やっぱ実演? 〜2010年〜
僕が行った2010年の演奏会です。
<8> 12月29日 第9シンフォニーの夕べ
曲目:ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」
ソプラノ:釜洞祐子
アルト:寺谷千枝子
テノール:櫻田 亮
バリトン:藤村匡人
指揮:ゲルハルト・ボッセ
管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団
場所:大阪 ザ・シンフォニーホール
♪行ってきました。年末恒例の大フィルの年末の第9。これを聴かないと年が終わった気がしない体になってしまいました。演奏会には違いないのだけど、イベント的要素のほうが多いこの演奏会。なので、ここがよかったとか、あそこはいまいちだったとか、そういうのを抜きにして年末恒例行事を楽しめればなぁと思っていたのですが、相変わらず大フィルの金管はアインザッツが汚い!
いや、特にネガティブな感想は・・・。
京響の爪の垢でも煎じて飲んだらええねん!何回第九やってんねん!
取り乱してしまいました^^;」
ということで、今年の大フィルの第9についての疑問を数点指摘するということで感想に変えたいと思います。
(来年こそは演奏会に行く回数を2ケタにしたい。)
・なぜ大植英司は年末の第9を振らないんだろうか?
このオケはさらに地元に根ずかせ、世界に発信させようとしてたんではないのか・・・音楽監督なのに・・・。
・なぜ今年の大フィルの第9は、2日間から1日だけになったのだろうか。
ベルリンデビュー効果か辻井効果かどっちか知らないが(どっちもかも知れないが)○カみたいに第九をシンフォニーホールで5日もやる、
二言目にはバーンスタイン、バーンスタインとのたまう佐○裕の「21世紀の第九」のせいなのか?
・なぜ、ゲルハルト・ボッセなのか
指揮台の上には赤い椅子が用意されていたが、クライマックスのところになると思わず立ち上がってしまうのか、と思っていたら、最初から最後まで座りっぱなし。
プログラムを見たら1922年生まれというから、90歳近い!高齢になったら引退しろとは言わないが、
どうして歩くのもままならない高齢であるゲルハルト・ボッセにオファーを出したのかがわからない。
ボッセでないとだめだったという音楽には感じられなかったのだが・・・。
<7> 11月20日 ウィーン弦楽四重奏団 大阪公演
曲目:ハイドン:弦楽四重奏曲第77番「皇帝」
ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」
シューベルト:弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」
アンコール
シューベルト:弦楽四重奏曲第10番から第4楽章
場所:大阪 ザ・シンフォニーホール
♪多分、室内楽の演奏会を聴きに行くのは生まれて初めて。いつもはオケものばっかり聴きに行っているので、シューベルト:弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」とR.シュトラウスの「死と変容」の区別さえわからないくらい^^;
正直な感想は、「あっ、CDと一緒だ!」(笑)。
期待したとおり(いや、期待以上か?)のアンサンブルの精緻さでとても満足できました。
第一バイオリンが4人の息やタイミングを合していると思って見てたんだけど、確認できなかった。もちろんだれかが指揮者の役割を果たしているんだろうけど、多分あのレベルになるとそれを確認できないんだろうなと思って見てました。
さすがだなぁとは思うんだけど、やっぱ寂しいなと。オケだったらお辞儀するときも大人数だけど、4人だもんなぁ。
でも【新鮮】な演奏会でした。
<6> 10月30日 イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団 大阪公演
曲目:ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」
マーラー:交響曲第1番「巨人」
アンコール
ムソルグスキー:歌劇「ホヴァンシチナ」より前奏曲
指揮:ズービン・メータ
管弦楽:イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団
場所:大阪 ザ・シンフォニーホール
♪まず最初に生で「花の章」が聴けるとは思わなかった!
メータはイスラエル・フィルと「花の章」つきの「巨人」も録音しているし、プログラムの曲目解説にも「花の章」について触れられているので、「花の章」つきの「巨人」が演奏されるということは、当然と言えば当然なんだけど、それにしても予想外の出来事にちょっと感動。
さて、「ハルサイ」なんだけど、あまり聴かない曲だったので1週間前から1日に1回は聴くようにしていたが、やっぱりこの曲はようわからん^^;
出るところを間違えてもわからないんじゃないか?(笑)
でも第1部の終わりの「大地の踊り」のラストのクレッシェンドしていくところなんかは鳥肌が立った。
「巨人」は、「花の章」が生で聴けたのはよかったが、フレーズとフレーズをつなぐところや、特に3楽章と4楽章のつなぎ目が怪しかった。テンポは若干ゆっくり目だったが、いまいちおとなし目の「巨人」だったと思う。「巨人」より「ハルサイ」のほうがよかったと思う。
世界2大オケというと、ウィーン・フィルとベルリン・フィルというのが一般的らしけど、僕はベルリン・フィルと同等かそれ以上のレベルにあるのがこのイスラエル・フィルだと思っているが、期待しすぎたためかいまいちだったのでちょっと残念。まぁ、「花の章」が聴けたからいいか。
このコンビ、前に来日したときも開演時間を変更してたはず。今回も18:00開場だったのが、ロビーには入れたが18:30までリハのためホールには入れず。なんなんだろう?
もう1つ、Dプロでベートーヴェンの交響曲第7番をするってプログラムに書いてあるんだけど、どこを探しても7番の曲目解説のページがない。なんなんだろう?
<5> 8月23日 藤岡幸夫&関西フィル ザ・ベストシンフォニー
曲目:ベートヴェン:交響曲第6番「田園」
ブラームス:交響曲第1番
アンコール
グリーグ:「2つのエレジー」作品34より「過ぎにし春」
指揮:藤岡幸夫
管弦楽:関西フィルハーモニー管弦楽団
場所:大阪 ザ・シンフォニーホール
♪関フィルははるか昔に一度だけ聴きに行ったことがある。別に下手だったから行っていないというわけでなく、なぜか疎遠になってしまった。その時の指揮者は「唸り声」で有名なコバケンで、そのときのプログラムにも「田園」が入っていた。たしかその演奏会は「夏休み名曲コンサート」かなんかで、コバケンがピアノを弾いて曲の解説をしていた。
「ここは、実はこれこれこうで・・・じゃあやってみましょう。」
そう言うと、ピアノをやめて指揮台に乗ってオケで同じ個所−「田園」の冒頭部分−を始めた・・・・のはいいが、いきなり唸っている。いやいや、そこは唸るとことちゃうやろ?と思ったのを覚えている。
コバケンは、ライブではいざ知らず、スタジオセッションでも唸るので、CDが出ても「音楽の邪魔だ!」なんて酷評されるときもちらほら。
さて、本題の関西フィルに話を戻すと、あるブログをやっている人が(会ったことはないですが)、「関西フィルはどうも・・・」というので、そうだったかなと思っていたらこの演奏会を見つけた。曲もよく(?)知っているし、指揮もいま話題(?)の藤岡幸夫だし、関西フィルも一回しか聴いてないからちょうどいいやということで、この演奏会に行ってきた。結果は、特筆すべきものはなかった。
悪くもないけど良かったわけでもない。いくつか強いてあげれば・・・、
・「田園」のホルンは上手かったが、「ブラ1」のホルンは下手だった。
・ペットはなぜにあんなにアインザッツが汚いんだろう?もっとそろっと入ってきたらいいのに。
・これは関西フィルではなくて、おそらく藤岡幸夫に起因するんだろうけど、「ブラ1」は力みすぎ。そない力入れんでも・・・。
アンコールの前に藤岡幸夫から一言あったんだけど、「これからもよろしくお願いしますっ!」とかかなり熱血漢。まるで関西クラシック界の松岡修三。でも関西クラシック界の熱血漢と言えば、大阪フィルの大植英次がいるし(まぁ、バーンスタインの弟子だから熱血漢なのは当然だが)。いまいち大阪フィルとの違いがよくわからん(まぁ、センチュリーとか大阪交響楽団なんかは編成の規模が違うからわかりそうなもんなんだが)。
財政難で自治体からの補助がどうたらこうたらってときに、このオケの存在意義ってどうよっても思っちゃったわけだが、まぁ、ちょっと聴いただけだから違いをわかれ!ってのも無理な話なんだけど^^;
実は、「田園」でうとうとしてしまい、第4楽章の雷を表現したティンパニの一撃にビクッっとしてしまうくらいだから、偉そうなことは言えないんだけど、今日の感想は、「なんだかよくわからん演奏会」でした。
何度も言うけど、「ブラ1」力入りすぎ!
<4> 7月19日 京都市交響楽団 大阪特別公演
曲目:シベリウス:交響詩「フィンランディア」
グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調
シベリウス:交響曲第2番 ニ長調
ピアノアンコール
ショパン:夜想曲20番
リスト:ラ・カンパネラ
アンコール
グリーグ:ホルベルグ組曲〜第4曲「アリア」
指揮:広上淳一
ピアノ:アリス=紗良・オット
管弦楽:京都市交響楽団
場所:大阪 ザ・シンフォニーホール
♪京響って大フィルより上手かったのかぁ。
いままで、京響を聴いたのは確か2回か3回だけだったと思う。そのうちの1回ははるか昔の「レニングラード」で指揮はバルシャイだったと思う。
そのときは、(京都コンサートホールは縦に長かったので)遠くで鳴ってるような感じがして、おまけに「レニングラード」もバルシャイも良く知らなかったので、あまり印象が残ってない。
しかし今日の京響は明らかに違っていた。常任がミッチーのときに斬新なプログラムを続々と取り上げてテクニックに磨きをあげて、広上で大化けしたっていう感じ。
話は少し脱線するけど、いま僕が国内で注目している指揮者が、下野竜也、広上淳一、井上道義、尾高忠明の4人です。
朝比奈隆が死んでから大フィル年末の第九をいろんな人が指揮したけど、広上の第九が一番よかった。
さすがは広上、ホールがよかったのかオケがよかったのか、分厚い響きがホールをよく鳴らしてました。
アリスのピアノもすごかった。テクニックもさることながら、容姿も。アリスの広報用写真から、デビューした頃の富田靖子をイメージしてたのだけれど、さらにほっそりとした感じ。
で、何度呼び出されたことか。多分アンコール2曲目のラ・カンパネラはやるつもりはなかったのかな?盛り上がった聴衆にこたえて急遽やったような感じ。そりゃあ、あんなテクニックを見せつけられたら聴衆もだまっちゃいない。アリスは腱鞘炎にならないのだろうか。
とにかくすごくて、満足いく演奏会でした。今年の国内オケ一番じゃなかろうか。
<3> 5月22日 兵庫県立芸術文化センター管弦楽団 第34回定期演奏会
曲目:モーツァルト:交響曲第38番 ニ長調 K.504 「プラハ」(OEK)
ベートーベン:交響曲第8番 ヘ長調 (PAC)
グローフェ:組曲「グランド・キャニオン」(PAC,OEK合同)
指揮:井上道義
管弦楽:兵庫県立芸術文化センター附属管弦楽団(PAC)
オーケストラアンサンブル金沢
場所:兵庫県立芸術文化センター 大ホール
♪一番よかったのはベト8。
かなりメリハリの効いた仕上がりになってました。オケの力というよりも井上道義の指揮が光っていたのではと思います。
「グランドキャニオン」はまさに圧巻。
アンコールの「星条旗・・・」は、「らしい」演出がいろいろなされて非常によかったです。
<2> 3月24日 ミュンヘンフィルハーモニー管弦楽団 大阪公演
曲目:楽劇「ニュルンベルクのマイスタ^ジンガー」前奏曲/ワーグナー
ヴァイオリン協奏曲ニ短調 作品77/ブラームス
ソリストアンコール:ヴェネツィアの謝肉祭/パガニーニ
交響曲第5番ハ短調「運命」 作品67/ベートーヴェン
オーケストラアンコール:歌劇「タンホイザー」序曲
ヴァイオリン独奏:ワディム・レーピン
指揮:クリスティアン・ティーレマン
場所:大阪ザ・シンフォニーホール
♪ティーレマンは、僕も好きなドレスデン国立歌劇場管弦楽団のシェフにファビオ・ルイージの後任として就任することが決まっています。ということでティーレマンには最近興味を持っている指揮者の1人です。はじめてティーレマンの指揮を見たのですが、チューニングが終わって、オケはスタンバイokとなっているのになかなか指揮者が出てこず聴衆がざわめいてしまう演奏会がある中、ティーレマンは行動が早い。チューニングが終わるとすぐにつかつかと出てきて、指揮台の上で聴衆に挨拶をしたかと思うと、振り返るとすぐに曲が始まります。特に「運命」は早かった。振り向いたかと思えば次の瞬間にはもう【ジャジャジャジャ〜ン】でした。もうちょっと溜めてもええんちゃうんと思ってしまいました。
僕の中に、そういう思いもあってか、1曲目のワーグナーはいまいち盛り上がりに欠けていたような気がします。もう終わっちゃったの?という感じで。実際、この日の公演は総じてどの曲もテンポが速かったし。この時点では、ドレスデンもこんな感じになっちゃうのかなぁと思いました。
2曲目は、レーピンの巧さが光ってたと思います。
3曲目の「運命」は、特にアタッカの後は快速でしたが、なんかすごい「運命」を聴いたような気がします。テンポは早かったのですが、しっかり重厚でした。「運命」を聴いた時点では、ドレスデンの次期シェフでも問題はないと思いました(ほんとはちょっと不安があるけど)。
オケのアンコールの「タンホイザー」は、やはりテンポは速かったですが、言うことがないくらいでした。完璧でした。「マイスタージンガー」の代わりにこの曲を1曲目にしたほうがいいくらいでした。
もうちょっと溜めがあったほうがいいとも思いますが、これからは注目の指揮者のうちの1人だと思います。
<1> 3月19日 大阪フィルハーモニー交響楽団 第436回定期演奏会
曲目:劇音楽「アテネの廃墟」序曲/ベートーヴェン
ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調 K.216/モーツァルト
ソリストアンコール:「オルフェーオとエヴリディーチェ」より「精霊の踊り」/グルック
交響曲第1番ハ短調<ウィーン稿>/ブルックナー
管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団
ヴァイオリン独奏:ルノー・カプソン
指揮:下野竜也
場所:大阪ザ・シンフォニーホール
♪今年最初の演奏会は、ブルックナー。ブルックナー信奉者としては非常にうれしい演奏会。曲は滅多にお目にかからない第1番、しかも<ウィーン稿>。さらに、指揮が下野竜也というからこれは聴きに行かねばならない。
最初のベートーベンは聴いたことがなかったが、特に冒頭は僕好みで、5分程度の曲ではあるけれど、下野さんの明快な棒裁きが堪能できて、やはり上手いなぁと改めて実感。
2曲目のモーツァルトはカプソンの強い要望により、第5番から第3番に曲目が変更に。僕はどちらも聴いたことがなかったけど、それでもやっぱりソリストだけのことはあるなぁと思った。冒頭の音からして響きが全然違う。深みというか、なんであんな艶やかな音が出るんだろうと思った。カプソンはすごい真面目で練習も自分に厳しいんだろうなぁと思った。
3曲目のブルックナーだけど、この日も大フィルはあいかわらずホールをよく鳴らしてました。いくら<ウィーン稿>だからと言って初期の曲をあんなに鳴らしてもいいんだろうか、と言うくらいにならしてた。下野さんの指揮も気迫がこもってたし。
いやいや、最初の演奏会にぴったりないい演奏だったと思いますよ。