やっぱ実演? 〜2002年〜
僕が行った2002年のクラシック・コンサートです。
★印は、コンサートの批評というよりも、あくまで僕の満足度を表しています。
もっとも満足した場合は「★5つ」です。「☆」は0.5を表します。
<1> 2月23日 東京交響楽団第489回定期演奏会「孤独な大作曲家」★★★★☆
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品77
ブルックナー:交響曲第6番イ長調
管弦楽:東京交響楽団
指揮:ユベール・スダーン
ヴァイオリン:川畠成道
♪すばらしい演奏でした。特に2楽章(アダージョ)が美しかったです。高音の伸びは本当にすばらしかったです。知人の話では東京交響楽団からあの響きが出るとは思わなかった旨を聞き、それを引き出したスダーンの力量はすごいです。1楽章最初の3連符を含む主題の抑揚のつけ方もよかったし、他楽章もすばらしく金管をはじめオケもよく鳴っていました。この曲はブルックナーの交響曲の中では、ブルックナーらしくないと言われますが、ブルックナー開始(原始霧)がなかったり、ブルックナー休止が少なかったりはしますが、僕はブルックナーそのものの響きをしていると思うし、またそう思える演奏だったと思います。スダーンはブルックナー指揮者として今後も十分に期待が持てる指揮者だと思います。★5つけたかったのですが、ところどころオケがコケたところもあり(そんなことは気にならないほど演奏がよかったのだけれど)、演奏中の斜め後ろの人の雑音もあり、★★★★☆にしました。残念。
ブラームスは正直な話、特筆すべき実力を持ったソリストとは思わなかったが(ソリストについてはそれほど興味がないのでそう思っただけでソリストに実力がないとか言うことではない)、なんでも幼いときから視覚的に障害があり、ほとんど聴覚のみの生活だそうで、そう考えるとたいしたソリストだと思います。サントリーホール
<2> 2月24日 大町陽一郎ブルックナー・チクルスVol.4「親愛なるワーグナーへ」★★★★
ワーグナー:ジークフリート牧歌
ブルックナー 交響曲第3番ニ短調「ワーグナー」ノヴァーク版第3稿
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:大町陽一郎
♪99年に行った大町陽一郎が指揮したブルックナーの8番(オケは大阪センチュリー響と大阪シンフォニカー響)がすばらしかったので、去年の大町のブルックナーの6番につづき今年も聴いてきました。6番の時は幾分響きすぎでは?という印象もありましたが、結果はすばらしい演奏でした。演奏後にブラヴォーも出ました。出ても当然の演奏だと思います。重厚な演奏で、ザンデルリンクのブルックナー3番に通じるものがあったと思います。しかし全体的にテンポが遅い。だいぶ遅かったと思います。まぁ普通ならいいんでしょうが、前日の6番に引き続いての演奏会、当日はうろうろ時間をつぶしていたため少々疲れていた僕にとってはいささかテンポが遅すぎました。4楽章冒頭はテンポが速くなったので、お!っと思ったら、一段落したらまたテンポが元に戻ってしまい、思わず笑ってしまいました。しかし、テンポが遅い分ブルックナー休止もかなりはっきりしていたし、弦の動きもメリハリがついていた感じで(幾分機械的に感じられたところもあったが)まさにブルックナーという響きを堪能することが出来ました。大町陽一郎は、朝比奈が逝った今、数少ない日本人のブルックナー指揮者として十分その後継者になりたる1人だと思います。ジークフリート牧歌も美しい弦の響きが堪能出来ました。東京オペラシティ・コンサートホール
<3> 3月10日 フランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団 石川公演 ★★
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番ト長調
ブルックナー 交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(1880年の第一決定稿による版)
管弦楽:フランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団
ピアノ:エリーヌ・グリモー
指揮:チョン・ミュンフン
アンコール:ブラームス 3つの協奏曲より(ピアノ)、交響曲第3番から第3楽章
♪フランス国立管ではなくて、フランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団が来日して石川にもやってきたので聴いて来た。しかし、県立音楽堂ではなくて石川厚生年金会館。どうやら契約したときにはまだ県立音楽堂が出来てなかったので厚生年金会館になったらしい。さて今回残念だけど★は2つです。その理由は・・・。
・まずは演奏面
プログラムにも書いてあったけども、フランスのオケと言えば一昔前ならパリ管かフランス国立管だったが、近年のフランスにおけるクラシック愛好家の中にはこのオケを挙げるケースが多くなってきたらしい(と、書いてある)。それに指揮は同じフランスのオケである、パリ・バスチーユ・オペラを短期間にトップレベルに育て上げた今をときめくチョン・ミュンフン。そうなると期待は高くなる。しかし、当夜の演奏を聴く限り、テクニック的に見てもまだまだではないか、と思った。特にブルックナーで気づいたところは、1楽章はホルンがよく鳴ってはいたが、冒頭の箇所などちょっと大きすぎではないかなと思った。2楽章や3楽章などテンポがゆっくり目だったが、弱音で静かなところなどは音の出だしが「おっかなびっくり」な感じで、安心して聴くことは出来なかった。2楽章では途中でホルン→フルート→クラリネット(だったかな?)と音のリレーするところでフルートが途中で落ちてしまい、そこで緊張感がプツリと切れてしまった。3楽章のホルンとペットの細かい動きでの掛け合いなどもちょっと怪しかったし。しかし、全体としてはこれからが期待出来そうなオケであるのではと思った。
・ホールの音響
厚生年金は音が悪いからなぁ、と聞いていたので、どんなもんかなぁと思っていたけど、1階席しかなかった。1700程の席があるのにかかわらず1階席しかないので座席の列が「ZF」まであった^^ゞ天井が高いので結構響くかな?と思ったけど、「残響」というものがほとんどなかった(笑)。まぁ多目的ホールだから仕方ないけど、クラシックの演奏会はなるべく県立音楽堂でやってほしい。演るほうもかわいそうだ。
・雑音(実は満足出来なかった一番の理由)
先日のスダーンのブルックナーのときもそうだったのだけれど、曲中ずっと鼻をすすっているおばさんが隣の隣に座ってました。この時節柄、風邪を引いていたり花粉症など仕方ないのだろうけど、例えばハンカチをあてるとか周りの人のことも気にかけてほしい。でもこの人は全くそういう素振りもなく、鼻が出るんやからしょうがないやんか、みたいにまるで開き直ってるかのようだった。周りの人も鼻をすするたびにムッとしたようにおばさんを見るのだけどそんなことはお構いなし。隣に座っていたおじさん(夫婦らしい)は、僕がチラチラ目をやるので気にはしていたみたいだけど挙句の果てにはブルックナーに飽きたらしく演奏中に話し出すし、大きなため息はつくわ、落ち着きはないし・・・もう最悪である。おまけにアンコールのブラームスがはじまるとそれに合わせてウーウー歌いだすし。風邪を引いていたり花粉症などの人は演奏会には来るな!なんてこたぁ言わないけど、それならそれで少しは周りの人のことも気にかけてほしい、と声を大にして言いたい。なにしに来たんだろう?飽きたんなら途中で帰りゃあいいのに。終演までいても迷惑かけるぐらいだったらよっぽどそのほうがましだ。いい演奏でもこのおかげで駄演になってしまうこともあるし、当夜の演奏も演奏自体は★★のレベルではなかった。あ〜、思い出しただけで腹が立つ!
エリーヌ・グリモーは大変上手かったと思います。
※「ロマンティック」の注釈に「(1880年の第一決定稿による版)」とあるが、プログラムによるとはっきりとは書いてないが、どうやらノヴァーク78/80と同じではないかと思う。「1880年の第一決定稿による版」という表記はブロムシュテット/サンフランシスコ響のロマンティックのCDにも同じ表記があるらしいので持ってる人は確認を(僕は持ってません^^ゞ)。
「1880年の第一決定稿のよる版」というのは、上記のとおり「ノヴァーク78/80」のようだ、と書きましたが、金子健志の「ブルックナーの交響曲」およびアバドのブル4のライナーから考察した結果、ハース版ではないか?と考えることが出来ました。まだまだわからないところはありますが、とりあえず訂正させていただきます。(3/13)
<4> 5月24日 読売日本交響楽団第405回定期演奏会 ★★★
モーツァルト 交響曲第39番変ホ長調 K.543
マーラー 交響曲第1番ニ長調「巨人」
管弦楽:読売日本交響楽団
指揮:マンフレッド・ホーネック
♪先日FMでマンフレッド・ホーネックが指揮するブルックナーの7番というのが放送されたらしい。僕はチューナーを持っていなくてその放送は聴いてないのだがすごい評判が良かったらしい。(チューナーを持っていないというのは、エアチェック派じゃないし、そんなものを持っていたらテレビを見る時間が減ってしまい、テレビっ子としては大変なことである。(笑))
出張で東京に行ったのだけど、ちょうど「巨人」をやる演奏会があり、しかも前評判のいいホーネックが振るということで、これは聴きに行かなければいけないと思い聴きに行って来ました。
で、僕が聴きにいったコンサートも評判が良いようです。ただ、僕はあんまり良かったとは思わなかった。もちろんマーラーが最後で、まぁこの曲は「終わりよければ全てよし」みたいな曲なので(よっぽどひどい演奏でない限り「さぶいぼ」もん)コンサート全体全体としてはまぁ良かったとは思う。
ホ−ネックはスウェーデン放送交響楽団の指揮者で、ウィーン・フィルのコンサートマスターのライナー・ホーネックの兄貴らしい。ホーネックの指揮については十分楽しませてもらって共感もさせられたが、どうもオ−ケストラがそれについていってなかったような気がした。読響も上手かったというのだが僕にはいまいちだった。きっと耳アカがたまっていたのかも知れない。それか耳(あるいは脳)が逝ってしまっていたのかも?(実はモーツァルトははじまると早々に爆睡してしまったのだが^^ゞ)
今回は、このコンサートの評判がいいので、あんまりあそこが悪いとか、ここがいまいちだったとは書かず、これくらいにしたいが、ホーネックの指揮がよかっただけに今度は違うオケで振ってもらいたいと思いました。ただ、上記にもあるように、コンサート自体はまぁ満足出来ました。サントリーホール。
<5> 6月7日 NHK交響楽団金沢公演 ★★★★
武満 徹 テクスチュアズ
ノヴェンバー・ステップス
チャイコフスキー 交響曲第5番ホ短調
管弦楽:NHK交響楽団
指揮:岩城宏之
♪N響が石川にやってくるというので聴きに行きました。指揮は当然岩城宏之。前半は武満徹。武満徹はいままで聴いたことがなかったが(非国民なんて言われそうだが)、TVや映画音楽を数多く手がけているらしいので、知らず知らずのうちに耳にしているのかも知れない。で、どうだったかと言うとダメだった。不協和音が出た時点でもうダメ。不協和音、散発される音、僕には全くダメだった。東京オペラシティには「タケミツメモリアル」なんてホールまであるが、どうしてこの人の音楽がこんなにも称されるのか僕にはわかりません。映像と一緒だったら聴けるけども、わざわざコンサートとか聴きに行こうとは思いません。今日聴いた2曲は一言で言うと、怪談映画か時代劇のBGM。
休憩後は今日のお目当てのチャイ5。前半ではわざわざ仕事を休んでまで聴きに来たのにと思ったが、わざわざ仕事を休んで聴きに来てよかった。テンポはゆっくり目ではあったけど、2楽章のホルンもきれいだったし(ちょっとコケたところもあったけど)さすがはN響、といったところを見せてくれた(まぁ、武満もさすがはN響と言う演奏だったかも知れないが)。全体的に音が大きかった、と言う印象はあったけど、前半の武満の印象がよくなかったのが手伝ったこともあったかも知れないが、とても楽しめた。ブラボォーしようかと思ったくらいだった。(※基本的には僕はブラボォーはしない主義です。)
終演後再び出てきた岩城さんの「現在アルゼンチンvsイングランドは0−0です」のコメントに会場から笑いと拍手。さらに「今日は金沢百万石祭りの初日ですから」とアンコールには大河ドラマの「利家とまつ〜百万石物語〜」のテーマ曲(ちなみの大河ドラマで演奏しているのも岩城宏之指揮、N響&アンサンブル金沢)。これには会場も沸きに沸き曲が始まると拍手が(さすが地元(笑))。日頃はTVでしか聴けない曲を生で聴くことが出来て僕も感激しました。演奏も大変よかったです。後半&アンコールがとってもよかったので★4つです。石川県立音楽堂コンサートホール
<6> 6月21日 ワイマール州立歌劇場管弦楽団金沢公演 ★★★
ワーグナー 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より第1幕への前奏曲
ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番変ホ長調作品73「皇帝」
ワーグナー 歌劇「さまよえるオランダ人」序曲
歌劇「ローエングリン」より第1幕への前奏曲
歌劇「ローエングリン」より第3幕への前奏曲
楽劇「ワルキューレ」からワルキューレの騎行
歌劇「タンホイザー」序曲
管弦楽:ワイマール州立歌劇場管弦楽団
指揮:ゲオルゲ・アレキサンダー・アルブレヒト
ピアノ:及川浩治
♪感想を書くのをさぼっていたのであまり覚えていません^^ゞただ、このオケは初来日だったし、存在も知らなかったので、小さな町の小さなオケと思っていました。でも、町は小さいのですが、歴史は古くオケ自体は大所帯のオケのようです。それを知るまでは小さいオケの印象とは反対になかなか迫力のある重厚な音を聴くことが出来ました。石川県立音楽堂コンサートホール
<7> 9月8日 オーケストラ・アンサンブル金沢第126回定期公演 ★★★
チャイコフスキー 弦楽セレナード 作品48
松村禎三 ゲッセマネの夜に
三善 晃 三つのイメージ −童声・混声合唱とオーケストラのための
プロコフィエフ 交響曲第1番「古典」ニ短調作品25
管弦楽:オーケストラ・アンサンブル金沢
指揮:岩城宏之
ピアノ:木村かおり
♪石川県立音楽堂コンサートホールの3階サイド席は生きた心地かしませんでした。もともと高所恐怖症なんですけど、3階席なんて大したことないだろうと思ってたんですが、とんでもないことがわかりました。絶対ここの3階サイド席は他のホールより高いはず。それにブロックの1番奥の席だったんですが、入り口が反対側に1ケ所しかなくて、おまけに通路は狭いし、休憩中にトイレに立ったとしても席に座ってる人の前を避けながら通るのを考えただけでも落ちそうで、音楽を聴くことに集中出来ないと判断して、開演前に席を2階正面奥(奥しか空いてなかった)に変えてもらいました。そんなこんなで詳しい曲の感想なんてほとんど覚えていません。ただ、チャイコフスキーとプロコフィエフはさすが室内楽オーケストラというような印象を持ちました。これからはこのホールに限らず3階席(正面席も含めて)は極力避けようと心に決めました。石川県立音楽堂コンサートホール
<8> 11月12日 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団金沢公演 ★★★★☆
マーラー交響曲第3番ニ短調
管弦楽:ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
指揮:リッカルド・シャイー
アルト:ミシェル・デ・ヤング
♪すばらしかったです。どちらかと言えば弦より管の方がよかったと思いますが、特にトロンボーンソロがすごかった!2年前の2月に大阪でこのコンビでブルックナーの7番を聴いたときは、きれいなんだけどブルックナー演奏としては・・・などど贅沢な感想を持っていましたが、さすがシャイー&コンセルトヘボウというところを見せてくれました。全体としては少し遅めのテンポで全体としては1時間45分くらいで、終わったあとも何度も何度もカーテンコールがあり拍手が鳴り止まずブラヴォーの嵐でした。★5つでなかったのは、楽章間で拍手があったこと(結果的にはそれほど気にはならなかったが、招待客、初心者が多かったのでは?)、曲の途中で席を離れる人が多かったこと。楽章毎の演奏時間と「休憩なし」と書かれたちらしが配られたにもかかわらず・・・どうしてもこの辺のところが気になっちゃうんだよねぇ^^ゞ それとサイドの席でなく、やっぱり正面の席で聴きたかったなぁ。石川県立音楽堂コンサートホール
<9> 12月30日 21世紀の第九 ★★★★★
ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調「合唱」
管弦楽:大阪センチュリー交響楽団
指揮:佐渡裕
♪第九で感動したのはひさしぶりでした(いや、あそこまで感動出来たのははじめてかも)。
何年か前にもこのコンビの第九を聴きに行った時(年末)はセンチュリー響はうまいんやけどダイナミックな佐渡の指揮のわりにはもひとつオケがついていってない、という印象があったのですが、今回はオケも佐渡の指揮に十分応えて熱い第九という感じでした。
ソリストは特にテノールがよかったです。年末に出た新日フィルとのCDと同じ人だったと思います。合間にペットボトルの水を飲みながら(いいのか?)の熱演でした。
会場も興奮しきっていたのか、最後の音が鳴り止むか止まない内にブラヴォー。それも1人や2人ではなくあちこちから。普段ならフライングブラヴォーなんて!と怒る僕でしたが、この日ばかりは一緒に盛り上がっていました(ブラヴォーはしませんでしたが)。
昨年最後の演奏会がすごく感動出来てとてもよかったと思います。
と同時に、やっぱり佐渡は聴くより見るもんだろ・・・とも思ってしましました^^;; 大阪ザ・シンフォニーホール