やっぱ実演? 〜2001年〜


僕が行った2001年のクラシック・コンサートです。
★印は、コンサートの批評というよりも、あくまで僕の満足度を表しています。
もっとも満足した場合は「★5つ」です。「☆」は0.5を表します。


<1> 1月20日 大阪大学交響楽団 第76回定期演奏会 ★★★☆

ロッシーニ 「セリビアの理髪師」序曲
チャイコフスキー バレエ組曲「くるみ割り人形」より
         小序曲、行進曲、トレパーク、アラビアの踊り、葦笛の踊り、花のワルツ
チャイコフスキー 交響曲第5番ホ短調
指揮:佐藤功太郎

♪前半の演奏は2曲ともおとなしかった印象がありました。 特にくるみ割りの方は組曲なのに組曲に感じられず、 1曲1曲が浮いているような感じでなんか物足りませんでした。 個人的にはトレパークはもっと早い演奏でなだれ込んだほうがよかったのでは? と思います。でも、さすがというかなんというか、 交響曲になると違いました。すごくよかったと思います。 関西学生オケ連盟の中で阪大がどの程度のレベルか知りませんが、 さすが阪大と思いました(後で確認してみると、どうやらトップレベルだそうです)。個人的にはこの指揮者はあまり僕の趣味ではありませんでした。 まずテンポが遅い(笑)。でも、今年最初の演奏会としては申し分なかったです。やはり生はいいなぁ、と思わせてくれる演奏会でした。尼崎アルカイックホール。


<2> 4月21日 朝比奈隆の軌跡2001 第1夜 ★★★★★

ブルックナー 交響曲第5番
管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団
指揮:朝比奈隆

♪朝比奈隆の軌跡2001の3回目のうちの1回目である。通し券で買ってしまっている。たしか昨年の12月に買ったと思う。で、こっちに転勤してしまった。このコンサートを聴くために大阪へ帰ると、交通費が高くついてしまう。それでも帰ってしまう。金はかかるし、大阪まで帰るのはけっこう面倒臭い。だが別に僕は熱狂的な「朝比奈信者」ではない。それでは、なんでそこまでして聴きに帰るのか?(ちなみに大阪フィルハーモニー交響楽団はそんなに上手いオケではない。弦楽器はきれいだと思うが、特にブルックナーをするときは金管楽器はひどいときがある^^ゞ)。日本のブルックナー第一人者と言われる指揮者が振るブルックナーを聴きたい、というのが大きな理由であろう。(正直言って朝比奈隆は高齢のため、オーケストラを上手く統制出来ないこともある。ご存じの方もいると思うが、朝比奈隆は今年93歳を迎え、世界的に見ても、最高齢の指揮者である)。もちろんそこには、地元(大阪)で活躍し、親しみのある指揮者、オケだからであるということも加わってくるだろう。要は手軽に、日本のブルックナー第一人者と言われる指揮者が振るブルックナーを聴ける(聴けた)、ということが遙か大阪まで聴きに行こうと思いたたせるのではないだろうか?で、別に3夜ともそれぞれ理由があって、
第1夜の交響曲第5番は、シンフォニーホールでははじめてやる、ということ。過去にフェスティバルホールで一度聴いたことはあるが、シンフォニーホールでするというので、これは聴きに行かないわけにはいかない。ちなみに大阪シンフォニーホールは日本一音響が素晴らしいホールである(と、僕は思っている)。
第2夜の、交響曲第8番は、いままで朝比奈隆の交響曲第8番は何度か聴く機会はあったのだが、他の用事と重なって聴き逃してしまっているから。
第3夜の、交響曲第9番は一番好きな曲であるから。ちなみに95年のこのコンビによるシンフォニーホールでの交響曲第9番のライヴCDは、数ある外国のオケによるこの曲のCDの中でも素晴らしい。いずれもホールもシンフォニーホールというのが大きな理由の1つである。重ね重ね言うが、僕は別に朝比奈信者ではない(^^ゞ。

で、当夜の交響曲第5番の感想です。
結論から言うと、名演でした。大阪まで聴きに帰って正解でした。曲が終わっても、フライング拍手や、即ブラボー(即ブラ)がなく、会場はしんと静まり曲の余韻に浸ることが出来ました。これは非常に重要なことです。特にこれは大阪の聴衆に言えることですが、曲が終わると同時に(同時だったらまだいい方(笑))、拍手やブラボーを叫ぶ人が多いのです。中には曲のデキに関係なしに、はなから一番にブラボーを叫ぶのを歓びに思っているとしか思えない人までいます(まるでそれでストレス解消しているかのごとく(笑))。で、会場には熱狂的な朝比奈信者が多いのに、会場が水を打ったような静けさに包まれた、ということは、どれほど演奏がよかったかを物語っているのではないでしょうか?いつものフェスティバルホールよりも小さいシンフォニーホールでの演奏ということもあって、危惧された朝比奈@ブル5特有の、終楽章コーダでの金管別働隊加入による音のハレーションもなく、とても良い演奏ではなかったかと思います。こういう演奏ならば、第2夜、第3夜も楽しみです。テンポは相変わらず遅かったですが・・・(爆)。シンフォニーホール。


<3> 7月1日 大町陽一郎ブルックナー・チクルス第2期「新旧ロマン派の対峙」★★★☆

シューベルト ロザムンテ序曲
ブルックナー 交響曲第6番
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:大町陽一郎

 オペラシティで大町がブルックナーを振ると言う。大町と言えば、一昨年のシンフォニーホールでの大阪シンフォニカーと大阪センチュリー交響楽団の合同オケによるブルックナーの8番を振った時がたいそうよかった。また東京オペラシティというホール(写真)はかねてから一度行ってみたかった。ましてやブルックナーの6番というのはなかなか演奏されることは少ない(ロザムンテ序曲もそうらしいが、僕は特に興味がないので、どうでもいい(笑))。というわけで東京まで日帰りで行って来ました。東京は前日までは雨模様だったらしいが、当日は晴れるどころか、陽の光がガンガンで、コンサートの前にスピーカースタンドを探してあちこち歩き回ったので、それだけで全身が溶けてしまうくらいだった。あとで知人に会うなり「今日は35℃だよ」と言われびっくり。どうりで溶けるわけだ(笑)。
 コンサートのほうは、まぁ全体的にはよかったのではないでしょうか?オケもよく鳴っていたし。ただ、気になるところがなかったわけでもない。特に1楽章のはじめの方と最終楽章ラストがいまいちだった。しかし、これはおそらく指揮者やオケの性ではなく座る位置に起因するのではないかと思うところが多かったと思う。最初にも書いたようにオペラシティは行ってみたかったホールで、その理由は音が天井から振ってくるような音響効果が楽しめるのでは、と思っていたからだ。写真を見ればわかると思うが、ここは天井がめちゃくちゃ高い。しかも先はピラミッドのようになっている。いかにも僕が好きそうな(笑)適度な残響が響きそうなホールである(実際は写真のように、舞台の上部には反響板らしきものがあって、音が天井にまでダイレクトで突き抜けるわけではなさそう)。僕は2階右サイド最前列に座ったのだが、ここではいかんせん響き過ぎた。オペラシティは1階よりも2階、特にこの手のホールは正面よりもサイドのほうがいい音がする、とも言うので楽しみにしていたのだが、残響が凄すぎた。残響が凄すぎてブルックナー休止になっていなかった(笑)。その効果がもろに出たのが、1楽章はじめの方と最終楽章のラスト。どちらも強奏するところだが、何をやっているのかわからないのである。特に終楽章のラストはトロンボーンの3連符が続くのだが、テンポがかなり遅かったためようやく合わせているという感じ。でもはっきり聞こえてこない。本当に渾沌とした音楽だったが、かえってそれが面白く見えた。しかし、全曲を通して、特にずれた、という印象はなく、多分舞台上のオケのメンバーや指揮者はちゃんと聴こえていたのだろう。後で知人に聴いても、残響で聴きずらかったという声はなかったので(その人は1階席にいた)、おそらく僕の席がそう聴こえたのだろう。
 このホールは最近クラシック界を騒がせた出来事のひとつ、去年の11月にギュンター・ヴァントがブルックナーの9番をやったことで有名。ヴァントは、リューベック大聖堂で録音した8番、9番が残響がすごすぎて自分自身好きではないらしい、という話を思い浮かべてしまったが、舞台上でのヴァントはともかく、僕と同じく残響がすごすぎという話は聞かないなぁ・・・。まぁ、何度も言いますが、悪い演奏ではなかったのでまずは満足?新宿オペラシティ・コンサート・ホール。


<4> 7月7日 朝比奈隆の軌跡2001 第2夜★★★☆

ブルックナー 交響曲第8番
管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団
指揮:朝比奈隆

♪数度の聴くチャンスを逃していた朝比奈のブル8!やっと聴けます。それもシンフォニーホールで。ということで期待して行ってきました。感想は、正直言うと、良いか良くなかったのかよくわからない演奏でした。まぁ、悪くはなかったと思うのですが・・・。曲がはじまって、エンジンがかかるまで、いままでは楽章毎に良くなって行った演奏が多かったのですが、今回は最初だけで、すぐにエンジンがかかった感じ。キーは3楽章だったと思います。特に弦がきれかったです。ただ、途中でのあの遅いテンポ。あれに着いて行くには、オケもさぞ大変だったと思います。実は3楽章でのクライマックスで、僕はジーンと来てしまったんです。オケや朝比奈ではなくて、クライマックスの前であの遅いテンポにコンマスが一音一音、身体を揺らして演奏している姿に。もう、あの辺はオケも朝比奈に合わせる、というより、コンマスに合わせていたんだと思います。で、コンマスが朝比奈の棒を身体でオケに合わせる、といった感じで。そのコンマスの動きにジーンと来てしまった(^^ゞまぁ、コンマスの仕事にしては、当然と言えば当然なんでしょうが・・・。
 でも、昨年か一昨年にブル8をやったときに、3楽章のテンポが遅いところでオケが崩壊してしまったんですよ。どうしてあんなにテンポを遅くするのかなぁ?と・・・。オケが崩壊するまでには至らなかったけど、ちょっと冷や冷やものでした。「ああ、この前は多分ここでオケが崩壊してしまったんだろうなぁ。おいおい、今日は大丈夫か?」と思いながら聴いていました。というわけで、3楽章の中だけで感動もしたし、冷や冷やもしたし、だから「良いのか良くないのかよくわかんない演奏」という感想なのです。ホールは相変わらずのスタンディング・オベーションでしたが、仮に「良かった」としてもスタンディング・オベーションするほどではないやろぉ?と思いましたが(^^ゞ
 それにしてもホルン(ワーグナー・チューバ)はひどかった。アインザッツが悪すぎです。お前ら練習しとんのかい!みたいな(笑)。なんであんなにアインザッツが悪いんでしょう?あと、4月のブル5の時は、演奏後の拍手が鳴るまでの間が絶妙だったのですが、今回はタイミングが悪かったのが非常に残念でした。ザ・シンフォニーホール。


<5> 7月12日 大阪フィルハーモニー交響楽団 第350回定期演奏会 ★★★★

カリンニコフ:交響曲第1番
藤家渓子:思い出す、ひとびとのしぐさを
ルチアーノ・ベリオ:シンフォニア
管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団
指揮:岩城宏之

ハードでした。午前中出勤して、忙しい時期にも関わらず、無理を言って午後から休暇をもらって大阪へ帰り、カリンニコフを聴いて、その日の最終で帰って来て、そして翌日はいつもどおり出勤。演奏会に行き始めてここまでして聴きに行ったのははじめてです。しかし、カリンニコフの1番を聴くためにはここまでしなければならないのです!で、そこまでして聴きに行ったカリンニコフはどうだったか、というと、満足の行く演奏会だったと思います。かねてから言っているように大フィルは弦はきれいなので、金管バリバリのブルックナーなど時によっては途中でむかつくこともありますが、そんなことはなく、美しい響きにひたることが出来ました。慣れない曲のせいか、アンサンブルがギクシャクしそうなところもありましたが、ほとんど気にならない程度ではなかったかと思います(1楽章のホルンのソロがこけたのには残念)。カリンニコフの1番はメロディの美しさが指摘されますが、実はかなり難しいことをやっているんですよね。よく指が回るなぁ、みたいな。金管もそうです。トライアングルなんかもラストのところでは♪チ〜ンチチチチチ、チ〜ンチチチチチ・・・をずっとやっていて、ありゃ絶対腕がつるな、なんて。でもみんなずれることなく、大変満足の行く演奏だったと思います。しんどい思いをしてまで聴きに行った甲斐がありました。大フィルもいつもああいう演奏をしてくれたらいいんだけどなぁ・・・。
 そうそう、病み上がりの岩城さん、随分やせていましたが(思わず、来日公演のアバドとダブってしまいましたが)まぁ元気そうでなによりでした。これからもがんばってほしいです。もうたばこ吸っちゃだめですよ(笑)。


<6> 9月30日 Bruckner in Triphony Hall 2001「遂に姿を現す史上最大の交響曲」 ★★★★☆

ブルックナー交響曲第9番ニ短調 コールス校訂 新クリティカル・エディション
管弦楽:ロイヤル・フランダース・フィルハーモニー交響楽団
指揮:フィリップ・ヘレベッヘ

♪ブルックナー交響曲第9番は、完全な形で楽譜として残っていて今日演奏されるのは多くの場合3楽章までで、「ブルックナー交響曲第9番は3楽章の交響曲」と一般にはされている。ブルックナーが4楽章を完成させる前にこの世を去ったために、4楽章は「未完」とされていて、3楽章までが演奏されるのが通常である。しかし、実は4楽章のかなりの部分が完成されていることが研究上わかっており、「補筆」と言う形で完成された4楽章も含めた交響曲9番もしばしば演奏されるようになっている(マーラー交響曲10番も作曲者が逝去したため「未完」となっているが、本人による完成度としてはブルックナーの方がはるかに上。なのにマーラーほど知名度が高くないのはどうしてだろう?)。CDではアイヒホルン指揮リンツ・ブルックナー管弦楽団の演奏が有名。

 さて、今回東京で4楽章を含めた形での9番が演奏される(もちろん日本初演)ことになった。しかも、アイヒホルン指揮リンツ・ブルックナー管弦楽団が演奏した、サマーレ、フィリップス、マッツーカにより補筆完成された4楽章の楽譜に、コールスが資料をもとに新たに全楽章に手を加え、2000年秋に完成させた「新クリティカル・エディション」なるものによる演奏。そもそもこの演奏会は、すみだトリフォニーホールで行われた「Bruckner in Triphony Hall 2001」の一環で、この日の演奏会の他に、26日に「序曲ト短調」、「交響曲へ短調」、「交響曲0番」、27日に「交響曲9番(4楽章のみ)」(校訂者コールスによる解説あり)が行われた。僕は残念ながら26・27日は行けなかったのだが(26日の3曲とも演奏される機会が極めて少なく、特に「交響曲へ短調」は日本初演なので是非行きたかったが)、4楽章込みの9番が演奏されると言うことで、これは行かなくてはと日帰りで東京まで聴きに行っ
たというわけである。

 で、能書きたらたらはここまでにして(笑)、当日は第2ヴァイオリンを右側に配置した「両翼配置」、その上コントラバスを後方正面に配置してました。両翼配置によるこの曲ははじめて聴きましたが、その効果が存分に楽しめたと思います。今回は24日に大阪で行われた朝比奈@大フィルの9番に急遽行けなくなったので、ひさしぶりの演奏会、しかもブルックナーの9番ということで楽しみにしていましたが、やはりどうしても気になるのは4楽章ということになります。

 最初から順に行くと・・・1楽章のテンポは早くもなく遅くもなく、まぁ無難なテンポ設定だと思ったが、ホルンをはじめ金管がよく鳴ってたなぁ、という感じ。金管(特にホルン)はブルックナーの交響曲では重要な役割を果たしているので、満足出来ました。2・3楽章は少し早めのテンポ設定。特に3楽章に関しては、「9番は3楽章で終わり」という解釈により消え入るように終わっていく演奏が多かったが(例えばチャイコフスキーの「悲愴」交響曲や、ホルストの組曲「惑星」の「海王星」のラストなどのように)、今回はそのあとに4楽章が控えている(「9番は4楽章から成る曲」という解釈)からか、3楽章の最後は比較的あっさりとしていました。各楽章間は少し長めのインターバルだったが3楽章が終わってから指揮者が手を降ろす前に会場がざわめいてしまったのは少し残念。そのまま4楽章に突入するかという感じだったが、他の楽章間と同様に改めてチューニング出来るくらいのインターバル。「新クリティカル・エディション」での演奏なので、ここまでも従来の楽譜と違うところもあったはずだが、「このパッセージはちょっと大きめだな」とかということがあったくらいで、あんまり違いはわかりませんでした(あくまでも僕が気がつけなかっただけですが^^;)

 4楽章は上記CDで聴いていたのですが、生で聴いて改めてその壮大さ、荘厳さを実感しました。実は9番に関しては4楽章は少し否定的だったのです。音の洪水という感じで、ごちゃごちゃしているという感じもあったし、3楽章で終わりというイメージがあって、そこから4楽章という音楽が続くということも少し変に感じていました。でも、考えが変わったからと言って、「9番は4楽章じゃなきゃだめ」というわけではないのですが。もしブルックナーが9番を完成させていて次の交響曲を作っていたとしても、これ以上の音楽、これ以上神を讃える曲は作れないんじゃないか?ということ。それくらいに壮大さ、荘厳さを感じました。この4楽章が完成されていたら、間違いなくブルックナーの交響曲の中で最大となっていることでしょう。ヘレベッヘとロイヤル・フランダース・フィルの演奏も大変よかったと思うし、両翼配置の効果が存分に楽しめたブルックナー9番でした。ブルックナー休止のたびにゴソゴソと音がするのが気にはなったが(それも舞台の方から)。席は1階の真ん中より少し後ろ、左右はド真ん中で両翼配置の効果を存分に楽しめた席でした。はじめてのトリフォニーホールは写真で見る限りそのデザインから絶対気分が悪くなると思っていたのですが、そうでもなかった(笑)。いいホールです。

 席の前は誰もいなかったのですが、曲がはじまる直前になって斜前に座っていた野郎が僕の席の前に移動。こいつがまた落ち着きのない野郎で、首を横に動かしまくるので舞台がよく見えませんでした。後ろから椅子に蹴りを入れてやろうと思いました。

おまけ1:若干の間はあったが、最初の外人の声のようなブラヴォ−はまだヘレベッヘが指揮棒を降ろしてなかったぞ!間髪入れずにブラヴォ−する曲でもなかろうに。

おまけ2:ロイヤル・フランダース・フィルのコンマスさんへ。カーテンコールやりすぎ(爆)


<7> 10月17日 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 石川公演 ★★★★☆

曲目:ベートーヴェン交響曲第3番「英雄」、交響曲第4番
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:サイモン・ラトル

♪今年は石川県に引っ越ししてしまったので、聴けないと思っていたウィーン・フィルがなんと石川県にやって来た。座席は抽選だったのだけど、見事当選して聴くことができた。プログラムはベートーヴェン交響曲3番と4番。ウィーン・フィルのベートーヴェンが聴きたいというよりも、ラトル&ウィーン・フィルが聴きたかったのが本音。まぁ曲目もよかったのだが。でもこれが1番や2番だったりすると行ってなかったかも知れない。
 いつものようにやわらかい響きだったが、当日は弦よりも特にホルンがすごかったと思います。アンコールはシベリウスの「鶴のいる風景」でした。こちらはラトルの日本語での曲紹介もあって聴衆から歓喜の拍手も。「鶴のいる風景」は弦楽器のみの曲で、まぁ、コンサート・マスターのためのような曲。でもこれがまた美しい。コンマスのライナー・キュッヒルが奏でる響きに思わず聴き惚れてしまいました。
 石川県立音楽堂は9月にオープンした出来たてほやほやの新しいホール。音楽堂でのウィーン・フィル公演は柿落とし公演の一環。日本一音響が素晴らしいと思っている、大阪ザ・シンフォニーホールとよく似た感じのホールで座席数はひとまわり程大きいがとてもいいホールです。
 当分お世話になる新しいホールで、ウィーン・フィルを聴くことが出来て、とてもよかったです。


<8> 12月30日 大阪フィルハーモニー交響楽団 「第九シンフォニーの夕べ」 ★★★★new_ga.gif

曲目:ベートーヴェン交響曲第9番「合唱」
管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団
指揮:若杉 弘

♪毎年末恒例の朝比奈&大フィルによる第九公演。しかしながら今回は違いました。12月29日に朝比奈隆が逝去してしまったのです。93歳でした。ストコフスキーの95歳現役までは振りつづけると言っていたのですが・・・。入院してからも本人は1月の大フィル定期には復帰するつもりでいたそうですがそれも叶わず、29日の第九を聴き終えた形で逝去してしまいました。老衰ということだそうで、本当に大往生だったのだと思います。音楽界だけでなく、関西の屋台骨が1つなくなったようで、地元であり、氏の演奏に通ったこともあり非常に残念です。ご冥福をお祈りします。

演奏のほうは、テンポをグっと落としてとても重厚な第九ではなかったかと思います。でも演奏スタイル(大フィルにしては珍しい両翼配置ということも含めて)は若杉スタイルだったけれども響きはやはり朝比奈&大フィルでした。

個人的な話になりますが、29日の夜に朝比奈が逝去したので、30日に帰省(ネット環境にはなかった)した僕は朝比奈が逝去したことは知らず、知らないまま第九公演に臨んだのでした。開演前にアナウンスが入り「ご存知のことかと思われますが・・・」と切り出したので、てっきり入院のため指揮者変更のアナウンスかと思い、わざわざまたアナウンスせんでも・・・と思っていたら、「昨夜朝比奈が逝去しました」と言うではないか!もうびっくりしたのってなんのって!黙祷後そのまま演奏に入ったので、びっくりしたまま演奏を聴くことになり、そういう精神状態で演奏に臨んだのは最初で、おそらく今後もまずないだろう。そういう意味でも忘れられない演奏会になるだろう。

翌年2月7日にザ・シンフォニーホールで行われた、「お別れ会(大フィル音楽葬)」にも行ってきました。朝比奈本人も「自分が死んだときはベートーヴェン交響曲7番2楽章を演奏してほしい」と生前に言っていたとおり同曲が演奏される中献花をし、とっても感慨深いものとなりました。

改めてご冥福をお祈りします。


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