やっぱ実演? 〜2009年〜
僕が行った2009年の演奏会です。
<6> 12月29日 第九シンフォニーの夕べ
曲目:ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」
指揮:アレクサンダー・リープライヒ
管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団、同合唱団
ソプラノ:安藤赴美子 アルト:竹本節子 テノール:福井敬 バリトン:青山貴
場所:ザ・シンフォニーホール
♪今年最後の演奏会を締めくくるのは、恒例、年末の風物詩、大フィルの第九演奏会。でも、今年はちょっと違ってました。改装工事中のフェスティバルホールに変わってシンフォニーホールでの1日だけの演奏会。
今年は若杉弘が亡くなったけれども、そういえば朝比奈隆が亡ったときの代役が若杉弘だったなぁと思いながら会場へ。
ホールへ入ってまず一番に思ったのが、「そういえばここは、緞帳がなかったなぁ」。
フェスなら、演奏が終わって一旦緞帳が降りて、再び緞帳が上がると合唱団がスタンバってて、「蛍の光」が合唱されて、緞帳が降りて、今年もありがとう、となるのだけど、おそらく今年はそれがないんだろうなぁと思うとちょっと残念。特に去年は改装前のフェスの最後の公演ということで、「蛍の光」こそなかったものの、会場のテンションも尋常ならざるものだった。
さて、演奏のほうだけど、指揮者のアレクサンダー・リープライヒ って誰だ?名前も聞いたことがないぞって思っていたのだが、パンフレットによると、1997年にエド・デ・ワールトの代役で、アムステルダムのコンセルトヘボウ(ロイヤル・コンセルトヘボウと書いてないところがミソ)で、ブルックナーの5番を振って絶賛されたとか。大フィルとは昨年の定期につづいて2回目の共演だそうだ。僕より1つ年下。ラフな格好で、容姿はパンツェッタ・ジローラモといった感じ。(なんで、大植英次は年末の第九には登場しないんだろう?去年は振ったけど。)
で、大丈夫か?と思っていたのだけど、ひさびさにアグレッシブな第九を聴くことができた。リープライヒの指揮はアクションが大きくてオケもそれに応えていて、ブラヴォーものだった。
ただ、冒頭のアインザッツはもうちょっときれいに合わして欲しかった。
合唱団もよかった。特にバリトンの青山さんがよかった。(福井さんはきてましたねぇ。何がきていたのかは・・・。)
ソプラノは、衣装を何とかして欲しかった(笑)。クリスマスツリーかっちゅうねん!電飾やないんやから・・・。
僕にとっての年末の第九というのは、クラシック演奏会というよりも、年末の一大年中行事であり、イベント的要素が大きいので、そういう意味では、シンフォニーホールよりもフェスティバルホールのほうが似合っているので、それだけが心残りでした。
まぁ、なんにしても、今年最後の締めくくりにふさわしい演奏会でした。
<5> 11月22日 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 大阪公演
曲目:ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」
:ブラームス 交響曲第1番
アンコール:ブラームス ハンガリー舞曲第1番
指揮:ヘルベルト・ブロムシュテッド
場所:ザ・シンフォニーホール
♪曲目は思いっきりベタ。プログラムを見れば「運命」とか「田園」とかほとんどベタなものしかやってないのだけど。普段なら「なんだまたこの曲か、せっかくの生なんだからもっと別の曲が聴きたいよ。」なんて言うところだけど、チェコフィルとブロムシュテッドのコンビならそんなわがまま言っちゃぁバチが当たります。
最近、僕が行く演奏会は、本プロよりアンコールの方がよかったほうが多いんだけど、今回もそんな感じ。
「新世界より」の3楽章と4楽章は続けてほしかった^^;
「新世界より」が終わってからの拍手までの間はちょっと短かったんじゃないの?「新世界より」の終わり方って弱音で終わるんだけど、ブロムシュテッドは余韻を楽しむっていう指揮者じゃなく、すぐに手を降ろしてしまうんだけど、それにしても拍手が早かったんじゃないの?音が消えてすぐに拍手ってのはなぁ・・・。大阪の聴衆はマナーがなっとらん。
「ブラ1」はちょっとテンポが速めでした。演奏会に行く前に送られてきた、ブロムシュテッド/skdの「ブラ1」は割りと重厚な感じ。それと比べれば冒頭のティンパニの部分、淡々としてるようで、もう少しタメがあってもいいなと思いました。
全体的に感じたのは、もう少し迫力があってもいいかなぁと・・・。あと、トランペットのアインザッツが雑!タイミングもそうだけど、もうちょっとそろ〜っと入ってきてもいいんじゃないの?でも、4楽章の弦のピチカートはさすが!
まぁまぁ、弦の深みのある音はやっぱり生でないと、しかもこういう響きに定評のあるオケでないと聴けません。
<4> 9月23日 ウィーン・フィルハーモニー ウィーク イン ジャパン 2009(兵庫)
曲目:ハイドン 交響曲第104番 「ロンドン」
:ショパン ピアノ協奏曲第1番
:R.シュトラウス 交響詩「英雄の生涯」
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ピアノ:ラン・ラン
指揮:ズービン・メータ
場所:兵庫県立芸術文化センター
♪さすがWph、ラン・ランと思わせてくれるような演奏会でした。
ハイドンの冒頭もそうでしたが、特にショパンの冒頭が、「なんちゅう深くて重厚な音を出すねん!」、てな感じです。
「英雄の生涯」は、コントラバスで始まって、冒頭の7つの音ぐらいでコントラバスがなくなっちゃうんだけど、あまりにも「ハイ!消えたっ!」って感じでなくなっちゃったからなんか「?」な感じ。もっと「じわ〜」って終わってほしかった。
もう1つ。【戦場での英雄】のところは、もう少し音の交通整理をしてほしかった。
でもいづれも些細なこと。Wphの演奏がすばらしかったのは紛れもない事実。
さらに、ピアノのラン・ランがすばらしかった。日ごろ、協奏曲やピアノを聴くことがあまりない僕でもそのすばらしさがわかるぐらいだった。ホールはピアノの音で満ちて、天からピアノの音が降って来るような感じで、よく響いていたなぁと。ラン・ランの力ももちろんのことながら、「このホール、ええ音響かせよんなぁ」と思ってしまった。
今回、ちょっとあって、あまりいい席ではなかったけれど、すごくいい演奏会だったと思います。
<3> 6月21日 ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー 大阪公演
曲目:マーラー 交響曲第9番ニ短調
指揮:大植英次
場所:ザ・シンフォニーホール
♪いろんな意味ですごい演奏会だった。
3楽章までの尋常ならざる遅いテンポ。僕は遅いテンポは苦手で、正直、最後までこのテンポはきついなぁと思っていたが、4楽章は聴き慣れたテンポだったのでほっとした。テンポはきつかったけど、僕がいままでに聴いたことがあるマラ9の中では間違いなくベストの演奏だった。楽団の、最上の演奏を届けたいという思いがひしひしと伝わってきた。
オケもうまかった。前に来日したときはそれほどとは思わなかったが、いや、このオケ、うまいなぁと思った。
会場もすごい盛り上がりで(それはもうすごかった、まじで)、大フィルの音楽監督であるというだからということを抜きにしてもすごかった。
あんなマラ9は聴いたことがない。
<2> 6月6日 モスクワ放送交響楽団 大阪公演
曲目:ボロディン 交響詩「中央アジアの草原にて」
歌劇「イーゴリ公」より【序曲】、【だったん人の踊り】
チャイコフスキー 交響曲第5番ホ短調 作品64
アンコール:チャコフスキー「四季 −12の性格的描写」より【松雪草】
:歌劇「雪娘」より【道化師】
指揮:ウラディミール・フェドセーエフ
場所:ザ・シンフォニーホール
♪本プロよりアンコールの方がよかった、そんな演奏会でした。
終演後の会場は喝采で満ち溢れていたけれど、個人的にはどうもいまいちだった。1曲目は最初の方はコケかけるほどで、聴いていてもドキドキハラハラものだったし、2曲目は、聴いたことがなかったので(だったん人の踊りは何度も聴いたけど)いまいち入り込めなくて、3曲目は何度も聴いたことはあるけど、なんかまごまごしてた。そう、演奏がどうのこうのというより、テンポにしっくり来なかったのだ。遅いのだ。疾走感がまるで感じられなかった。
この遅いテンポがメインプロの交響曲第5番の3楽章まで続いた。(ちなみになぜか2楽章と3楽章はつづけて演奏されました。)
今日の演奏会はある意味詐欺だと思った。メインプロの3楽章まで遅いテンポで、このままだと、いまいちだなぁで終わってしまうところを、4楽章はよくあるオーソドックスなテンポで疾走感バリバリにやって、興奮させて終演後は拍手喝采、【終わりよければ全てよし】的な演奏会ではなかったか。まぁ、4楽章はすばらしかったとは思いますが。最後まであのテンポでは間が持たなかったのではと思ってしまう。まぁ、あくまでも僕だけがそう思ったのかも知れないけど。
というわけで、正面奥にコントラバスが10本(!)並んでる景色はすごいなぁ、ということと、トロンボーンがいい音してるなぁ、ということ以外は特筆すべきものはなかった演奏会だった。
あ、そうそう、女性奏者が緑や赤の派手なドレスを着てたので、舞台がとても華やかでした・・・って、そういうドレスを着てくるなよ!お前はソリストか!!
<1> 4月26日 ドレスデン国立歌劇場管弦楽団 大阪公演
曲目:R.シュトラウス 交響詩「ドンファン」
交響詩「ティルオイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
交響詩「英雄の生涯」
アンコール:ウェーバー 歌劇「オベロン」序曲
指揮:ファビオ・ルイジ
場所:ザ・シンフォニーホール
♪今年最初の演奏会は、ファビオ・ルイジ/ドレスデン国立歌劇場管弦楽団。さらにオール・シュトラウス・プロということで「これは聴きにいかないと」という演奏会。開演前にコンマスが練習ならぬ舞台で楽譜をさらっていたのだけど、その音が丸くて柔らかで、ドレスデンの音はよく「いぶし銀」と表現されることが多いんだけど、まさしく「一人いぶし銀」と言ってもいいくらいにすばらしい音で、「なんちゅう音をだすんだ!」と、まだ開演もしてないのにド肝を抜かされた。
正直、演奏のクオリティは、ウィーン・フィルやベルリン・フィルに一歩譲るものはあるかも知れないけど、その独特な響きはウィーン・フィルも凌駕すると言っていと思う。
で、アンコールの「オベロン」がまたよかった。終演後、ある年配の方が言われているのを小耳にしたのだけど、「あんなオベロンは聴いたことがない」そうだ。
ルイジの「クラシック音楽界の証券マン(銀行員はブロムシュテット)」と言われるほど(僕が勝手に言ってるんだけど)見た目端正な風貌とは違い、とてもエネルギッシュな指揮振りでした。
前に来日して、マーラーの「復活」をやったときよりもすばらしかったです。
とにかくすばらしい演奏会でした。