やっぱ実演? 〜2016年〜


僕が行った2016年の演奏会の感想です。


<9>12月30日 第9シンフォニーの夕べ

曲目
 ベートーヴェン:交響曲第9番
指揮
 アンドリス・ポーガ
管弦楽
 大阪フィルハーモニー交響楽団
合唱
 大阪フィルハーモニー合唱団
 中村恵理(ソプラノ)
 福原寿美枝(アルト)
 福井敬(テノール)
 甲斐栄次郎(バリトン)
場所
 フェスティバルホール
♪年末の大フィルの第9については、感想も批評もしないことにしてるんですが、ちょっとだけ。
2001年から大フィルの年末の第9に行きはじめたんだけど、そのなかでは一番よかったかも。「蛍の光」もいつもどおり感動的。
・・・ってか、指揮者のポーガのスーツの裏地が、濃いピンク色だったのには驚いた。


<8>11月22日 バイエルン放送交響楽団 2016年日本公演

曲目
 マーラー:交響曲第9番。
指揮
 マリス・ヤンソンス
管弦楽
 バイエルン放送交響楽団
場所
 兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール
♪完璧。すばらしい。言うことなし。


<7>11月22日 パリ管弦楽団 日本公演

曲目
 メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲
 マーラー:交響曲第5番
指揮
 ダニエル・ハーディング
管弦楽
 パリ管弦楽団
 ソリスト:ジョシュア・ベル(ヴァイオリン)
場所
 ザ・シンフォニー・ホール
♪またも、「変な現象」が起きた。まぁ「起きた」と言っても全然変な現象でなくて、僕自身に問題があるのかもしれないが・・・。「変な現象」というのは、僕の感じ方と僕以外の聴衆の感じ方が全くもって違うのである。マーラーである。尻上がりと言おうか、たしかに4・5楽章はよかったが、冒頭のホルンのファンファーレはちょっと不安定だったり、1〜3楽章はいまいちだった。それなのにホールは興奮のるつぼで、多数のスタンディングオベーションもあり、ブラヴォーの嵐だった。そんなによかったかなぁ?


<6>11月20日 サンフランシスコ交響楽団 2016アジアツアー 大阪公演
曲目
 マイケル・ティルソン・トーマス:アグネグラム
 ショパン:ピアノ協奏曲第2番
 マーラー:交響曲第1番「巨人」
指揮
 マイケル・ティルソン・トーマス
管弦楽
 サンフランシスコ交響楽団
 ソリスト:ユジャ・ワン(ピアノ)
場所
 フェスティバルホール
♪プログラムによると、アグネグラムは、同オケの理事だったアグネス・アルバート女史のために書かれた曲とのこと。打楽器中心ではじまるこの曲は、邦楽の現代音楽を思い起こさせる。サンフランシスコ響の音は、全体的に明るい音だった。一概には言えないが、これに荘厳さ、華やかさが加わると、とりあえずフィラ間の音になるのかな?といった印象。そして、ユジャ・ワンの音は固く、身体にビシビシと突き刺さるかのよう。ものすごいうまいけど。
マーラーだが、最終楽章に、3連符を含んだフレーズが2回繰り返されるんだけど(全集の10分09秒あたり)、1回目に3連符の後に「タメ」ている。知る限りマゼールもそういうことをやっている。僕は「タメ」があるほうが好きで、もうかなり前だが、マゼールがバイエルン放送交響楽団とやってきて「巨人」をっやったときに、その個所にえらく感動して(僕はサントリーホールのP席の最前列のど真ん中に座ってたんだけど)、最初で最後(たぶん)の「ブラヴォー」を飛ばした。しかも飛ばした瞬間の記憶がないと来たからよっぽど感動したんだろう。ほかにもそんな指揮者はいないかと、気が向いたときに探していたんだけど、いまのところマゼールしか把握できなかった。で、MTTも同じ個所で「タメ」を作っているから、おおっ、タメている!ってなった。でも、冷静になって考えると、マゼールのは、その次の音に早く行きたいんだけどあえて「タメ」を作っているから、その次の音で爆発できる。MTTのは「タメ」ではなくて、機械的にオケを止めている。だからその次の音のエネルギーが全然違うのである。この箇所でのこういう処理は、僕の知る限りではマゼールに次いで2人目の指揮者を発見だったから、そういう意味では大きな収穫だったけど、あらためてやっぱマゼールのすごさを再認識できたのでる。
ホルン軍団、立つのが早いって^^ゞ


<5>10月6日 第54回大阪国際フェスティバル2016(ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団)

曲目
 モーツァルト:交響曲第36番「リンツ」
 ブルックナー:交響曲第7番
指揮
 ズービン・メータ
管弦楽
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
場所
 フェスティバルホール
♪今年後半の最初がウィーン・フィルというのも、それはそれである意味すごい。
マゼール、アバドという重鎮が亡くなったあとの、クラシック音楽会を牽引するのはメータしかいない!と僕はかねがね思っているのだけど、当夜の演奏はそれを裏付けるかのような素晴らしい演奏会でした。演奏会でのブル7といえば、ブルックナーの他の番号の交響曲に比べれば、いささか演奏効果に乏しいと思っていたけど、それは間違っていると気づかされた演奏でした。第一楽章の最後なんてそりゃぁもうすごくて圧倒されてしまいました。
音楽もそうだけど、メータほどのレベルになるとまず貫禄が違います(たしか前にもこう書いたような・・・)。歳のせいか、足取りこそやや遅いけど、オーラがすごい。
恥ずかしいのでブラヴォーは言わない、そのかわり渾身の拍手で表現する、というのが僕のスタイルなのだけれど(これも前にも言ったような)、当夜はブラヴォー連発しようかと思ったくらい。
とにかく素晴らしい演奏会でした。


<4>6月26日 第54回大阪国際フェスティバル2016(バーミンガム市交響楽団)

曲目
 ウェーバー:歌劇「オベロン」より序曲
 ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第3番
 ベートーヴェン:交響曲 第7番
指揮
 山田和樹
管弦楽
 バーミンガム市交響楽団
ソリスト(ピアノ)
 河村尚子
ソリストアンコール
 ラフマニノフ:前奏曲 変ト長調 23−10
オーケストラアンコール
 ウォルトン:「ヘンリー5世」のための映画音楽より「彼女の唇に触れて別れなん」
場所
 フェスティバルホール

♪どうも最近ホールの聴衆の受け止め方と、僕の受け止め方に差があるコンサートがちょくちょくあるような気がする。これはゆゆしき問題である。まぁ、自分の感性を信じろと言われればそうなんだけど・・・。
ウェーバーは「上手い!」でした。弦がすごくきれいでした。
次のラフマニノフは「めちゃうま!!」でした。2番はよく聴くんですが、3番はあまり聴いたことがなかった。旋律の2番、超絶技巧の3番、というような感じがしましたが、オケもパワフルで、ピアノの河村尚子もすごくうまかったです。「なにこれ、このオケめちゃうま!!」ということで、ラストのベートーヴェンもいやがおうにも期待が膨らみました。しかし、ベートーヴェンはいまいちでした。期待しすぎたのかなぁ。パワフルさが欠如していました。ティンパニも軽い音だし、盛り上がるところは盛り上がるんだけど、いまいち盛り上がりきれてなかったような感じ。しかし、ホールはすごい盛り上がりでした。あふれんばかりの拍手。手を挙げて拍手をする人も多数。しかし、その中にはちょっと冷めた僕が・・・。
オーケストラアンコールの「ヘンリー5世」は、聴いたことない曲でしたが、弦の曲でとてもとてもきれいな曲でした。弦の音も、枯れた感じがとてもよかったです。強いて言うならば、「カバレリアルスティカーナ」の「間奏曲」みたいな曲でした。
さて、聴衆と僕の正反対の受け取り方のギャップ、いつまで続くんでしょうか?ちょっと心配です。自分の感性を信じろと言われればそうなんだけど・・・。

今年の前半の実演はこれで終わりです。後半は10月からになります。それまでちょっとお休みです。


<3>6月2日 第54回大阪国際フェスティバル2016(フィラデルフィア管弦楽団)

曲目
 武満徹:ノスタルジア ―アンドレイ・タルコフスキーの追憶に―
 プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲 第1番
 ブラームス:交響曲 第2番
指揮
 ヤニック・ネゼ=セガン
管弦楽
 フィラデルフィア管弦楽団
ソリスト
 五嶋 龍
場所
 フェスティバルホール

♪何年か前に、サヴァリッシュと来日して「ロマンティック」(だっけかなぁ)をやったときに、チケットを買ったんだけど結局行けなかった。だから特に楽しみだったんだけど、このレベルのオケになると、やっぱ音の厚みというか響きが違いますね。結構大きな音を出していたと思うんだけど、全然苦にならなかった。
音はすごかったんだけど、それでいて上品というか端正な感じ。僕は具体的なフィラデルフィアサウンドは知らないんだけど、そういうんじゃないかな。
すごく印象的だったのは、ブラ2の終わり近辺のトロンボーン・テューバ軍団の音と、アンコールの弦の響き。どちらもすばらしかったです。

それにしても、セガンはよく動く。それもカクカクと。ショルティかっ。


<2>5月29日 モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団 2016 日本公演(大阪) 

曲目
 ビゼー:歌劇「カルメン」組曲より
 スメタナ:連作交響詩 「わが祖国」より「モルダウ」
 チャイコフスキー:交響曲第5番
指揮
 西本智実
管弦楽
 モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団
アンコール
 チャイコフスキー:バレエ組曲「くるみ割り人形」から「花のワルツ」
場所
 フェスティバルホール

♪無理してまで行くコンサートじゃないのに、なんでチケットを買ったのかなぁと行く前は思ってたんだけど、いやぁ、めずらしいコンサートを見せてくれました。どの曲も遅いテンポででしたが、モルダウなんかは、あぁ、こうゆうテンポもおもしろいなぁと思いました。
びっくりしたのは、交響曲第5番の第3楽章の途中で拍手とブラボーが出たこと。僕は曲が終わっても指揮者が手を下ろすまでは、拍手もブラボーもしてはいけないし、ましてや曲の途中なんてもってのほかと思っているし、口にも出してきた。しかし今回の拍手とブラボーは少し様子が違ったんです。十数人単位なんです。2・3人が「単に間違って拍手をしちゃった」ではないんです。それだけ感動したのでしょう。確かに拍手がおきる前の演奏はすごかったし、第2楽章のホルンは素晴らしかったし・・・。
でもですね、性格がひん曲がっている僕にしてみれば、「西本智実」、「モンテカルロ(モナコ公国のオケ)」というネームヴァリュー、ましてやあの遅めのテンポで聴衆を煽る、そりゃあ感動もするでしょうということなのです。もう少し冷静になりましょうよと。
でも、確かに拍手とブラボーとスタンディングオベーションで、ホールがとんでもない感動につつまれたのは事実。選曲も、アンコールの「花のワルツ」も含め、いかにも日本人好みなプログラムを構築するところなんかはすごいなぁと思う。スタンディングオベーションなんかひさびさに見たし。
なんかコバケンみたい(笑)。
パンフレットからはブルジョワ感がぷんぷん。


<1>1月9日 プラハ交響楽団 ニューイヤーコンサイト2016 日本公演(西宮) 

曲目
 スメタナ:連作交響詩 「わが祖国」より「モルダウ」
 メンデルスゾーン:ヴァオリン協奏曲ホ短調
 ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」
指揮
 ピエタリ・インキネン
ソリスト
 成田達輝(ヴァイオリン)
管弦楽
 プラハ交響楽団
ソリストアンコール
 バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番より「プレリュード」
オーケストラアンコール
 ドヴォルザーク:スラブ舞曲第10番、第8番
場所
 兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール

♪すいません、寝てました^^ゞ
いやぁ、メンコンは寝るなぁと思ったんだけど、モルダウも寝るとは・・・^^ゞ最近寝ても寝ても寝たりなくて・・・。
インキネン、NAXOSレーベルからオーストラリアのオケとシベリウスの曲をリリースしてたのは知ってたけど、知らないうちにプラハ交響楽団のシェフになってた。
演奏はよかったけど、チェコとかスロヴァキアのオケにしたら、ズメタナもドヴォルザークもてっぱんだから、インキネンが来たからと言ってガラッと解釈が変わるなんてことはないと思うんですよ。逆に変えたら、「お前はドヴォルザークの何を知ってるんだ」みたいなことになる。まぁ、これからでしょうね。インキネン、意外と背が低かったんだ。
それより、関心したのが、ソリストの成田。アンコール前のちょっとしたトークはぎこちなかったけど、ヴァイオリンは上手かったです。



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