2005年12月30日
男のコラム2 マイク・ロイコ 河出書房

1992年文庫版初版の本。長いこと本棚にあった。
突然、読みたくなって、読み出したら面白かった。

マイク・ロイコ氏は1932年生まれ。16で高校中退。13歳の時からバーテンダーをして、人生を酒場で学んだとのこと。
除隊後、記者をへてコラムニストになり、ピューリッツァ賞を受賞。全米ナンバーワンコラムニストにも選ばれている。

辛口コラム、と書かれているだけあって、けっこう辛辣な事が書かれている。でも、イヤミがないところがさすがである。

「ニューヨーカー気質」では、ニューヨークのウッディ・アレンの映画批評のひねくれ度合いを揶揄して、

「 ・・・だが、そうした考えかたはニューヨーカーには通用しない。ニューヨーカーの観点からいうと、ウッディ・アレンは、もはや私たちが自分自身について考えていることを教えてくれなくなったから、堕落したということになる。
 ということは取りも直さず、彼らは長いあいだ、自分自身について考えていることを神経症的なコメディアンに教えてもらおうとしていたということになるが、もしそれが本当だとすれば、なるほどニューヨーカーという人種は並はずれて風変わりな人間の集団である。
 考えてもみるがいい。お互いに会ったこともないというのに、私が自分について考えていることをウッディ・アレンが教えてくれるなどということがどうしてあり得るだろう?
 これまで私は長年にわたって彼の映画を見つづけてきたが、自分が無意識のうちに自分自身について考えていることを彼から学ぼうなどと考えたことは一度もなかった。もし私が、自分について考えていることを誰かから学びたいと思えば、私は自分自身に問いかけを発するだろうし、夜遅い時間であれば、もしかしたらバーテンダーにたずねるかもしれない。」

というふうに書いている。辛口、という感じがわかるだろうか・・・。
こういうコラムが38本載って、690円。

あんまり面白かったので、シリーズを買おうと思ったら、どこを探しても無い。

アマゾンで検索したら、ユーズドならある、という状態だった。

こういう本が本屋の本棚から消えていくのはもったいないと思う。