッセージ(テーマや主題も含む)が8割の重要性を持つ、と言い切っている。
ある命題をメッセージと言えるかどうかの判断基準として、まず、「ひとことで言えること」であり、さらに、「どうしても書きたい。突き動かされるように書きたい。書きたくてたまらない」と考えられるか、ということ。
これが8割の重要性だから、残りの章は2割の部分をどうするか、という事になる。これは真実だと思う。メッセージがなければ、書く意味がない・・少し耳が痛いが。
「メッセージを見つけるには」・・これは知りたい!
しかし、答えは、「考え抜くしかない」ということだ。方法として「対話をする」という事は紹介されている。
メッセージを見つけるノウハウはなく、ノウハウがないことを知るのがノウハウらしい。
机を離れ、散歩するなどの方法は勧められている。テレビは禁物とのこと。
メッセージを見つけたあとは、「ためになるものか?」「面白いものか?」と自問自答する謙虚さは必要・・それはそうだろう。忘れがちだが。
第3章には、文章(論述文)の種類は2種類、短文と長文しかない、ということが書かれている。
短文が1500字程度、長文が1万5000字程度。文章にはさまざま長さのものがあるのではなく、2種類だ、という。
この指摘は面白かった。
その他に、タイトルと最後の部分の重要性や、文章を言い訳で始めてはいけない、というような注意がある。
実例を引いて説明しており、わかりやすい。
第4章ではレトリックについて書いてある。比喩の重要性や具体例の示し方、数字を使った説得などについて。
第5章では、わかりにくい文章の事例をひいて、わかりやすく書くには・・を説明している。
「主述ねじれシンドローム」、部分と全体のつながりを示す・・など、実際に役に立つ知識が書いてある。
第6章は推敲について書かれているが、この部分は作者の文章や言葉に対する考えが入っていて、気合いが感じられる。
「さらなる、ふれあい、しなやか、やさしさ、生きざま、達人」というような言葉はキライなので、使わないとある。
特に、「さらなる」については、「文章中にこの表現がでてくると、私はその文章の内容全体を信用しない。言葉に対して敏感でない人が書いている証拠だからである」とまで言い切っている。
第7章は、見出しの通り、文章を書くためには、始めないといけない、ということが書かれている。
パソコンができたので、これは楽になった。まずはスイッチを入れ、テーマについて思いつくことを入力することから始めればよいとのこと。
読みやすく、有益なことが書いてある。
しかし、一番大事なのはメッセージであり、それを見つけるノウハウがない、ということがノウハウという結果である。
残念だが、それは本当だろう。
考えるしかない。人と話をすることも大事。その通りだと思う。
個人的には、メモは大事だと思う。
よくできた本だと思います。
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