2005年12月29日(火)
このつまらない仕事を辞めたら、僕の人生は変わるのだろうか? ポー・ブロンソン アスペクト

ポー・ブロンソンは、シリコンバレーのドキュメンタリーなどを書いて、全米でベストセラーになっている作家らしい。

この本は、単に題名を見て衝動買いしてしまった。
原題は "What Should I Do with My Life?" というもの。人生で何をなすべきか?という意味。

この人は、「人生で何をなすべきか?」という事を調査する、というプロジェクトを立ち上げ、多くの人を取材して回り、それを書き綴ったものがこの本。この本も全米でベストセラーになっているらしい。

2段組で500ページ弱の大作である。

作者自身が年俸30万ドルの債権セールスマンをやっていたが、それをやめて作家の道に入るという選択をしている。
18章でそれを紹介している・・・。

ウォール街でこの人は成功をおさめたのだ。それでも、仕事を辞めた。

「失敗はこたえるが、成功はそれよりはるかに危険だ。もし、誤った方向で成功を収めたら、賞賛と金とチャンスの混合物に、死ぬまでがんじがらめにされるだろう。正しい方向へ戻ることが、ずっと、ずっとむずかしくなる。」

「あなたは人生で何度、真の選択を迫られるだろう?惰性という横揺れに負けず、なおかつ愛する人を傷つけない道を選べるような岐路に、いったい何度立てるだろう?
 機会はそう多くないはずだ。」

この本にはたくさんの人たちが紹介されている。
自分の道を見つけて成功した人、まだ求職中の人、過去に縛られている人・・どの物語も現実そのものである。

これを読んで、どうしよう、というハウ・ツー本ではない。
重たい内容もたくさんあり、読んでいてしんどくなる章もある。
それでも、読みはじめると、読んでしまわないとすまない・・という気にさせる本だった。

最後に作者があとがきで書いている言葉を紹介する。

「 以前はある種の仕事を”格好いい”と感じ、そういう仕事の方が情熱を呼び起こしやすいと考えていた。今は、情熱が深い感情的な体験に根ざし、仕事の種類には左右されないことを知っている。以前は、人生を数ページのカタログの中から選ぶものだと考えていた。今は、人生の選択とは自分や周りの人間に正直になれるかどうかだけであって、あとは自分を磨いて、何枚も殻を破り、眠れる才能を開花させられるかどうかだということを知っている。以前は、初恋の無垢さを大切にしていた。今は、苛烈な経験こそ宝だと思う。以前は、世界を変えようとしていた。今は、世界に合わせて、自分を変えられるようになった。」